レインボークラウン
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第二百九十五話
第二百九十五話 割ってから
梨花は具体的には地割れを起こす魔法を身に着けたいと考えていた、しかし。
その彼女にだ、彼女の使い魔達であるピエールとジュリエッタはそれぞれ言った。その言った言葉はというと。
「ご主人様、地面を割ってもです」
「それで終わりではです」
「その後地割れに入ったりした人達が迷惑します」
「狭くてもそれでけつまずくこともあります」
彼等が言うのはこのことだった。
「ですから地割れを起こしてもです」
「その後が問題かと」
「そうよね、地割れはつまり地震だけれど」
梨花も自分の使い魔達の言葉を受けて言う。
「その後よね」
「放っておきますと」
「後で他の方の迷惑になります」
「ですからその後で」
「地割れをどうするかです」
一旦割ったそれをというのだ。
「具体的には地割れを元に戻す」
「そうすべきです」
「その為の魔法をです」
「そちらも身に着けるべきでは」
「そうね」
梨花は使い魔達のその言葉に頷いた。
「魔法は皆の役に立つもので」
「迷惑をかけるものではないので」
「そのことは忘れないでおきましょう」
「わかったわ、ただ地割れはね」
この魔法自体についての話にもなる。
「一旦使うと」
「割ることは難しいですが」
「戻すことはさらにですね」
「難しい」
「そうした魔法ですね」
「そうなのよ」
これが地割れの魔法だというのだ。
「戻す方が難しいから」
「ではそちらを身に着けるべきでは」
「そのことも勉強すべきではないでしょうか」
「今はです」
「是非共」
「そうね、割って戻す」
この二つのことを頭に入れる梨花だった、だが。
「戻すことが難しいのよね」
「そうですか」
「しかし戻さないとです」
「割るべきではないですね」
「他の方の迷惑になりますので」
「そうよね、迷惑をかけたらいけないわ」
梨花もこのことは強く認識していた、だが。
割ることは出来る、しかしそれを戻すことは出来ない。もっと言えば割ることも滅多に出来ない、梨花はそのジレンマに悩みはじめていた。
第二百九十五話 完
2015・12・6
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