破壊ノ魔王
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一章
14
「くぉぉらああ!!ルーーーーク!!!」
「ん?どーしたのさー、慌てちゃって」
「それが上官への口のききかたか!ルーク!」
眠そうな目でぼーーーっとしたルーク。彼はこれでもゼロの天敵であり、軍きっての精鋭である。重力のティナを使い、空を進み敵を封殺する。しかしなんといっても自由人であり、軍人らしからぬ人物である
「まぁまぁ、将軍。ルークのこれは今に始まったことじゃないっしょ。怒るだけ無駄無駄」
彼はヴァン。ルークとともにゼロをおう飛空挺乗りである。そして将軍は彼らの上官であり、ゼロの始末を任されてる人物だ。
「まぁルーク。挨拶くらいしろ。ほら」
「ヘイ、将軍」
「ルゥゥゥゥゥーク!!」
何はともあれ、ここに彼らが集まったのは、ゼロの始末についてだ。最近やる気の欠片もないルークに、将軍の堪忍袋の尾が切れてしまったのだ
「ルーク!なぜゼロを追わない!?奴を倒せるのはお前だけだ!もっと責任感をもて!!」
「だって、3日は待てって。ゼロが言ったんだもん」
「罪人の言うことを軍人がきくな!!」
「しょーぐん、ゼロにだって休息は必要なんだよ」
「必要ないわーー!!!」
ぼーんやりと、真っ赤になって怒る将軍を見つめるルーク。彼に表情はない。笑うことも申し訳なくすることもない
将軍はがっくりと肩をおとした
ヴァンほどではないにしろ、彼もまたルークとは長い付き合いなのだ
「……まぁいい。今回伝えることはお前にとって都合が良さそうだ。ルーク、ヴァン。お前たちにはゼロから少し外れてもらう」
「へぇ?」
「それはまた何故です?」
「どうもこうも、上からのお達しだ。知らねぇよ」
それはつまるところの休暇……つまるところクビでもある
「ぃやっっっっつたあ!!!」
それにガッツポーズをあげるのはルークではなく、ヴァンである。将軍の眉間がピクリとシワを刻んだ
「うぉっ……と。すんません」
「いや、もういいわ。お前のそれも昔からだからな。奥さん、大事にしてやれ」
ヴァンは最近子供のできた初々しい父親なのである
「よかったなー、ヴァン」
「おう。お前も久々こいよ。子供と嫁が喜ぶだろうから」
「んー、おれもやることあるんだ」
ルークはひとつのびをして、ぴょんと席をたった
「じゃ、しょーぐん。ヴァン。おげんきで」
「まてよルーク。連絡はつくようにしとけよ?迎えにいくのオレなんだから」
「ヴァン……そうじゃねぇだろ。いつ誰が行って良いって言ったよ……」
将軍に気をかけることなく、ルークは既に姿を消していた。それにあわせてヴァンも颯爽と部屋から離れる
結果として、なぜか将軍はひとり取り残された
「……おめぇらってやつはよ…ちったあ考えろよな。何で任務から外されたかって……。最強と最速のコンビより良いもんが出てきたってのに誰もそいつらを知らねぇんだぞ……?」
ぽつりと、将軍はいった
誰も聞くことはないことを知りながら
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