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歌集「春雪花」

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 春近し

  晩冬の朝

   なお凍みし

 硝子に描く

    夢の静けき



 春も段々と近づいている…そんな陽気が増えてきていても、やはりまだ冬なのだ…。

 底冷えの朝に、また窓硝子が凍りついて…美しい紋様を描いていた。

 また私はそれを見つつ彼を想うが…どれだけ想っても叶わぬ夢…。

 そう…窓硝子に描かれた美しい紋様と同じく、ただ静かに消えてゆくだけの夢なのだ…。



 想いても

  聞こえぬ声に

   溜め息を

 つきてや淋し

     晩冬の空



 ここでどれだけ彼を恋しいと想っても、彼の声さえ聞くことは出来ない…。

 淋しさに溜め息をついて見上げた空は…雲ひとつない青い空…。

 もうすぐ…彼がここからいなくなって一年が経つ…。


 私は一体…何をしているのだろう…?



 
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