タイトル、本当に未定
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プロローグ
「……………………………」
誰かが言った。
『情けは人のため為らず』、と。
「……………う、……………ああ」
なら、どうして。
助けたかった人が。
愛していた人が。
目の前に、倒れているんだ?
「う、ああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
慟哭を、灰色の猫は見ていた。
ただ、助けよう。そう思っただけなのに。
ただ救済を願い、咄嗟に差し出した手は。
何処かからの力によって意味諸とも内側に捻じ曲げられ、この惨状を生み出してしまった。
何故だ。
神は居るんじゃなかったのか。神よ、お前は力を使い果たしたただの偶像なのか。
ならば、元より神なんてモノはいなかった。それしかない。
何故だ。
信じていたのに。
どれだけ酷い結果を生もうが、最終的には救ってくれると。
でも分かっていた。薄々感づいてはいた。
誰も彼もを救えるとしても、限度はあるのだと。
そして、自分はその限度の外に居たのだ、と。
…それでも。
それでも、信じたかった。
「もう、いいや」
絶望した。
驚愕した。
落胆した。
どんな言葉を並べようが、無情にも希望無き時を刻む世界に。
その時、自分の頭の中にこんな考えが浮かんだ。
何をやっても正解には成らないのなら、
間違いを為してしまえばいいんだ、と。
全て均す。
いや、これでは言い方が優しすぎるか。
一度壊す。全てを、何もかも、跡形もなく。
元に戻せる保証なんてない。現状に満足していた人間には酷だが。
「…いや、元に戻す必要もないんだったな」
___だって、誰も気づきはしないんだから。
気づかないまま消えていくだけなのだから。
ここに倒れている人々は幸せだ。
だって、俺に殴られて昏倒したまま消滅するのだから。
「さーて始めますかー!誰もが幸せになる、確実に夢を見れる世界への変遷!あは、あははははは!!」
灰色の猫は、目を細めてこちらを見ていた。
「…何だよ」
にゃあ、と一鳴きして猫は去っていった。
可愛い気のない奴だ、と俺は思った。
見限る様な目付きだった。ああ、ついにそうなったのか、とでも言う様な。
「…………………………………………………………………………………………………………………………………」
…思考にノイズが走り始めた。
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