新オズの腹ペコタイガー
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第十二幕その二
その道の途中で、です。トトは歩きながらトロットに聞きました。
「僕達が一番長く歩いてるね」
「そうよね」
「うん、長い旅になってるけれど」
「もう皆帰ってるかしら」
他のパーティーはというのです。
「都に」
「僕もそう思ってたよ」
実際にと答えたトトでした。
「それでカレー作りはじめてるかな」
「それはないわ」
「僕達が帰ってから作るんだね」
「やっぱり材料が全部揃ってから作らないと」
それこそというのです。
「よくないから」
「だからなんだね」
「そう、私達が戻ってからよ」
カレーライスを作ることはというのです。
「そうなるから」
「じゃあ急いで戻ろうか」
「そうね、私達が一番長い距離を歩いててね」
「時間もかかってるからね」
「皆待ってるから」
このことは間違いないからだというのです。
「急ぎましょう」
「いやいや、急ぐのではなくてね」
ここで言って来たのはモジャボロでした。
「寄り道をしないで行くことがね」
「大事なのね」
「そしてアクシデントがあっても」
旅には、特にオズの国においてはとりわけ多いこれのこともというのです。
「冷静に対処してね」
「焦らずにはなのね」
「進むことが大事だよ」
「焦ったらね」
それだけで、と言ったトロットでした。
「もうそれだけで解決出来ることも出来ないし」
「時間もロスするね」
「ええ、何にもならないわ」
「冷静にだよ」
大事なことはというのです。
「それが大事だからね」
「それでよね」
「そう、急ぐよりも冷静に」
「そのことが大事ね」
「そうしていこう」
この帰り道はというのです。
「これまで通り日の出と一緒に起きて朝御飯を食べてね」
「途中おやつの時間と休憩の時は休んで」
「そしてね」
「日暮れまで歩いて」
「夜もしっかり寝てね」
「そうしていけばいいわね」
「そうだよ、焦らず確かに歩いていくこと」
まさにこのことこそがというのです。
「一番の近道だよ」
「わかったわ、では行きましょう」
「皆で一緒にね」
こうも言ったモジャボロでした、そして実際にでした。
一行は焦らずに休憩もしながら冷静に進んでいきました、ですがその歩く速さは。
恵梨香は歩きつつです、行きと同じその道を進みながら言うのでした。
「何か行っていた時よりも」
「そうだね、歩く速さがね」
腹ペコタイガーがその恵梨香に応えます。
「速くなっているね」
「焦って急いではいないのに」
「それでもだよね」
「歩くのが速くなってるわ」
「確かにそんな感じだね」
「どうしてかしら」
首を傾げさせてです、こうも言った恵梨香でした。
「同じ道を進んでるのに」
「確かに焦らないでとは言ったけれどね」
モジャボロはここでも言います。
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