Blue Rose
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第一話 植物園でその八
「手も髭もな」
「いるのは髪の毛だけか」
「そっちだけか」
「確かに髪の毛って大事だしな」
「ないと一番困る毛だよな」
「だからそこだけは欲しいんだよ」
髪の毛だけはというのだった。
「本当にな、蓮見はそっちも大丈夫そうだけれどな」
「髪の毛も?」
「ああ、それだけ多くてしかも奇麗だとな」
優花の髪の毛の話もするのだった。
「大丈夫だろうな」
「だといいけれどね」
「くる人は二十歳できたりするしな」
この恐ろしい現実を言うのだった。
「そういう人と比べたらな」
「僕はなんだ」
「絶対にこないな」
「男性ホルモンが薄いから?」
「あっ、そんなこと言うつもりじゃないからな」
彼は優花がやや暗い顔になって言ったのを受けてそこはフォローを入れた。いささか慌てた態度でそうした。
「とにかく毛がなくてな」
「髪の毛は多いから」
「そう思ったんだよ」
「そうなんだ」
「しかも髭もな」
それもというのだ。
「濃くなりそうにないな」
「生えるのかな」
優花は既に着替え終えている、そのうえで自分の顎を右手で擦りながら言った。
「僕も」
「そりゃ男だからな」
「生えるの」
「そうだろ」
「だといいけれど」
こうした話を体育の前にした、そしてだった。
優花は龍馬と一緒に体育の授業を受けた、優花は周りの声は少し気になっていた。
しかしだ、それはあくまで少しという程度だった、だが。
優子は勤めている八条大学大学病院にいる時にだ、休憩室で同僚達に言われたことがあった。その言われたことはというと。
「性転換手術は日本で出来るか?」
「技術はあっても法律がな」
「そっちの問題だな」
「法律が上にあるからな」
「医学よりもな」
「ええ、法律を破ったらね」
優子もここで言う。
「それでアウトだから」
「医者としてな」
「中には性転換したいって人もいるけれどな」
「日本じゃその手術はな」
「出来ないんだよな」
「同性婚でもまだ議論があるし」
この話もするのだった。
「こうした問題は難しいな」
「医学だけじゃなくて法律でもな」
「まだまだ議論になりそうで」
「難しいな」
「中には自然にな」
ここで医師の一人が言った。
「性別が変わるケースもあるな」
「ああ、非常に稀にしても」
「あるな」
「不思議なことだけれど」
「あるわね」
「信じられない話にしても」
それでもというのだ。
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