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新オズの腹ペコタイガー

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第九幕その九

「それならね」
「誰かにミシェルさんの居場所を聞こう」
「そうね、それがいいわね」
 オズマはハンクの提案に頷きました。そして実際にです。
 近くにいる牛さんに尋ねるとです、牛さんはこう答えました。左斜め上の方を自分のお顔で指し示してです。
「あそこにいるよ」
「あっ、そういえば」
 ここで言ったオズマでした。
「紫の服の人がいるわね」
「見えるかな」
「ええ、小さくだけれど」
 オズマはその人をよく見つつ牛さんに答えました。
「見えるわ」
「あそこにいるのがミシェルさんだから」
「だからなのね」
「行くといいよ」
「わかったわ、それじゃあね」
「とにかく広い牧場だからね」
 何しろ中にいる人が小さく見える位です、もう向こう側の柵は見えないです。地平線みたいにすらなっています。
「見付からないよね」
「中々ね」
「だから僕に聞いて正解だったよ」
「そうね、ハンクの提案通りね」
 ハンクを見て言うオズマでした。
「お陰で助かったわ」
「そう言ってくれると何よりだよ」
「それじゃあね」
「今からね」
「僕はここにいるから」
 牛さんは牧草を食べつつオズマ達に答えました。
「それじゃあね」
「ええ、またね」
 こうお話してでした。そのうえで。
 オズマはその今は小さく見えるミシェルさんのところに行きました、近付くにつれミシェルさんが家畜達に異常がないのか見ているのがわかりました。
 そしてです、かなり歩いてミシェルさんのところまで行くと。太ってとても優しい笑顔の白いお肌のギリキンの紫の服を着た男の人がいました。
 その人からです、オズマに気付いて言ってきました。
「これはオズマ姫」
「お久しぶり、ミシェルさん」
 オズマは微笑んでミシェルさんに挨拶をしました。
「お元気そうね」
「この通りですよ」
 にこりと笑って答えたミシェルさんでした。
「私はいつも元気です」
「それは何よりね」
「それでこちらに来られた理由は」
「実はね」
 オズマはミシェルさんにも理由をお話しました、そのお話を聞くとです。
 ミシェルさんは満面の笑顔でこうオズマに答えました。
「わかりました、どうぞ」
「貰っていっていいのね」
「はい、牛肉でしたら」
 そのオズマが欲しいものをというのです。
「好きなだけ持って行って下さい」
「悪いわね」
「いいですよ、本当に幾らでもありますから」
 これがミシェルさんの返事でした。
「どんなお肉もミルクも」
「幾らでもですか」
「冷凍庫に行けばね」
 ミシェルさんはナターシャにも笑顔で答えます。
「山の様にあるよ」
「そうですか」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「好きなだけ持って行ったらいいよ」
「何か悪いですね」
「いいよ、遠慮はね」
 ミシェルさんも笑顔でこう言うのでした。 
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