肥えるもの
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第四章
「鳥越太一郎はおかしい
「そうだな、保守系は攻撃するが」
「革新派は一切攻撃しない」
「革新勢力の不祥事は一切報道しない」
「労働組合の悪事も」
「マスコミの不祥事もな」
「そしてだ」
しかもともだ、ここでだった。
「鳥越の報道は真実か?」
「あそこまで一方的だと嘘を言っていることは有り得ないか?」
「マスコミも嘘を言うことはないか?」
「大本営発表はどうだった」
「あれは嘘が多かったぞ」
「それならだ」
「今のマスコミもだ」
それこそというのだ、そしてだった。
彼等は鳥越の一連の発言や行動を検証していった、その結果とんでもないことがわかった。
「鳥越は嘘ばかり言っているな」
「ああ、間違いない」
「あいつは虚言家だ」
「政治家のスキャンダルにしてもだ」
「企業や官僚もだ」
彼等への報道もというのだ。
「事実があるにしても」
「針小棒大に言っている」
「そしてな」
「捏造も多いぞ」
「革新派に都合の悪いことは絶対に報道しない」
「しかもだ」
lここでだ、彼等がとりわけ問題としたことは。
「慰安婦、強制連行、とにかく日本軍に関する報道はな」
「捏造だらけだぞ」
「良田の発言は全部事実じゃない」
「元慰安婦の発言も証言すると矛盾だらけだ」
「これは報道か?」
「意図的な捏造だぞ」
「こんなことが許されているのか」
保守系知識人達はこのことに驚愕さえ感じていた、もっと言えば戦慄をだ。
「マスコミが嘘を言ってどうする」
「そしてこの嘘は過失じゃないぞ」
「故意だ」
この指摘も為された。
「鳥越も番組スタッフも意図的に嘘を報道しているぞ」
「視聴者、国民を騙す為に」
「しかも日本を貶める為にだ」
「こいつは何者なんだ」
「人間として最低な奴だぞ」
「この男は許してはならない」
「絶対にだ」
保守系知識人達はこう言い合ってだ、そしてだった。
総合誌や週刊誌で鳥越や彼の報道番組のことを書いた、これによって彼の正体が世に知られる様になった。だが。
総合誌や週刊誌を読む者がいてもだ、それでもだ。
「テレビが一番強いんだ」
「そうですよね」
今度は最高級のバーで飲みつつだ、鳥越は上司に応えていた。
「新聞よりも強いですね」
「連中が幾ら総合誌とか週刊誌で言ってもな」
「テレビの方がずっと強いですよ」
「家にずっといるおばさんがそうした雑誌とか読むか」
上司は嘲笑して言った。
「普通のサラリーマンだってな」
「あと子供も」
「そんな雑誌読むか」
「複数の新聞を読み比べることもしませんね」
「テレビを観るだけだ」
「そしてテレビの言うことを信じる」
「しかもテレビは読むんじゃない」
上司はカクテル、特製のそれを飲みつつ言った。
「観るだろ」
「映像ですね」
「映像のインパクトは強い」
「それこそ読むよりも」
誌面をだ。
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