リリカルなのは~優しき狂王~
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第一話~訪れた世界~
前書き
まだ慣れていないのであまり読みやすくないかもしれません。
それと基本的に誰かの視点で書く事は無いと思います。
タイトルに「なのは」とついてるのに出番はまだありません。
ついでにヒロインも決めていません。もしリクエストがあれば参考にするので感想に書き込んでください。
聖王のゆりかご内部
二人の人間が薄暗い部屋の中で、空中にディスプレイを表示して話し合っていた。一人はスーツの上から白衣を纏った男性。そしてもう一人はOLのような格好をしている長髪の女性だった。
ドクター「ふむ、聖王のゆりかごを発見してから早数か月。ある程度の解析と調査は終了したが、まだ未解析の部分もいくらかあるな。」
ウーノ「はい。しかし現時点で解析の終了している区画だけでも計画に必要なスペックは十二分に発揮するという計算結果がでています。」
ドクター「その通りだがね、ウーノ。私はあくまでも科学者なのだよ。どんなことにも完璧な物を求める。それが科学者という生き物さ。」
どこか演説をするように両手を広げ、語りだす科学者。一般人が見れば呆れてしまうような仕草でも、もう一人の女性は慣れているのかそのまま会話を続ける。
ウーノ「承知しています。もうすでにガジェット数機を偵察に向かわせています。安全性が確認されれば私が直接解析に行きます。」
ドクター「んっ?君が直々に行かずともガジェットの解析データを確認した後に、気になる箇所があれば私が行くが?」
ウーノ「……」
今まで無表情なまま会話をしていた女性は、初めて考えるような表情をみせた。訝しんだ男性はすぐに訪ねた。
ドクター「…何か気になることがあるのかね?」
ウーノ「…実はここ数日、ある電気信号がゆりかご内の施設に流れているのです。始めはゆりかご特有のものかと思っていたのですが、それが人間の脳波の波形に酷似している事が判ったのでその信号をたどった結果、それの発信源がどうやら解析の終わっていない区画の中心にあるようです。」
ドクター「ほう…。興味深いな。メインの動力源とブリッジ以外にもこのゆりかごにアクセスできるものがあるかもしれんというわけか。ちなみに人間の脳波というのはどんなものだ?」
ウーノ「もっとも酷似しているものは人が眠る時、それも夢を見ている時のものでした。」
少し考える仕草をした後、男性は再び口を開いた。
ドクター「ゆりかごの中で見る夢か…。ロマンはあるが現実的な話ではないな。なにか判れば教えてくれるかい?ウーノ。」
ウーノ「解りました。」
そして、女性はその部屋をあとにした。
ゆりかご内・一室
それは今まで自分の通った道だった。始まりは全てのものが美しく見えていた、しかしそれを塗り潰したのは他人の悪意だった。その悪意を払うためにすべてを赤く染めたのは自分の願いだった。そしてその願いという業から逃げるために色を捨てそれから……
新しい色を教えてくれた人たちがいて、色を他人に与えることができて…………
ライ「…ここは?」
ライは目を覚まし、辺りを見回した。
ライ(見たことがない部屋?…いや雰囲気が神根島の神殿と似ている。ならここは神根島の神殿内か?いやそれよりも、どうして僕は生きている!?僕はゼロレクイエムで…)
自分の記憶と現状を把握するために思考に浸りかけた瞬間、その音は聞こえた。
‥‥‥ィィィィィン
ライ「!‥何かくる?」
(どうする?現状が判らない上この音は明らかに人の出す音じゃない。もしKMFならその場で射殺される可能性がある‥けれど何もできない状態なら相手も警戒を緩めるか?)
ゼロレクイエムによって、彼は世界の憎しみを背負った。そのため彼を殺したいと考える人々は多くいたのだ。そのため、ゼロレクイエムが完遂されるまで、多くの暗殺者が動いていた。しかし、ライはルルーシュと同等かもしくはそれ以上の知略、そしてスザク以上の実戦経験と身体能力を併せ持っていたため、暗殺は起きる前に鎮圧されるか、もしくは返り討ちにされるかのどちらかであった。
今のライは自然と自己防衛の方に意識が向いていたために、生き残る方法を考えていた。しかし……
ライ「!!!!!!!!??????? いっーーー‥‥」
(これって‥ギア‥スの‥‥)
突然、頭に刃物でも入れられたような痛みに、理性ではなく本能が意識を手放そうとする。しかし最後の意識が足を動かし通路の方に体を運ぼうとしていた。そして倒れた勢いで上半身だけが通路に出る。意識が途切れる最後に見たのは楕円形の浮かんだ機械と長い髪をした女性。機械も女性も背中から光を浴びていてシルエットしか見えなかった。
聖王のゆりかご内部
ドクター「それで例の発信源の区画にいくと彼が倒れていた、と?」
女性からの報告を、ライの身体データを取りながら確認していく男性。
ウーノ「正確には倒れこんできた、ですが。彼は聖王の関係者なのでしょうか?」
ドクター「いや血液を調べたが血縁者ではなかったよ。………」
データの確認作業の途中に突然男性の動きが止まり、徐々に口元がゆがみ始めた。
ウーノ「ドクター?」
ドクター「くっくっ……ハッハッハッハッハ!!!
イイッ実にイイッ!ウーノ、君はとてもイイ物を見つけてくれた!!」
ウーノ「?彼になにかあるのですか?」
ドクター「これを見給え。」
そう言うと調べていたデータが空中ディスプレイに映し出された。
ウーノ「?………これは。」
ドクター「そう彼は体をだれかに改造されている。しかも私が知りえるどの技術にも該当しない方法で!いやその言い方は適切ではないな。私と違うアプローチの仕方で体を改造している。私が機械を体に移植して作ろうとしている戦闘機人が機械によって人の限界を突破しようとしているのだとすれば、彼の場合は人の限界をとことん引き出そうとするためにあえて機械を埋め込まずに生身の限界を引き出そうとしている。」
子供のようにはしゃぎながら、言葉を重ねる男性に女性は質問した。
ウーノ「では彼は純粋な人間の中では最高の性能を持っているということですか?」
ドクター「一応はその通りだよ。だから彼には利用価値がある。」
ウーノ「では彼にも戦闘機人の処置を?」
ドクター「いやそれはできない」
ウーノ「?」
この返答に女性は疑問を覚えた。彼は人体改造に対する研究にかなりの熱意を持っている。そしてそのいきすぎた研究のため、かなりの危険人物と見られているあの”ジェイル・スカリエッティ”だ。そして彼に作られた存在である女性、”ウーノ”は彼についてある程度の理解を持っていた。
しかし彼女の知っている彼は、興味対象に何も手を出さないような人間ではないはずであった。
ドクター「彼は完成されている。これ以上何か改造を施せば逆に使い物にならなくなる可能性の方が高い。彼に手を加えるよりも彼の身体データを調べて君のこれから生まれてくる妹たちのアップデートに利用した方がいい。」
彼からの返答に納得した彼女は最後に質問した。
ウーノ「解りました。ではこれからの彼の処遇は?」
ドクター「研究対象とは言っても大事な人材だ。客人として扱ってくれ。」
研究所内・一室
ライ「……うっ……」
ウーノ「気が付かれましたか?」
ライ「!?」
聞き覚えのない声に即座に反応し、臨戦態勢をライはとった。
ウーノ「警戒せずともこちらにあなたに危害を加えるつもりはありません。」
ライ「……ここは?」
見覚えのない女性に警戒を解かずに質問する。
ウーノ「ここは我々が研究を行っている施設の一室です。あなたは私の前に倒れこんできたのです が……覚えていますか?」
彼女からの言葉に、倒れる瞬間の記憶を思い出す。
ライ「…最後に見たのが丸い機械と髪の長い女性ということは覚えている。」
ウーノ「その女性が私です。あなたにはいくつか質問したいことがあるのですがよろしいですか?」
ライ「……こちらもいくつか確認したいことがある。だからこちらからの質問にも答えてもらいたい………!」
その時、ライは思い出した。自分が気絶した原因が、ギアスが暴走した時に起きる頭痛と酷似していたことに。そして、その頭痛がギアスの暴走が原因ではない。なぜならもしギアスが暴走していたのなら、先の会話の「こちらからの質問にも答えてもらいたい」という言葉で目の前の女性にギアスがかからなければならないからだ。そのことに、内心で驚いていた。
ウーノ「どうかしましたか?」
ライ「いや……なんでもない。それでこちらの質問は?」
ウーノ「ええ。私から答えられる限りはお答えします。」
ライ「わかった。……えーと」
そこで目の前の女性の名前を知らないことに気付く。彼女も察したのか自己紹介を始めた。
ウーノ「ウーノといいます。そのまま御呼びください。」
ライ「はぁっ、ではウーノさんと。僕は…ライ・ランペルージ。」
ここでは、本当の名前を名乗らずに親友の使っていた偽名のファミリーネームを使った。
ウーノ「ではライ。なぜあなたはあの場で倒れていたのですか?」
ライ「わからない。気づいたらあの場にいたとしか…」
ウーノ「ならあの場にいる前にはどこにいたのか覚えていますか?」
ライ「はい。エリア11……日本の神根島にいた。」
ウーノ「?」
ウーノが首を傾げ、不可解なものを見るような視線を向けてきたので、ライも首を傾げた。
ライ「あの……?」
ウーノ「すいませんがエリア11というものもカミネジマという地名にも聞き覚えがありません。」
ライ「!……。ここの国はなんという名前だ?」
ここでライは強い違和感を覚えた。神根島の名前を知らないのはわかる。しかし、エリア11の名前に聞き覚えがないのはおかしいと感じたのだ。そこで、まずは自分の現在地を把握するために質問した。
ウーノ「国というよりもこの世界の名称になりますが、ミッドチルダです。」
ライ「……聞いたことがない」
(『国』ではなく、『世界』だと?…この認識の誤差はなんだ?)
ウーノ「……少し混乱しているようなのでこの世界のことを少し説明しましょうか?」
ライ「…頼みます。」
ウーノ説明中
ウーノ「大まかにではありますがこの世界の説明は以上です。」
ライ「……」
この時、ライが自分の置かれた状況に唖然としているのかとウーノは思っていたが、当の本人は…
ライ(魔法、多次元世界…なんかファンタジーの世界だな。いやギアスのことを考えれば僕は何かを言える立場じゃないな…)
自分も割と非常識な存在であることを思い出し逆に落ち着いていた。
ウーノ「つまりあなたは次元漂流者、簡単に言えば違う世界に迷い込んできたことになります。では次にライ、あなたの世界の説明をして頂いてもよろしいですか?」
ライ「ああ。」
ライ説明中
ウーノ「ブリタニア、皇歴、ナンバーズ、ナイトメアフレーム。あなたの世界はこちらの世界とは全く違う技術、文化が発達しているのですね。」
ライ「僕もそう思う。」
(ギアスのことは危険なことだから話さなかったが、むしろ話していたら信じられていなかったかもしれないな。)
この時ライは、まだ自分がバトレーの研究所から逃げ出したばかりの頃までの世界情勢を話した。
ウーノ「それでライ。あなたはこれからどうしますか?」
ライ「えっ?」
ウーノ「元の世界に帰りたいですか?」
ライ「……」
その言葉を聞いたとき、酷く胸が痛む自分がいた。
ライ(帰りたいと思うことがこんなに辛いとは思わなかったな。)
ゼロレクイエムを起こしたことにより、ライは世界の悪意や憎しみなどを背負って死んだ。いや、死ぬはずだった。しかし、今こうして生きていることが元の世界に戻ることによって知られれば、また新たな混乱と戦いを呼ぶ可能性があった。そのため、ライの答えは決まっていた。
ライ「いや、もう僕には元の世界に帰れない理由がある。だからこれからどうするかは、まだ……」
ウーノ「そうですか。なら少しの間ここにいますか?」
この返答にはいささか驚いた。なぜなら身元不明の不審者を滞在させると言っているのだから。
ライ「いいのか?自分で言うのもなんだが、かなり怪しい人間だと思うが?」
ウーノ「これまでの会話であなたの人柄はある程度わかります。それにこちらも人材が増えるに越したことはありません。」
ライ「しかし、ただでさえ助けてもらっておいて、これ以上の迷惑は…」
(それにギアスのことも……)
ライの心配はそこであった。いくら魔法が存在する世界でも、ギアス自体が異端な能力の可能性がある。ギアスのことが知られるのは、この見知らぬ世界でも致命的であるとライは考えていた。
ウーノ「こちらとしてはあなたの世界の技術にとても興味があります。あなたはその情報を我々に、こちらはあなたにこの世界の一般常識や生活に困らない程度の環境を、お互いに提供するということでどうです?」
ライ「取引と考えればいいのか?」
ウーノ「あなたがそれで納得するのでしたら。」
正直それは破格の条件だと思った。そしてこちらから与えられる情報もある程度絞ることができるため、こちらが損をすることは無いと判断した。
ライ「…分かった。少しの間世話になる。」
研究所・研究室
ウーノ「……以上が彼との会話のすべてです。」
ウーノは先ほどの会話をすべて報告した。
ドクター「なるほど。様々な世界を渡ってきたと思っていたが、まだまだ私の知らない技術の存在する世界はあるのだな!それが判っただけでも彼という素材は十分に役に立っているよ!」
ウーノ「これから彼をどうしますか?我々のことを説明しますか?」
ドクター「いや彼が強い正義感を持っているのなら私たちといるよりも、ルーテシアとゼストの二人といるのがいい。それに彼の身体データはあらかた取り終えた。無理に私たちの近くに置いておく必要はない。」
KMFの情報に多少の興味はあるが、現時点で優先すべきは戦闘機人の強化であった。そのため、今はライの身体データの方が重要度は高かった。
ウーノ「ではルーテシアお嬢様のようにデバイスを与えますか?彼にもリンカーコアがありましたが。」
ドクター「いやその必要もない。」
ウーノ「ですが、それでは彼が我々のことを知り裏切ったときに障害になりませんか?」
ドクター「そうなってくれるなら、彼には感謝以上の賛辞を送りたいね。」
ウーノ「どういうことですか?」
ドクター「もし彼が障害になるのなら私の技術とまだ見ぬ世界の技術、どちらが上かはっきりさせることができるじゃないか!!!」
後書き
なぜルルーシュやスザクではなく、ライを主人公にしたのかというと…彼が好きだからです!!!
R2バージョンのロスカラをまだ私は諦めてませんから!!!
ご意見・ご感想をお待ちしています。
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