Blue Rose
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第一話 植物園でその三
「そうしたことは専門だしね」
「そうだろ、だからな」
「こうしたことを聞いたな」
「ある筈ないで終わりだよ」
「そうだよね」
「そりゃ生まれてから性別が変わる生きものだっているさ」
龍馬はこの知識は知っているので優花に話した。
「けれど人間はな」
「ないね」
「そんな漫画みたいな話はないさ」
「そうだね、やっぱり」
「まあ試しに優子さんに聞いてみればいいさ」
優花の姉の彼女にというのだ。
「それでな」
「そうしようかな」
「そうしたらいいさ、それでな」
「それで?」
「次は何処に行くんだ?」
あらためてだ、龍馬は優花に尋ねた。
「青薔薇の次は」
「アイリスかな」
少し考えてからだ、優花は答えた。
「それにしようかな」
「アイリスか、いいな」
「うん、この植物園はいいお花が一杯あるしね」
「アイリスも奇麗だしな」
「だからね
それでというのだ。
「あのお花もね」
「ああ、見に行くか」
「そうしよう」
優花は少女の様な笑顔で龍馬に言った、そしてだった。
二人でそのアイリスの花を見に行った、そうして。
この日だけでなくだ、二人は登下校やこうした時にも一緒でだ。学校でもよく一緒にいた。周りはその二人を見て彼等に言った。
「御前等幼稚園の時から一緒だったよな」
「それで今もか」
「一緒にいるんだな」
「仲いいな」
「何かな」
ここでだ、一人がこう言ったのだった。
「カップルみたいだな」
「ああ、だよな」
「友達同士っていうより」
「何かカップルみたいだな御前等」
「蓮見が女の子みたいだから」
「小柄で目がぱっちりとしてて」
「しかも身体つきも華奢で」
優花のそうした身体的特徴から言うのだった。
「木下は背が高いし」
「すらってしてて男らしい顔だからな」
「だから余計にな」
「そう見えるな」
「男同士なのにな」
「そうかな」
優花は彼等のその指摘に首を傾げさせて返した。
「僕達カップルなのかな」
「そうした感じに思えるんだよ」
「別に悪気があって言ってるんじゃないぜ」
「何かな、御前等見てるとな」
「そう思えるんだよ」
「それは気のせいだろ」
笑ってだ、龍馬は彼等に返した。
「確かに優花ってこうした外見だけれどな」
「だよな、それは俺達もわかってるんだよ」
「二人が男同士だってな」
「ゲイとかでもないってな」
「それはわかってるけれどな」
「どうにもな」
二人を見ていると、というのだ。
「そんな風に思えるんだよ」
「妙にな」
「しかも蓮見な」
特にだった、彼等は優花を見て言うのだった。
「最近特に女の子みたいになってきてないか?」
「身体つきとかな」
「声も相変わらずだし」
「むしろその声がな」
特に、というのだ。
「高くなってきてないか?」
「前からだけれどな」
「最近本当にな」
「女の子みたいな声になってるだろ」
「そうかな」
優花は彼等の言葉にまた首を傾げさせた、その首を右に傾げさせたそれも妙に女の子めいているものだった。本人に自覚はないが。
「僕確かに喉仏もないけれどね」
「俺達の気のせいか?」
「男って成長期になったら声のトーン落ちるからな」
「俺達だってそうだしな」
「だからな」
「蓮見はな」
彼の声はというのだ。
「気になるんだよ」
「まあそんなこともあるか」
「誰もがそうなるとかな」
「そういうものでもないしな」
「あれじゃないか?」
こうしたことを言う者もいた。
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