クロンペン
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第二章
「仕事だけにな」
「完璧主義ね」
「それが俺だろう」
笑ってだ、ホセはクリスティーネに返した。
「仕事はな」
「いつも完璧で」
「それで成功させるんだ」
「それが信条だったね」
「というか完全を期しないとな」
それこそというのだ。
「仕事ってのは上手くいかないものなんだよ」
「完璧を目指しても抜けたところがある」
「そうしたものだからな」
「完璧と感じていても」
「人間自体が完璧じゃないからな」
この辺りはグノーシス的思想だった、ホセはオランダ人らしくプロテスタントであるがそちらの考えもそn中にあるのだ。
「どうしてもな」
「それがあるから」
「ああ、今回の仕事もな」
「完璧主義ね」
「それでいこうな」
「だからこそ」
ホセのその言葉を聞いてだ、クリスティーネは言った。
「オランダのことを売り出すにしても」
「細かい演出まで徹底的にやろうな」
「わかったわ、それじゃあね」
「我が国の色を出す」
具体的にはそうするというのだった。
「そうしていくか」
「オランダのね」
「はっきり言うとな」
ホセは実際にそうした口調で言った。
「オランダ料理は知名度が低い」
「というか全然ないわね」
「パンとニシンとな」
「他はね」
「めぼしいものないからな」
「ビールをよく飲むけれど」
それでもだった。
「それもね」
「ドイツもチェコもだからな」
「むしろあちらの方が多いわね」
「ある料理は他の国にもある様なものばかりだ」
「ソーセージもチーズも」
「そんなのだからな」
「宣伝はね」
「実際かなりしないとな」
実際に考えられることをだ、ホセはクリスティーネに言っていく。
「成功しそうにないな」
「そうね、ベルギーのお料理の方がね」
オランダにとって兄弟国と言っていい、かつては共にハプスブルク家の領地であり同じ国になったこともある。
「有名よね」
「ワッフルとかな」
「フランスやドイツは言うまでもないし」
「ドイツは質素でもな」
それでもというのだ。
「有名だからな」
「ソーセージにジャガイモに」
「その二つでな」
「そうした他の国みたいに宣伝するには」
「徹底的な宣伝だ」
「オランダを前面に出した」
「それでいこうな」
ホセが言ってだった、そのうえで。
二人でだ、今回の企画について考えていった。だがオランダ料理の現実を考えれば考える程であった。まさに。
オランダ料理の知名度の低さ、そして彼等から見て個性の乏しさを痛感してだった。クリスティーネは喫茶店でコーヒーを飲みつつ共にコーヒーを飲むホセに言った。
「正直ね」
「ああ、とてもだよな」
「宣伝をしてもね」
「他の国の朝食の宣伝だな」
「それをしているみたいなものね」
「そんなのしてどうなるんだ」
「目玉焼きの宣伝なんてね」
朝食のごく普通に出るオランダ風のそれだ。
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