新オズの腹ペコタイガー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十一幕その八
「これからね」
「はい、それじゃあ」
恵梨香が応えてでした、そのうえで。
トロットは皆を薔薇の国の王宮まで案内しました、その間です。
薔薇の人達は皆に笑顔で親しく挨拶をしてきました、トロットはその挨拶を受けてびっくりして言うのでした。
「これが薔薇の国なの」
「ええ、今のね」
また答えたトロットでした。
「そうよ」
「そうなのね」
「私の言った通りでしょ」
「言ったことは信じていたけれど」
「それでも本当ならでしょ」
「驚くわ」
そうだとです、アンはトロットに答えました。
「その目で見たらね」
「そうよね、やっぱり」
「この国も本当に変わったのね」
「いい方にね」
「あんなに無愛想な国だったのに」
「今はこうなのよ」
「明るくて親しみのある国になったのね」
「そうなの」
まさにというのです。
「だから安心してね」
「ええ、わかったわ」
ここでトロットも薔薇の国の人達に笑顔で手を振る様になりました。
そしてです、トロットは自分達を迎えに来た衛兵さんに尋ねました、衛兵さんは白薔薇の頭で服は緑の軍服です、手には薔薇の枝で作った槍があります。
その衛兵さんにです、こう尋ねたのです。
「女王はおられるかしら」
「はい、おられます」
衛兵さんは敬礼をしたうえでトロットに答えました。
「王宮に」
「じゃあ今からお邪魔させてもらうわ」
「今日はどういったご用件で」
来たのかとです、衛兵さんも尋ねてきました。すると。
トロットはすぐに事情をお話しました、すると衛兵さんは聴き終えてすぐに納得したお顔になって言いました。
「わかりました」
「そういうことでね」
「我が国の蜂蜜をですね」
「頂きに来たから」
「では陛下のところに案内させて頂きます」
「それではね」
トロットは衛兵さんににこりと笑って応えてでした、そのうえで。
皆で一緒に王宮に向かいました、今度は衛兵さんに案内されて。
王宮も薔薇の枝や葉で造られていてです、様々な色の薔薇があちこおちに咲いていて。
とても奇麗です、その宮殿の中に入ってです。
やはり薔薇で飾られた他には絶対にないその中も進んで、でした。
女王の間に入りました、女王は最初薔薇の葉が重なって出来た玉座に座っていましたが。
一行が入って来たらです、その真紅の花びら達を動かして笑顔で言いました。
「ようこそ、我が国へ」
「ええ、こんにちは」
トロットが女王に笑顔で挨拶を返しました。
「久しぶりにね」
「この国に来てくれたのね」
「そうなの、それでね」
ここでも自分達が来た理由をお話したトロットでした。
そして、です。そのうえで。
トロットは女王にも事情をお話したのでした、すると。
女王はにこりと笑ってです、トロットに言いました。
「では応急の貯蔵庫に行ってね」
「そこでね」
「ええ、好きなだけ持って行くといいわ」
その蜂蜜をというのだ。
「それこそね」
「またえらく気前がいいわね」
アンは女王の返事を聞いて目を丸くさせました。
「本当に別の国みたい」
「あら、貴女はウーガブーの国の」
「ええ、アン=アンヤコレヤよ」
「かなり前に来たわよね」
「それ以来ずっと来ていなかったわね」
「それは昔の私達と会って」
「そう、不愉快になったからね」
アンは正直に女王にお話します。
ページ上へ戻る