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その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
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第九章 長い長い一日
  第七話 長い一日5

重い瞼をゆっくり開けて辺りを見渡す。
ベッドの上らしく、私は身を任せている。お腹が痛い・・・

私の顔を覗く人が三人・・・
見慣れた顔が二人。見慣れすぎた顔が一人。
眼鏡をした少女を見て、私は頭を働かせた。
彼女が誰で、私が誰か。

「きくっちー?うってぃー?
私、死んだんじゃないの?」

「この方が助けてくれたんです」

歌川は少女を見て言った。
眼鏡をした少女は心配そうに私を見てくる。
私に似た顔を持つ少女が、私を見る。

「・・・あなたは、私の共有者?
私、もとはこの世界の人なんだけど、なんで・・・」

「あまり話さないで。傷口が塞がりきらないから」

「あなたが?
・・・あなた、魔法使い!?」

私は傷など無視して跳ね起きた。
痛い気がしたが、知らないふりしておこう。

「てことは、あなたはこの世界の生まれじゃないの!?」

「え、お、落ち着いて・・・」

「なるほど。あなたは、私と入れ替えられたのね?」

入れ替えられた・・・
彼女は本来、私が育った世界で生まれ・・・
私は、このワールドトリガーで生まれ・・・
そのはずが、私たちは生まれた時点で入れ替えられた。
このワールドトリガーに魔法使いがいるのも納得できる。
彼女は生まれながらの魔法使いだったわけだ。

「すみません。私・・・アフトクラトルの侵攻時にあなたと戦う役目だったから。
未来を知っていても、変えてはいけないのが私の対価だから。」

「時を繰り返さないように?」

菊地原が過剰な反応を示した。
少女は悲しげな顔で菊地原を見てから、私に視線を移した。
菊地原が時を繰り返さないように・・・
私がちゃんと気づいてさえいれば・・・

「ぼくのせいで・・・」

「違うわよ、きくっちー。
私があなたなら、私は同じことをしていた。
正しさに答えなんてないわ。
敵の正しさ、私達の正しさがあるように。
あなたは正しかったのよ」

「お前は悪くない、菊地原。
如月さんを刺したやつが悪い」

「・・・ティナですか?」

ティナですって!?
FFのティナ嬢ですか?メテオとかトルネドとか。
DDFFではお世話になりました。

「ティナってあの見えないトリガー女?」

「トリガー使いは私とティナともう一人しかいません。
小さい国だから攻められも攻めもしないんですが。」

私は嫌な予感の中、頭をフル回転させる。
魔法使いの少女と見えないトリガー使い。
時を繰り返す魔法と次元を越える魔法。

「あなたじゃないのか。
私とあなたを入れ換えた魔法使いは・・・
まだ終わってない・・・
・・・・・・!?」

私はあることに気付き、目を見開いた。
それに驚いた三人だったが、冷静に話を聞く準備を心でしてもらえた。

「あなた、名前は?」

「シンク・・・」

「よし、シンク。逃げるわよ、この国から」

私はシンクの手を握る。
零式のシンクみたいに一撃デカイのぶちこむ手をしてない!!
女子の塊の手をしている。

「ティナがあなたを探して来るはずよ!!」

「えっ、なんで?あの女に何が出来るの?」

私の答えは単純だった。

「拷問。
人が防衛本能で嘘をついたり、反撃したりするように、魔法も生きるためにやるわ。
もしシンクが拷問され、時を繰り返せと言われたら・・・」

「でも、私、そんな高度な魔法はできない!!」

「生きるために、魔法はあなたを生かすために、時を繰り返す魔法を使うはずよ。」

「水の泡になるなんて・・・
でも逃げるってどうやって!?」

そこがかなり問題になる。
ユウたちがティナを倒してくれれば理想的。
もしそうならなければ、遠征挺に乗せるしかない。
しかし、人数オーバーする。

「敵の遠征挺を奪う」

「うわ、楽でいいね。トリガー使いは三人だけらしいし。
歌川もやるでしょ?」

「そうしないと駄目らしいな」

決まりだ。敵の遠征挺なんて動かし方がわからないけど、奪うだけなら私たちでやれる。
ただ、それまでにユウたちがもつか。
三輪や狙撃手組は無事なのか。

「・・・あれ、風間さんは?」

「それが・・・」

~~~~
そうか、思い出した。俺が払った対価を。
今、意識があるってことは時は繰り返されていない。
敵を目の前にして余裕な自分がいる。

「なんだ、貴様」

「すまないが、お前を斬る用事ができた」

俺はスコーピオンを敵の顔に向けた。
二度と時を繰り返さないように、徹底して潰すように。
 
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