その手で引き金を引け!!
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第九章 長い長い一日
第三話 長い一日
国についた。
私たちが地に足をついた時に、違和感を覚えた。
人の気配がない。ないのではなく、少ないのだ。
あらかじめ知られていたように・・・
「・・・人少ないわ。まぁいいや。
無理な戦闘、被害者を減らせるわよね。
風間さん、内部の情報を探りに。
私は・・・いきたい場所があるの」
誰の言葉も耳に入らない。それぐらい私は集中しすぎていた。
集中すること自体は悪くはないが、集中しどころを誤ってはいけない。
誤って周りを見ない自体になっては仲間を死なせるだけだ。
それは得にはならない。
~~~~
「えーと、書類通りなら風間蒼也に菊地原士郎、歌川遼・・・あらあら。
三輪秀次に米屋陽介まで・・・狙撃手もいるわよ?
ユウは来たわいいけど、支援役みたいね。どうする?」
女は建物の屋上から敵を眺めて笑う。
愉快であるはずがないものを笑える精神は戦いには適している。
その横に立つ少女はつまらなさそうに呟いた。
「ユウの護衛役は三輪隊です。
遠征挺から去る様子もありません。
なら各自潰しましょう。支援役がなければ動けませんから。
それより風間隊はどうしますか?
内部情報が流されたら厄介ですが。」
「あいつがやってくれるわよ。私は嫌だ。
私は可憐ちゃんを狩りにいくから。
一人みたいだし。」
笑う女を少女は放っておいた。
やるべきことをやるべきか、やらざるべきかの狭間に立ち尽くす。
少女は過去を思い返し、罪と罰というありがちな単語を並べた。
~~~~
ユウは慣れない機械を造作もなくいじる。
三輪には不愉快な光景だが、黙ってみていた。それが最善なことだからだ。
異常に気づいたのは奈良坂だった。
重苦しい音と機械音。しかも複数。
次に気づいたのは古寺だった。
スコープで覗き見て異常事態の実態を見た。
そこに現れたのは複数の人?
奈良坂はそれを否定した。人ではない。
あれはただの機械だ。
ただの複数人型の機械だ。
ユウはため息をついた。
この国はトリガーは発展していない代わりに、機械が発展している国らしい。
しかし、トリオンでない機械ではトリオン体は倒せない。
「時間稼ぎか。」
「支援をさせないためか。小賢しいぞ、近界民!!」
三輪は先陣を切ろうとした。
それを止めたのはユウだった。
明らかな時間稼ぎに付き合うなと目が告げていた。
しかも人型機械は数百を越えている。
ならどうすべきか。
「俺が一人でやる。」
「え、一人で!?」
「狙撃手は援護。攻撃手は情報を受け取っていろ。」
ユウはトリガーを起動させた。
それはアフトクラトルから持つ自分のトリガーではなく、如月のトリガーだった。
~~~~
私は辺りを見まわした。
壁に囲まれ、出口は目の前にあるだけ。
ただシンプルで何もない。
普段は訓練場にでも使われているのだろう。
派手に戦うにはちょうど良かった。
私は後ろからの気配に気づいて半身ほど右にずれた。
横を何かが通過する音と気配がしたが、見ることはできなかった。
見えないトリガーだろう。
カメレオンを武器に使用しただけなら、物体はあるわけだし、防ぎようもある。
「刺さればいいのに~
避けず刺されば楽になれるよ?」
「あいにく、刺さる趣味ないの。
Mが受けとは限らないわけだし。」
「刺さればキモチイイかもよ?」
「はぁ・・・聞いてた?
まぁあんたには用ないから。」
「魔法使いじゃないから?」
私は冷たい目で見つめているのだろう。
自分の顔は自分では見れないので理解はできないが。
女の顔と声が不愉快だと、理解はしている。
見れない武器が私に襲いかかった。
アフトクラトルでユウが使っていた大剣で防ぐが、見れない武器は一つではないらしく、多数とんでくる。
キリがない。
見れない武器はシールド代わりになるほど耐久度があり、弧月より硬い。
双月の耐久度はあるはずだ。
私は接近戦にもち込んだ。
相手は防ぐ訳でもなくただ笑いながら私を見た。
その時、私は斬れなかった。
ユウの姿を女に重ねて見たのだ。
それが判断を体を鈍らせた。
「はい、おしまい。
あっけないわね」
『戦闘体活動限界』
生身の私はすぐに冷静になった。
過去より今、ここで、死なないことを優勢するために頭は動いた。
気配をみながら、逃げれそうな場所に・・・
「って無理よね」
生身で戦うには今まで霊力頼りだった。
トリオンなしで戦うには無謀すぎる。
応援が来るまでの時間稼ぎをする体力は私にはない。
あくまでも女子なのだ。
降参する気など当然ない。
私が思い付いたのは、見れない武器を仲間に気づかせる手段だった。
「死んでくれる?」
「独創性のない台詞ね」
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