| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

シリルvs.レオン

 
前書き
最近原作の方でもウェンディが全然出て来ないな・・・
こっちの方も最終日始まってからグラシアンの変身以外全然出てきてないが・・・
だが安心してください。ドラゴンとの戦いの時は出てくるぞ!!決して忘れてるわけではないからな!! 

 
「頭いいじゃん、シリル」
「まぁね」

起き上がった俺は服についている土を払う。その間ももちろんレオンに対する警戒心は解くことはない。一部の隙も見せることはしない。彼はそれだけの敵なのだから。

「どうするかな・・・これ」

レオンは真剣に何かを考えながら俺の方をじっと見つめている。その目付きは普段のそれよりも遥かに鋭くなっており、身震いしてしまうほどだ。

「氷神・・・・・」

何か作戦を思い付いたのか、レオンは両手を大きく挙げる。すると彼の頭上に黒くて大きな雲が出来上がっていく。

「嫌な予感・・・」

黒雲の大きさに妙な悪寒が止まらない。彼の魔力のせいで辺りの気温が低くなっているのもあるのだろうけど、それにしてもやな感じがしてならない。

(ジエロ)!!」

大きなボールを投げるように腕を動かすと、それに連動するようにレオンの頭上の黒雲がこちらに向かってくる。俺の頭の上までやってきたそれからは、拳ほどの大きさのある雹が降ってきた。

「ぎょえええええ!!?」

今まで見たことがないような大きさの雹がどんどん空から降ってくるので全速力で逃げる。

「避けるなよ」
「避けるわ!!普通これは避けるわ!!」

そこそこ広めに攻撃したのに俺が避けたことでついにレオンがそんなことを言い始める。でもこれは当たったらヤバイよ。だって小さくても雹って相当な威力があるって話を聞いたことがあるもん。それなのにその何倍もある奴なんか受けたら間違いなく大惨事だよ。辺りどころによっては死ぬかも知れないよ!?

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

ようやく雲の下から逃げ出ることができたのでちょっと休憩。レオンもこれ以上やっても当たらないと判断したからなのか、雹を降らせる黒雲を消し去る。

「これもダメか。何も当たらねぇじゃん」

レオンはそう呟くと腕を大きく振い次なる攻撃へと入る。

封印の氷地獄(コキュートス)!!」

レオンの足元から一気に凍りつく地面。だけどこの魔法は確か人間には当てられなかったはず・・・

「いや・・・そういえば!!」

グラシアンさんが言ってたことを思い出したけど、その時には時既に遅し。レオンの黒い氷は俺の足をガッチリと捕まえていた。

「しまった!!」

逃げられないかと足を力一杯動かしてみるが全く動かない。レオンの封印の氷地獄(コキュートス)は滅神魔法の要素を多く取り入れているために人を凍らせることはできなかった。だけど今はその滅神魔法を使って戦闘することができるんだから当然この魔法も攻撃に使うことができるんだ。

「しばらく攻撃封じで使ってたから、全身を凍らせるのはまだできないか」

足までしか凍っていない俺を見て不満そうにレオンはそう言う。昔は全身を凍らせることもできたのかも知れないけど、しばらく人相手に使ってなかったこともあり感覚が鈍っているのかも。そのおかげで俺は腕とかは動かせるから感謝なんだけどさ。

「でも、これで動きは封じたから当たるはず!!」

彼の言う通り、今の俺は足を捕まえられているから全く動くことができない。さっきから散々交わしていたからそれが一番有効だと思うけど。

「氷神・・・・・」

地面を強く蹴りだし飛んでくるように殴りかかってくる。まさかグラシアンさんをぶっ飛ばしたあれをやって来るのか!?あいつ容赦無さすぎだろ!!

水竜の盾(ウォーターシールド)!!」

両手を前に突き出して水の盾を造り出す。ただし、すぐに片手を引っ込めてそちらの手で拳を握り、それを水で覆わせていく。
まずは水の盾でレオンのスピードとパワーを削り、そこから最初のパンチの感覚でレオンの顔に一撃を入れる。

「永久凍土!!」

水の盾ができたためにまずはそれを打ち破ろうと技を早めに繰り出す。
当然この盾は簡単に破られてしまい、彼はそのままの勢いでこちらに向かってくる。だけど作戦通り少しではあるがスピードが減速しているように感じる。

「水竜の・・・」

足を動かすことができないから一番力が出る立ち位置にできないけど、俺が狙うのはレオンの腕に潜り込ませてのパンチ。いわゆるカウンターというところだろうか。
突進してくるレオンの腕の位置と魔力の流れをよく観察する。この感じだと内側に腕を掻い潜らせるのはいけそうだ。

「鉄拳!!」

レオンの左腕よりも体側に右手を合わせるように入れていく。ここまでは計画通り。後は腕を押し上げて拳を叩き込むだけ。

「どらぁ!!」

肘で腕を押し出してそのまま流れるように右の拳をねじ込めようとした。だが、

「いける!」

レオンは力業で俺の腕を肘の曲げ伸ばしだけで弾くと、動けない俺の顔にいれてくる。

「ぐわぁ!!」

彼の魔法の威力で足を押さえていた氷など感じされることなく吹き飛ばされてしまう。ただ、水の盾で減速させたおかげでソフィアやグラシアンさんほどは飛んでいかず、家に突っ込んでしまうくらいで納めることができた。

「いってぇ~」

それでも痛いものは痛い。殴られた右頬は熱を帯びており、少し腫れている気がする。

「思ったほどの力は出なかったな」

自分の拳を見つめボソッと呟くレオン。盾のおかげの他にも、俺のカウンターを弾くために早めに肘を伸ばしきってしまったことも力が伝わりきらなかった要因だと思う。ダメージを与えることはできなかったけど、いい方向に作戦がいっているからこれはこれでよし。

「でも、これでやっと攻撃がぶつけられたから全然問題なしだな」

なんだか満足した様子のレオン。あいつそんなに当たらなかったのが悔しかったのか?それとも魔法をぶつけると何かいいことでもあるのか?聞いてみようかな。

「魔法が当たると何か特別なことでも起きるの?」
「?いや?なんで?」

俺の質問に「何聞いてるんだろうこの人」的な表情でこっちを見てくる。

「だって当たっただけで満足みたいな顔してるから」
「そりゃあ嬉しいでしょ?当たらなかったものが当たるようになったんだから」

なるほど・・・レオンはバトルの中で成長できていることに嬉しくなっているのか。よく考えるとそうかも。レオンは小さい頃に周りからバカにされてきたって言ってたから、ちょっとでもできなかったことができるようになると嬉しく感じるのが他人より大きいんだ。
でも、他にも評議院の議長さんと魔法学校の校長先生のせいで『自分はダメな子』と勘違いしているところがあるようにも思う。レオンのこのパワーとスピードがあれば、誰が相手であろうと何度か攻撃してるうちに当てることはできると思う。例えそれがエルザさんやラクサスさん・・・もしかしたらジュラさんであっても。

彼はそれに気づいていない。レオンは自分の力を過小評価しすぎているんだ。もっと自信を持っていいのに。

「レオンさぁ・・・」
「ん?」
「もっと自分に自信持っていいと思うよ」

俺が何を言っているのかわからずレオンはただ立ち尽くし、その言葉を咀嚼しているように見える。これってちゃんと伝わってるのかな?

「意味わかる?」
「うん。わかんない」

1度うなずいた後に首を振られたためにズッコケてしまう。わからないならうなずくな!!最初から首振れ!!首!!

「レオンは!!すっごく力があるの!!だから魔法当たっただけで喜んでちゃダメだよ!!」

ストレートに俺の思ったことを伝えてみる。すると彼は少し気恥ずかしそうに頬をポリポリと掻く。

「買い被んないでよ。俺は弱い。だけど・・・」

視線を下げていたレオンが俺の方を真っ直ぐ見据える。

「シリルにそう言ってもらえると、なんか嬉しいわ」

大きく表情が変わるわけではないが、レオンは確かに微笑んでいた。これが彼の自信に繋がればきっともっと強く・・・ん?

「なったらダメじゃん!!」

今考えたらレオンを元気付けたらダメじゃん!!今あいつと俺は真剣勝負してる上に、この戦いは絶対に負けられないんだよ!?なのに褒めて自信持たせたら力がもっとはね上がるかもしれないじゃん!!ただでさえ厳しい状況なのに!!

「どうしたの?シリル」
「大丈夫・・・ちょっと自分のしたミスに気付いただけだから」
「??」

と・・・とりあえず落ち着こう。もうやってしまったことはどうしようもないから。気持ちを切り換えてレオンに戦うしかない。それに、レオンが強いのは事実なんだ。たぶんリオンさんやシェリア・・・違うな、もしかしたらマスターやジュラさんよりパワーに関しては上だと思う。その相手が自信を持ってないとなんか調子狂っちゃうし、これでよかったんだと考えよう。決してこれは自分のミスを正当化しようとしてるんじゃないからな!?絶対違うからな!?

「なんか・・・シリルの顔が怖いぞ・・・」

レオンが俺の方を見て青くなっていた。そんなに怖い顔してたかな?ただ心の中でこれはミスじゃないと思い込んでいたたけなのに・・・

「でも・・・隙が多すぎ!!」

レオンは片手を体の前に持ってくる。それを見て彼が何をしようとしたのかわかった俺はできるだけ高くジャンプする。

封印の氷地獄(コキュートス)!!」

力一杯腕を振るい再び周辺を凍らせるレオン。だけど今回は俺がジャンプしていたこともあり、地面が凍るだけで俺を捕まえることはできなかった。

「水竜の・・・」

ジャンプした俺は重力に従い地面へと落ちていく。それならその力も使ってレオンに攻撃をしてみよう。もしかしたら押しきれるかもしれない。

「翼撃!!」

両腕にドラゴンの翼のような形の水を纏わせレオンに突っ込む。彼も避けようとはしていたが、それよりも早く俺が接近したためにまともに当たってしまい、打ち上げられていた。

「ぐはっ!!」

空中に上がったレオンはゆっくりと地面に落ちる。しかも、自分の魔法のせいで凍っていたために、地面が凸凹しており、腰に石のように浮き出ている部分が直撃していた。

「いてっ!!腰がぁ!!」

腰を押さえてバタバタと地面を転がるレオン。はっきり言おう、自業自得だ。
彼は変なダメージを受けてしまったことで反省したのか、辺りを覆っていた氷を消し去る。そのおかげで周辺は元の街中のような景色へとなっていた。かなり建物とかが壊れているけどね。

「やってくれたな、シリル」
「え?今のはレオンが悪いんじゃ・・・」

てっきりレオンは俺のせいにしようとしてるのかと思ったらなんだかニヤついていた。なんだ、冗談か。

「なぁ、シリル」
「ん?」
「前から言おうと思ってたんだけどさぁ・・・」

妙に改まった様子のレオン。なんだろう?前から何か伝えなきゃいけないことでもあったのかな?

「お前って可愛いよな」
「ハァ!?/////」

レオンのあまりにも場違いな発言に怒ってしまう。なんでいきなりそんなこと言い出すんだよこいつ!?というか・・・

「お前・・・それシェリアに言ってやれよ」

リュウゼツランドでシェリアはレオンとリオンさんのことが気になるって言ってた。彼女が2人の間で気持ちが揺らいでいるところでレオンにそんなこと言われたら一瞬で落ちると思う。だってリオンさんはジュビアさんのことが好きだからシェリアに絶対そんなこと言わないだろうし。

「なんで?シェリアが可愛いのは誰でもわかるし」
「そ・・・そうですか・・・/////」

レオンのノロケにも似たような発言に、なぜか俺が恥ずかしくなってしまい顔を反らす。俺がレオンを真っ直ぐ見れないでいると、レオンが何かをモゴモゴと言っていたけど、またおかしなことを言ってそうで耳を傾けられないでいる。

「シリル」
「な・・・何?/////」

まだ顔に火照りを感じていると、レオンが俺のことを呼ぶ。だけど真っ直ぐ見るのはなんか恥ずかしいから見れない。ちょっと横目で見ようとしている感じかな?

「将来詐欺に合わないように気を付けろよ」
「は?」

話の方向が変わりすぎて、思わず正気に戻った俺はレオンに顔を向き直す。しかし、俺の目に映ったのはレオンではなく・・・

「シャー」

黒い色のかなり大きめな蛇だった。

「ぎゃああああ!!」

予想だにしなかった生物の登場に悲鳴を上げると、そいつは俺の体に巻き付いてくる。

「わぁぁぁぁぁぁ!!ま・・・巻き付いてくるな!!」

大慌てで蛇を振り払おうとするが、そいつは俺の倍近い体をしている上に太さもラクサスさんの腕ぐらいあるために力があり、全然引き剥がせない。

「ハハハッ。お前女みたいな声出すな」

慌てている俺を見て口に手を当てて笑っているレオン。もしかしてこの蛇はレオンの造形か!?そう思うと氷みたいに冷たい気がしてくる。

「まさか可愛いって言われてあそこまでいい反応してくれるとは思わなかったよ。自分の魔法でやられたフリしたから、警戒心解いてくれたのかな?」

フリ?もしかしてさっきの奴全部演技だったのか?俺に魔法が当たらないから、動きを封じるために何か造形を作るための時間稼ぎをしていたってことなのか?

「どこから演技だったんだよ!?」
「腰がぁ!!のところから」

ウソ!?てっきりあれは本気で痛がってるんだと思ってた!!まさか俺が顔を反らした時に何かを呟いてたのは造形を作ってたからなのか!?

封印の氷地獄(コキュートス)があまり高さが出なかったからな。これぐらいしか全身を押さえられるものは思い付かなかった」

肩を回しながらそういうレオン。確かに封印の氷地獄(コキュートス)はしばらく人に使ってなかったせいで足元までしか凍らなかったけど、この造形なら全身を縛ることはできる。むしろ力が強すぎて今すぐにも潰されそうな勢いだけどな!!

「氷神・・・・・」

俺が動けなくなったのを確認したレオンは足に冷気を帯びていく。

氷結(コンゲラート)!!」

体を大きく一回転させながら飛んでくるレオン。ヤバイ!!これはすごくヤバイ!!
永久凍土も怒号もかなりの威力があった。この回し蹴りに関しても相当なパワーがあると考えていいと思う。その攻撃が俺の頭目掛けて飛んできているんだ。 ピンチ以外の何者でもない!!

「んぎぃぃぃぃぃ!!」

歯を食い縛って俺を拘束している蛇を壊そうとしてみる。だけどさすがはレオンの魔法。パワーだけは半端じゃない。バランスは結構崩れているのに、そんなのお構い無しの力勝負といったところだろうか。
なんとか逃げようと頑張るけど全くそれは意味を成していない。チラッとレオンの位置を確認したらもうかなり近くまで接近してきていた。

(やられる!!)

そう思い目を閉じようとした。だけど、あることに気付いた。
「これって頭を下げればぶつからないんじゃね?」と

だってレオンはこの一撃で決めようと考えているからなのか、一瞬で気絶させるにはもってこいの後頭部から蹴りを入れようとしている。そして俺の体を押さえつけている大蛇は、首の下ほどまでしか縛り付けていない。つまり、頭をお辞儀するみたいに下げてしまえば当たらないのである。

ペコッ

思いたったらすぐ行動!!頭を前方に下げてグッと歯を食い縛り、目を閉じる。外れろと懸命に祈り、レオンの一撃が空振りに終わることを願う。

ビュンッ

下げた頭のほんの数センチほど上を空気が勢い良く切られる音がする。それと同時に首もとに冷たい風が当たった。

「しま・・・」

顔を少し上げると、目の前に片足を振り切った状態で地面に着地しようとしている金髪の少年が見える。

「やった!!」

咄嗟に思い付いた作戦が成功した!!心の中で大喜びしていたけど、すぐに気持ちを切り換える。

「くっ!!」

蹴りが空振りに終わってしまい、地面に片膝を付くように着地するレオン。彼は交わされてしまったことなど気にする様子もなく、すぐに次の攻撃体勢に入るためにこちらに体を反転させる。

「水竜の・・・咆哮!!」

だが、彼が次なる一手に出る前に、頬を一杯に膨らませて発射した俺のブレスが、レオンの腹部を直撃した。









 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
一言言わせていただいてもいいでしょうか?
シリルのアホ!!レオンがお前を可愛いとか言うわけないじゃん!!
なんたってレオンはシリルを一発で男と見分けることができる数少ない人間ですので。あれ?こいつの他にシリルを男って見分けた奴いるっけ?
そしていまだに中々攻めきれていないレオンくん。パワーだけならジュラさんを越える彼もシリルにはてんてこ舞いのようです。
ですが、このまま彼が終わることは絶対にありません。
次からは大反撃が始まる予定です。
次回もよろしくお願いします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧