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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第47話 水没した図書館

 
前書き
ミッションの続き 

 
エネルギー施設とボスを攻略してレジスタンスベースに戻ったゼロとルインはトレーニングルームにてゼロの新技開発をしていた。

ルインはHXアーマーに換装して、トレーニングルームを縦横無尽に飛び回っている。

「リコイルロッド」

フレイムのボディチップを起動、リコイルロッド形態に変化させ、エネルギーチャージを開始する。

「(リコイルロッドを使った技?チェーンロッドでもそうだけど…使える技なのかな?)」

「ソウルランチャー!!」

真上に向けてロッドのチャージ攻撃を繰り出すと、ロッドから四発の火炎弾が放たれた。

これが倒したキュービット・フォクスターのDNAデータを解析して得た新技だ。

「っ!!」

ルインは即座にダブルセイバーを振るい、火炎弾を掻き消した。

「どうだ?」

「うん、天井や空中にいる敵とかに使えそう。ロッドを使っての戦略の幅が広がりそうだね」

「そうか…これも受けてみるか?回収したコピーエックスのDNAデータから得た技だが…」

フレイムのボディチップを解除し、ボディを無属性…通常に戻すと今度はバスターショットを構えた。

「コピーエックスの…?一応あの子もエックスなんだし、使えるかもしれないから撃ってみてよ」

「ならPXアーマーのバリアを張っておけ。万が一怪我でもされたら困るからな」

「うん、分かった」

PXアーマーに換装して、言われた通りにバリアを張るルインに対してゼロはチャージを終えたバスターを向けた。

「リフレクトレーザー!!」

バスターの銃口から放たれた通常のチャージショットよりも細いレーザーが放たれ、レーザーはそのままルインの横を通り過ぎていく。

「え?」

見当違いの方向に飛んでいくレーザーにルインは目を見開くが、次の瞬間にその理由を理解した。

レーザーが壁に当たり、反射されたのである。

反射されたレーザーは数回反射を繰り返してこちらに迫る。

出力を最小限にしていたので、バリアは破られなかったが…。

「コピーエックスの技って反射レーザーなの?」

「ああ、俺がエリアX-2でコピーエックスと戦った時も奴はこれを使った。これは初見だったから流石に俺も一発喰らってしまったが」

コピーエックスの戦闘法は以前とは殆ど変わっていなかったために対処出来たが、リフレクトレーザーだけは初見だったために一発貰ってしまったが、ラーニングシステムで解析終了した後は、リフレクトレーザーは一発も当たらなかった。

「使えそうじゃない?どんな相手でも跳弾の軌道は読みにくいじゃない?まあ、ゼロみたいにラーニングシステムがあれば話は別なんだろうけど」

「そうか…一応戦力の足しにはなるか」

「ゼロ…気持ちは分からなくはないけど辛辣だよ」

二人はトレーニングを終えてトレーニングルームを出ると、シエルが待つ司令室に向かう。

「あ、ルインお姉ちゃん!ゼロ!」

お菓子が詰まったバスケットと、ベースの屋上に咲いている小さな花を持ったアルエットが二人の姿を認識して声をかける。

「アルエットか」

「アルエットちゃん、どうしたの?そのお菓子?それにそれってベースの屋上に咲いてある花だよね?」

「うん、これハルピュイアへのお見舞いなの」

アルエットの口から出たハルピュイアの名前にゼロは表情にこそ出さなかったが、驚いた。

「ハルピュイアにか?」

「うん、ハルピュイアに前、私の飴をあげたら食べてくれたんだよ。でもその後にね。難しいことばかり考えてるの、人間の食生活とかたくさん考えてた」

「ハルピュイアも食べられたんだね…エックスの子供だから可能性はあったけど、ハルピュイアが良く食べてくれたね?」

「だってハルピュイアはエックスとルインお姉ちゃんの子供だよ?食べられると思ったんだもん」

「え……あーうん、そうだねーあははは」

アルエットの無垢な視線と共に放たれる言葉はそんじょそこらの兵器よりも抗えない何かがある。

嬉しいやら恥ずかしいやらで照れ笑いをするルイン。

「ルインお姉ちゃん」

「えっと…何?」

「私ね、ハルピュイアのこと凄く怖い人だと思ってた」

「うん」

それはアルエットだけではなく、レジスタンスベースにいるレプリロイドのほとんどが抱いている気持ちだ。

レジスタンスのレプリロイドを多く斬ってきたハルピュイアは恐怖の対象として見ている者が多い。

「でもね、話してみると難しいことが多いけど、ちゃんと私の話を聞いてくれたりしてくれたの…ルインお姉ちゃん、ハルピュイアって優しいんだね」

「~~~っ、アルエットちゃん…良い子過ぎるよぉ…シエルの教育が良すぎる…」

ハルピュイアがアルエットとは言えレジスタンスで会話をする相手が出来たのは素直に嬉しかった。

そしてアルエットと別れて司令室に入り、モニターに映るエリアを見つめるゼロとルイン。

次に向かうエリアを水没した図書館に指定する。

「旧時代の図書館の遺跡が発見されました。内部は水浸しですが…どこかに生きてるデータがあるかもしれません。バイルやオメガのデータを探していただきたいのですが…」

「お願い出来ますか…」

「了解」

「うん、任せて」

二人は中央のトランスサーバーに乗り込んだ。

「ミッション発令…各員、転送準備にかかれ」

ジョーヌの指示で、司令室に警報が鳴り響き、転送準備が始まる。

「転送準備完了…」

「「転送!!」」

二人の声が司令室に響いたのと同時にゼロとルインの二人が水没した図書館へと転送された。

「無理しないでね…二人共。」

水没した図書館はその名の通り、内部は水浸しであった。

「うわあ、思っていたより酷いね」

「切断されたコードからは電流が流れているようだな」

水嵩がない今なら大したことはないが、水嵩が増えて切断されたコードにまで達してしまうと水の中に電流が流れるだろう。

出来るだけ時間をかけないように進みたいものだ。

『お二人共、まずはデータルームへ行って下さい。バイルやオメガの情報がある可能性はそこが最も高そうです』

「了解」

「了解、水浸しだから今回はLXアーマーが使えそうだね」

ゼロがZセイバーを抜き、ルインがLXアーマーへと換装してハルバードを握り締めながらジョーヌの指示に従い、水嵩が増える前に道を塞ぐメカニロイドを斬り捨て、亀のようなメカニロイドに気をつけながら先に進んで壁を蹴り上がる。

そして上のシャッターを抉じ開けて部屋の中に入ると、ルージュから通信が入る。

『ここが、データルームです…。そこのコンソールで…バイルのことを検索お願いします。検索すると…データが納められたエリアが表示されるはずです。そのエリアへ行ってデータを回収して頂けませんか?近くまで行けばルインさんのアーマーの能力で見つけられるはず』

「分かった」

「えっと…該当するデータが四つ…。“バイル”、“オメガ”、“ダークエルフ”、“妖精戦争”…。」

コンソールを操作し、まずはバイルのデータを探す。

バイルのデータがあるエリアは青、青、黄の真ん中の扉にあるらしく、次にオメガのデータがあるエリアは青、黄、赤の真ん中の扉にある。

そしてダークエルフのデータがあるエリアは黄、赤、青の真ん中の扉にあるようだ。

「えっと…最後の“妖精戦争”のデータは…」

最後の妖精戦争のデータがあるエリアは緑、青、青の真ん中の扉にあるらしい。

「ゼロ、行こう。まずはバイルのデータからね」

「ああ」

データルームを出て、モニターに映っていたバイルのデータがある扉のある場所に向かう。

途中で妨害してくるメカニロイド達を蹴散らし、そして水の中に飛び込む。

「えっと…バイルのデータがあるのは青、青、黄の……」

LXアーマーのサーチが反応を示し、真ん中の扉を開ける。

そして部屋の中に入り、他のデータディスクとは違う色のデータディスクを発見した。

「これかな?」

「……貸してみろ、ファイルナンバー6530326--Dr.バイル--。ネオ・アルカディア所属……。オメガの製作者…マザーエルフを改造し、妖精戦争を引き起こす…妖精戦争での責任を問われ、ネオ・アルカディアを追放される…。」

「ビンゴ、このデータをシエル達に頼んで解析すれば、バイルについて、更に情報が手に入るかもしれないね」

「そうだな、次はオメガのデータだ。急ぐぞ」

部屋を出て、次はオメガのデータがある扉の方に向かう。

幸い、オメガのデータのあるエリアの扉はすぐ近くにあり、中に入るとオメガのデータが入ったデータディスクを発見した。

「ファイルナンバー815156--オメガ--。Dr.バイルに造られた究極のレプリロイド…。ダークエルフと組み合わせることにより、恐ろしい力を発揮する。妖精戦争の悲劇を繰り返さぬため…宇宙へ追放される…。」

「このデータを解析すれば、オメガについて更に情報が手に入るかもしれない………。次はダークエルフのデータを回収に向かうぞ」

部屋を出てすぐ近くにある扉に入ると、ダークエルフのデータが入ったデータディスクを回収した。

「ファイルナンバー351848--ダークエルフ--。正式名称:マザーエルフ。製作者不明。元々……イレギュラープログラムを元に戻し……イレギュラーを救うために造られた…サイバーエルフであったが……レプリロイドを操るため…プログラムを自由に書き換えることが出来るよう……Dr.バイルによって改造された………改造されたマザーエルフに操られたレプリロイドが組織的に戦うことにより…戦争は終結を迎えたが…その強大な力が悪用されることを恐れ、封印される。」

「ダークエルフ…エルピスが言っていたように最初から邪悪な存在じゃなかったんだね…。Dr.バイルが余計なことをしたせいで…このデータを解析すればダークエルフのことについて他にも何か分かるかもしれないね」

部屋を出て、最後の妖精戦争のデータがあるエリアの扉を探すと少し離れた場所に緑、青、青の順で並んでいる扉を発見した。

アーマーのサーチ能力も反応しているため、間違いないだろう。

扉を開け、中に入ると妖精戦争のデータが入ったデータディスクを回収した。

「ファイルナンバー945388--妖精戦争--。…………………ん?何これ?…えっと…戦争の終わり……サイバーエルフ………………使用され………………これ以後………………妖精戦争…………………ダークエルフ…………と…そのコピーである………………使用に……………………………力を増幅……同時に………………………………することが、可能に………からは……………………の……最悪の……………………戦争は、……………………終結…………………………ほぼ90%………………………………した………ああもう、データが破損してて全然分かんない。シエル、何とか出来ない?」

『そうね…多分、ベースでなら修復出来ると…思うわ……ありがとう…二人共…』

「うん、それじゃあ私達もそろそろ戻るよ。転送を……」

「待て」

「え?どうしたの?」

オペレーターに転送を頼もうとしたルインだが、ゼロに止められ、ゼロの見ている方角を見遣ると一体のレプリロイドが現れた。

「何あれ?」

「…だ…誰だ…俺の…縄張りに……来た奴は……ゼ…ゼロ…!それに…ルイン…!ひっ…ひひっ!そうか…お前らか…!ひひっ…!!」

レプリロイドが狂った笑い声を発しながら全身が光で包まれ、光が消えると鰻型レプリロイドが現れた。

モニターで見たヴォルティール・ビブリーオだ。

ルインはHXアーマーに換装して、ビブリーオをエネミーアナライジングで解析する。

「(ヴォルティール・ビブリーオ…バイル八審官こと、バイルナンバーズの一人で左雷審官。正体は水中機動用の流線型フォルムを持つ電気鰻型のレプリロイド。機動性を優先するため、体内の帯電シールドが不完全な物になっている…。雷属性なら氷属性が有効だね)」

ルインはゼロにエネミーアナライジングの解析結果を送るとゼロはアイスのボディチップを起動した。

「俺は…バイル・ナンバーズ…ヴォルティール・ビブリーオ。何だ…その手に持っているのは…そのデータ…返せ…返せぇぇぇっ!!」

絶叫しながら凄まじい速度で迫るビブリーオだが、ルインとゼロに焦りはない。

「残念、これは私達にとって必要なデータなの。バイルの手下の君に返すわけないでしょ」

データディスクをしまうとLXアーマーに換装してハルバードを構えた。

「邪魔をするのなら倒すまでだ」

ゼロがダッシュでルインとビブリーオの間に入るとリコイルロッドのチャージ攻撃を叩き込む。

「こ、こいつめ!!」

吹き飛ばされたが、何とか体勢を立て直して部屋の中にある穴に入り込むビブリーオ。

そしてしばらくして右の穴から頭を出してきた。

ルインはそれを見て、ビブリーオに向かってウォータージェットを噴かして急接近する。

水中であるここは、LXアーマーの性能を100%引き出せる場所でおまけに敵は雷属性で氷属性に弱いというのも幸いだ。

「オーバードライブ!!」

ハルバードに氷属性を付加させ、ビブリーオに斬り掛かる。

氷属性に弱いビブリーオがまともに喰らえばただでは済まないだろうが、ビブリーオがあっさりやられてくれるはずもなく、こちらに向かって電撃弾を放ってくる。

「甘いよ!!」

通常のレプリロイドなら直撃を喰らっていたかもしれないが、LXアーマーは水中戦闘に特化したアーマーである。

ウォータージェットを噴かして部屋を縦横無尽に動き回り、ビブリーオの顔面に一撃を入れた。

「うぎゃあああ!?」

弱点の氷属性の一撃をまともに顔面に喰らったビブリーオが痛みに悶える。

その隙にバスターのチャージを終えていたゼロが至近距離で繰り出す。

「ブリザードアロー!!」

冷気弾から氷弾が数発放たれ、ビブリーオに直撃する。

「うぎぃいいい…っ!!」

弱点の氷属性を連続で喰らい、ビブリーオは痛みに悶えながらも血走った目でゼロとルインを睨む。

「ワイヤーショット!!」

今度はビブリーオが尻尾で素早くパンチを繰り出してくる。

しかしゼロとルインはそれをかわすとセイバーとハルバードを振るった。

「斬鋭弾!!」

「アイスブロック!!」

氷属性の斬撃と氷塊が繰り出され、ビブリーオに直撃させる。

このままではやられると思ったのか部屋にある穴に入り込む。

「しまった…!!」

逃げられたと思ったが、時折穴から飛び出しながら電撃弾を放つところを見るとそうではないようだ。

「一体何を企んでいる……?」

訝しげにビブリーオの妙な行動を見るが、どんどん増えていく電撃弾に見ていられなくなり、回避行動に徹しなければならなくなる。

全ての電撃弾を回避して床に着地した瞬間。

「今だ!!エレクトリックケージ!!」

尻尾から部屋の壁、床、天井全体に電撃を走らせる。

「ぐっ!?」

「ううっ!?」

「ひぃっひひひひひっ!俺のエレクトリックケージは並みの戦闘用レプリロイドなら一撃で破壊出来る威力を持っている!これで終わりだ!Vレーザー!!」

尻尾からV字状のレーザーを連射し、二人が直撃を受けて爆煙がゼロとルインを包み込んだ。

「ひ…ひひ…っ、データまで壊したかもしれないが…ま…まあ…奴らの手に渡るくらいなら」

次の瞬間、煙からゼロとルインが飛び出してきた。

「!?」

「てやっ!!」

「はあっ!!」

オーバードライブで強化したハルバードとチャージセイバーを叩き込み、ビブリーオをX字に斬り裂いた。

「あ、あの攻撃を受けて…い…生きて…何だ…何なんだお前ら…!バイル様に逆らうのが…怖くないのか…!?い、イカレてる!!ひゃあああああああっ!!」

断末魔の叫びを上げながらビブリーオは爆散した。

それを見届けたゼロはデータディスクが無事であることを確認し、レジスタンスベースに通信を繋げた。

「ミッション終了。転送してくれ」

『了解、転送します』

転送の光に包まれた二人はレジスタンスベースへと転送された。

「転送終了まで…2…1…転送!!」

ゼロとルインが司令室のトランスサーバーに出現した。

「お疲れ様でした」

ゼロとルインがトランスサーバーから出ると、シエルが駆け寄ってくる。

「二人共…ありがとう…。回収してくれたデータは今、全力で分析にかけてるわ…。過去のデータを分析することで…バイルが今、何をしようとしているか…分かるかもしれない。私も…頑張るから…ね…。」

「うん、でも無理はしないでね。シエルが倒れたらみんなが心配するからさ」

「ええ、ありがとうルイン」

互いに笑みを浮かべるルインとシエルにゼロは回収したビブリーオのDNAデータを見遣りながらトレーニングに誘うのはもう少し後にすることにした。 
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