新オズの腹ペコタイガー
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第五幕その八
「結構食べないもの多いね」
「ええ、結構ね」
「そこがアメリカ人や中国人と違うんだね」
「そうみたいね、どうしてかはわからないけれど」
「ナターシャもその辺りの事情は知らないんだ」
「調べていないわ、ただ私もお握りは」
これはといいますと。
「日本で見てはじめて食べたわ」
「ロシアにはお米自体が稀だしね」
「お寿司だって本当に少ないのよ」
お店自体がというのです。
「そもそもお魚を生で食べるってことも信じられなかったわ」
「お寿司もお刺身も美味しいわよ」
恵梨香の返事です。
「どれも」
「日本以外の国では違うんだ」
カルロスがこう恵梨香に返します。
「ブラジルだってそうだから」
「いつも皆言うわね」
「ブラジルでピラルクとかお刺身で食べたら」
「カルロス危ないって言うわね」
「虫がいるからね」
そのピラルクの中にとです、カルロスは鮭のお握りを食べつつお話をします。その鮭はちゃんと焼かれています。
「絶対に食べたら駄目だよ」
「ピラルク以外のお魚も?」
「そうだよ、日本以外の国ではね」
お刺身やお寿司はというのです。
「あまり食べないよ」
「お魚を生では」
「まあね、日本では普通でもね」
「他の国では違ったりするから」
ジョージは昆布の、神宝はおかかのお握りをそれぞれ食べています。
「このことアメリカでもそうなんだよね」
「中国もなんだよね」
「日本に来て皆がびっくりしたこととか」
「何度もあったよ」
「ううん、お握りは皆好きだと思ってたし」
恵梨香も言います。
「これは嫌いな人いないって」
「ところがそうじゃないのよね」
トロットが恵梨香に応えます。
「オズの国なんか特にそうよ」
「そうですね、それぞれ」
「色々な人がいるから」
「普通の人とは外見が違う人も」
「僕達とかね」
「食べることも寝ることもしない人もいるよ」
かかしと木樵が言ってきました。
「こうしてことは外の世界では普通じゃないね」
「絶対にないことだよね」
「ロボットなら別ですけれど」
恵梨香はそのかかしと木樵に応えました。
「普通の身体の人ではないですね」
「ロボットとーーいいますーーと」
チクタクが言うにはです。
「私ですーーね」
「ええ、貴方は本当にね」
「ロボットーーですーーね」
「ゼンマイ仕掛けのね」
それになるというのです。
「まさにそれよ」
「そうーーですーーね」
「オズの国のね、そう考えたら」
また言った恵梨香でした。お握りを食べながら。
「オズの国って科学と魔法が一緒にある」
「そうしたーー国ーーですーーね」
「そうよね、素敵な国ね」
「しかも動物も喋るから」
ドロシーも言います。
「そのことも不思議な国よね」
「オズの国だけのことですね」
「けれどそれがオズの国では普通なのよ」
「他の国ではそうではなくて」
「それぞれの国でそうね」
「そうなんですね、その国の人が普通と思っていることは」
「他の国ではそうじゃないこともあるのよ」
まさにというのです。
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