提督がワンピースの世界に着任しました
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第07話 新たな可能性
航海の報告を終えた後、艦娘達には航海の疲れを取るために休むように言って解散。翌日から航海で手に入れた木箱の中身を整理することにした。
夜にたっぷりと休んで疲れを取ってから、艦娘達と俺に妖精さんたち全員で手分けして入手した資源の整理を行った。木箱を一つ一つ開封していき、中身を確認してから内容物を紙に全て記録。その後、それぞれに仕分けしていき鎮守府内の倉庫に並べていく。
木箱の中身は大きく4つに分けられた。ひとつはパンやワイン、肉に野菜等の食料品。2つめはフリントロック式のピストルやマスケット銃、そして船の大砲に使うためだと思わえる火薬や弾丸等の武器。3つめが宝石や金貨など貴金属。そして最後に、前の3つに分類できないその他の物。
その他の物の中には、色々な情報が書かれた資料や使用方法も使用目的も分からない何か、厳重に保管された見たこともない果物、北を指さない方位磁石、等など整理を完了するまでには予想していたよりも多くの時間が掛かってしまっていた。
時間が掛かったのは、航海で手に入れた物の数が非常に多いのに対して作業できる人員が少ないからで、整理が一段落するまでには結局一週間という時間が必要となった。
整理が終わって一段落すると、そこからはそれぞれで分担して仕事をすることになった。
まず、戦艦の長門には鎮守府に詰めてもらい鎮守府の緊急時に備えながら(と言っても今まで鎮守府に襲撃がなかったので万が一ではあるが)、艦娘達の育成スケジュールの管理をお願いしていた。艦娘の訓練の方法や演習する時間、演習の状況設定など指導教官として任に当たってもらっていた。
次に俺と正規空母の加賀、そして妖精さんたちは新しい艦娘の建造方法について、開発資材を使わないで建造する手段が無いかどうか考えていた。加えて、先に判明した開発資材を使わない武器の開発をより効率よく出来ないかを長時間考えて過ごしていた。今の状況から戦力増強をするにはどうすれば良いか、開発組一丸となって知恵を絞っていた。
残りの、重巡洋艦の妙高と軽巡洋艦の天龍、そして駆逐艦の吹雪の3人の艦娘達には先日の遠征で手に入れた海域地図の実地調査を行ってもらっていた。手に入れた地図を頼りにして外海に出て、本当に手に入れた地図と一致しているのかどうか偵察に行く調査の仕事を行ってもらっていた。
未だにしっかりと外海の情報を握っていない状況で、重巡洋艦以下の艦に未知の調査に向かわえるには戦力的に不安ではあるけれど、燃料と弾薬を節約していかないといけない我々は先ず調査と偵察を徹底的に行うことにした。
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開発組に分かれた妖精さんと加賀で集まり頭を悩ませる日々がしばらく続いた。
けれど、開発資材を使わないで艦娘の新規建造に関してはかなり煮詰まってしまい、新たに艦娘を建造することは無理だろうかと諦めかけていた俺達は、艦娘建造については一旦置いておくことにして、気分転換に全然別の事、物品整理の時に気になっていた不可解な物について調べることにした。
その不可解なものとは、果物である。それは今まで見てきた記憶にある果物とは、どれとも一致しない。手に入れた時は四方が15cmぐらいの大きさの、木でできた古ぼけた保存箱に大事に保管されていた。ソレが今手元には3つあった。
この果物は一体何なのか、何故1つずつ分けて保存箱に厳重に保存されていたのか、かなり価値のある物ではないのか、色々と考えたけれど答えは見つからず観察して調べることになった。
果物の見た目を説明すると、3つそれぞれ微妙に違っていて、ひとつは表面が薄い赤色、もうひとつは水色、そして最後のひとつが紫色と見た目からは食欲が失せるような色をしている。で、3つが共通している部分は表面が唐草模様とか言うようなグルグルに渦巻いていて、実の表面部分が絡みあって球体状になっている。果物の大体の大きさは、りんごと同じか少し大きいぐらい。
匂いは無臭だったので、赤色の実を半分に切って中を見てみると、中も赤色をしていて見た目が悪い。
毒性について機材を使って調べてみたが、特に反応はなかった。
最終手段として、表面部分を少しだけ削って少量を口に含んで見た。すると、とんでもなく不味い。エグみがひどくて、とてもじゃないが食べられるような代物ではなかった。
加賀も味見と称して謎の果物を口に含んで、いつもの無表情な顔をハッキリと歪ませて「不味い」と一言コメントして二口目には手を伸ばさなかった。
何故こんな不味い物が小箱に大事に保管されていたのか理解できないが、もしかすると俺達の知らない正しい調理法がある高級食材なのかもしれない。けれど、今の俺達には一切の知識がないために、今のところこの果物に関しては活用しようがない。しょうがなく倉庫にしまっておくかと考えて片付けようとした時、妖精さんが待ったをかけた。
「もしかしたら、開発資材の代わりになるかもしれません!」
何を思ったのか、妖精さんは謎の果物を開発資材の代わりとして艦娘の建造を試みることを提案してきた。どうやら、妖精さんは謎の果物に何か感じていたようで新艦娘の建造の成功を疑っていなかった。
そして、本当に謎の果物を触媒にして艦娘を一人新たに建造することに成功したのだった。
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