八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十四話 綿菓子その一
第六十四話 綿菓子
僕達は綿菓子のお店に来た、当然ながらそこにもお店の人がいた。少し太った白いものが混じった角刈りのおじさんだ。
そのおじさんを見てだ、円香さんが言った。
「あの人は確か」
「知り合い?」
「八条神社の近くでたこ焼きの出店をやっていません?」
「あっ、そういえば」
言われてだ、僕もわかった。
「あそこのおじさんだね」
「そうですわね」
「あそこのたこ焼き美味しいんだよね」
「けれど今は」
「綿菓子屋さんなんだ」
「そうですわね」
「ああ、今日は手伝いなんだよ」
そのおじさんが僕達に答えてくれた。僕達のやり取りに気付いて。
「それで綿菓子屋なんだ」
「そうなんですか」
「テキ屋仲間のつながりでな」
それで、というのだ。
「この祭りの時はいつも手が足りなくてな」
「それで、ですか」
「確かに俺は本来はたこ焼き屋なんだがな」
「今回は、ですね」
「綿菓子屋の親父って訳さ」
おじさんはここで笑って言った。
「宜しくな」
「はい、それじゃあ」
「五つかい?」
綿菓子の数をだ、僕達に尋ねて来た。
「それで」
「はい、人数分お願いします」
「それじゃあな、少し待ってな」
こう話してだ、そのうえで。
おじさんは実際に綿菓子を作ってくれた、合わせて五つ。その綿菓子達を僕達にそれぞれ手渡してくれてだ。
お金を受け取ってからだ、笑顔でこう返してくれた。
「たこ焼きの方も宜しくな」
「はい」
僕が笑顔で応えてだ、そうして。
僕達はその綿菓子を食べた、すると。
ジューンさんと水蓮さんがだ、それぞれこう言った。
「美味いネ」
「そうあるな」
「甘くて口の中で溶けテ」
「食感もいいある」
「こうしたお菓子なのネ」
「面白いあるな」
「これが綿菓子なんだ」
僕は二人にも話した。
「気に入ってもらえたみたいだね」
「うん、いいネ」
「こんなお菓子はじめてあるよ」
「しかもこのお祭りにも雰囲気が合ってテ」
「風情もあるある」
「夏祭りには欠かせないんだ」
僕は二人にこうも話した。
「この綿菓子もね」
「これも食べないとだ」
ここでまた井上さんが言って来た、右手に綿菓子を持って食べながら。
「夏祭りではないのだ」
「綿菓子もなノ」
「お好み焼きやたこ焼きだけでないあるか」
「無論そうしたものも絶対だ」
食べなくてはならないというのだ、お好み焼き等にしても。
「しかし綿菓子もだ」
「忘れてはならなイ」
「そうあるな」
「甘いものも必要だ」
夏祭りには、というのだ。
「クレープ、たい焼き、ベビーカステラとだ」
「この綿菓子モ」
「必須あるな」
「その通りだ」
「あの、それじゃあ」
ここでだ、円香さんが井上さんに尋ねた。
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