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ソードアート・オンライン stardust=songs

作者:伊10
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アインクラッド篇
movement Ⅰ 白き夜のクリスマスソング
  遺された言葉

剣をしまい、ソラからポーションを受け取った俺は、まずストレージを出して、膨大なドロップアイテムの中からある一つを探す。数秒後、呆気なく見つかったそれを実体化する。

「『還魂の聖晶石』………。」

通常の結晶よりやや大振りで虹色に輝いている。ポップアップメニューからヘルプを開き、その文面を一瞥するとキリトへゆっくりと歩み寄る。

「……アマギ……………。」

「コレが、お前が探した物だ。」

無造作に放る。キリトがキャッチし、俺と同じようにポップアップメニューを呼び出す。その文面はーーー

『死んだ者の魂を呼び戻せる石。ポップアップメニューから使用し、対象プレイヤーを選択するか、手に持って「蘇生〇〇(プレイヤー名)と言うことで、対象プレイヤーをHP全損から十秒以内なら蘇生出来ます。』



取って付けた様な末尾の一文が、彼を絶望に叩き込んだ。

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!あああああああああああああああ!!」

絶叫が響く。結晶を雪が積もった地面に投げつけ、何度も何度も、それは何度も踏みつける。さらには剣を抜いて叩き付ける。いつまでそうしていただろうか。やがて動きが止まり、地面にうずくまった。

「アマギ……………。」

「皆まで言うな。俺だって分かってる。」

一時間が過ぎ、三時間が過ぎ、やがて夜明けも近くなった頃。唐突にキリトが立ち上がった。

「……どこ行く?」

「ボスの所だ。」

「……………いい加減にしろ!」

「もう、俺にはこうするしかないんただよ。」

「お前……!!」

もう言葉は通じない。ならば
俺は剣を抜いた。

「ちょ、アマギ!?」

「止めんな、ソラ。このバカの根性叩き直してやる。」

(きっさき)をキリトに向ける。キリトも剣の柄に手をかけ、一触即発の状況になる。五秒が過ぎ、十秒が過ぎた辺りで、互いに示し合わせたかの様に一歩踏み込むーーーーー
いや、踏み込もうとしたところでキリトが動きを止めた。ノロノロと手を動かし、メニューを呼び出す。恐らくストレージから取り出したのだろう。手に持った煌めきは録音結晶だった。

「……………?」

疑問に硬直する俺を他所に、それを再生するキリト。流れ出したのは少女の声だった。

「これは………!?」

記憶が確かならばサチという少女の声だ。キリトの後悔の根元。守ると約束し、果たせなかった相手。そこまで理解した時、俺は剣を納めた。

「ねぇ、」

「ああ、もう大丈夫だろ。」

踵を返す。ここからなら自分で立ち直るだろう。ワープポイントに入る直前。背後から歌が聞こえた。確か「赤鼻のトナカイ」だっただろうか。そこから先はーーー







「アマギ!?それにソラ!?どうしてここに!!?」

出て来た俺達を出迎えたのは、悪趣味なバンダナを巻いた、野武士面のカタナ使いだった。

「いたのか、クラインさん。まぁ訳アリで。」

「訳アリって……ってそんな事よりアイツは!?キリの字はどしたぁ!!?」

「生きてますよ、ちゃんと。自殺も無い筈です。ただボロボロなんで圏内まで付き添ってやってください。」

「そうか……なら良かった。」

「じゃ、あとは頼みます。」

「おう!任せとけってんだ!!」

さらっとキリトの護衛を押し付けるも快く承諾してくれる。そのままここを後にした。





「はー、よーやく終わったー。」

「でも、よかったわね。何とかなりそうで。」

「ああ、ぶっちゃげ不安だったんだけどな。」

「でも、一時はどうなるかって気が気じゃなかったわよ。いきなり剣抜いちゃって。」

「悪い悪い。あ、お詫びってわけじゃねーけど……、」

そこで俺はストレージから一つのアイテムを実体化する。

「ほれ、クリスマスプレゼント。」

それは銀細工のネックレスだった。

「わぁ、綺麗。どうしたのコレ?」

「ああ、作った。」

「作った!?」

「うん、俺細工スキル上げてるだろ?」

そう、俺は細工スキルをとっている。何故か?シエラさんが店の内装を俺に押し付けてきたからだ。

「で、どうせだから自分用のマジックアクセサリーでも作ろうって思ったら結構いい感じのが出来てさ。折角だから渡そうかと。」

「へぇー。あ、スゴイ。AGLが10も上がるんだ。」

「おう、ミスリルから作ったからな。どうだ?」

「うん、ありがとう。」

瞬間、ソラは一瞬ドキッとする笑みを俺に向けて来た。直視出来なくて目を逸らしてしまう。横目で見た彼女の頬が赤く染まっているのは多分朝日が当たっているせいだろう。と、その時二人同時にメッセージが届いた。差出人はシエラさん。文面は

『クリスマスパーティーやるよ!直ちに店に集合!!』

「だってさ。行くか?」

「まぁ、予定も無いしね。」

そこで猛烈な空腹感が襲ってきた。考えてみれば一晩中飲まず食わずで戦ってたのだ。当然だった。

「じゃ、行くか。」

二人で転移結晶を取り出す。一瞬二人で笑いあってから、店のあるシリウスの街に転移した。


movement1 白き夜のクリスマスソング 了
2016,2,14 
 

 
後書き
終わったー。ってアマギ君、何イチャついてんのかな君
アマギ「知るか!あんたが書いたんだろーが!!」
だってさ、そっち方向のフラグもしっかり回収しないと
アマギ「まぁ、伊10の表現力じゃ限界あるだろうけどな。」
…………まあね
アマギ「てか俺、細工なんて持ってたのか。」
うん、シエラさんのお店の椅子とかテーブルとか皿とかは全部君のタダ働きの結晶だよ。
シエラ「そうそう。思ったより出来が良くてね。そうだ、今度銅像とかも作って欲しいな。」
アマギ「シエラさん!?なんでここに!?」
呼んだ
シエラ「フッフッフッ、こんな面白そうなコーナー、私抜きでやらせるわけ無いだろう。」
じゃ、シエラさん。次回予告どーぞ
シエラ「次回はキャラ紹介2だ。アマギ君のステータス公開やら他の星屑之歌のメンバー紹介をやるよ。私も出るから是非とも読んでくれ。」
アマギ「ステータス公開!!?聞いてねーぞ!!!」
はーい、また次回~ーー
アマギ「おい待てえぇぇぇ!!!」 
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