思春期
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第一章
思春期
中学二年生になった、二年になっても私達は同じクラスだった。思えば小学校の三年の時からずっと同じクラスだ。
その娘がだ、私と一緒に休み時間を過ごしている時にこんなことを言って来た。
「あのね、最近胸がね」
「大きくなったっていうのね」
「そうなのよ、それでね」
困っている、けれどそれ以上に嬉しいといった顔での言葉だった。
「ブラ買い換えないといけなくなったのよ」
「そうなのね」
「あんたもよね」
「まあね、実は最近ね」
私も少し笑って応えた。
「買い換えたわ」
「そうよね、何かね」
「徐々にだけれどね」
「胸が大きくなって」
「お尻もね」
「あと背は前からで」
「大きくなってきてるわね、私達」
私は彼女に笑って返した。
「子供じゃなくなってるのね」
「大人になってるのね」
「よく先生達から言われるけれど」
「そうよね、何か一日一日で」
「女の人になってるのね」
「ねえ、大人の女の人ってね」
彼女は目をきらきらとさせてだ、私に言って来た。
「夜にバーとか行って」
「格好よくカクテルとか飲んで」
「スーツを着てね」
「そんな感じよね」
「大人になりたいわ、早く」
うっとりとしての言葉だった。
「そう思うわ」
「そうね、私もね」
「そうよね、二十歳になって」
「あと七年ね」
中学二年生になりたてだ、だからまだ私達は十三歳だ。私は六月に、彼女は九月にそれぞれ十四歳になる。
その七年、七年がだった。
「長いわね」
「七年もあるのよね」
「その間ずっとお酒飲めないのよね」
「法律的にはね」
「やれやれね」
「本当にね。ただ」
「ただ?」
「結婚はね」
ここでだ、彼女は。
その顔を少し赤くさせて声を小さくさせてだ、私に言ってきた。顔も寄せて。
「出来るわよ」
「十六になれば」
「そう、出来るわよ」
「高校生だと実際は無理だけれど」
「法律ではオッケーよ」
「そうよね、結婚ね」
「やっぱり結婚したいわよね」
「当たり前よ」
私は彼女にすぐに答えた、まさに即答だった。
「結婚して赤ちゃん産んで」
「お母さんになりたいわよね」
「赤ちゃんね」
ここでだ、私は自分の顔が真っ赤になったことに気付いた。
「赤ちゃん産むって」
「つまりはね」
見れば彼女もだった、真っ赤な顔になっている。そのうえでの言葉だった。
「あれ、するのよね」
「ええ、あれね」
「あれね」
お互いにだ、真っ赤になったまま話した。
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