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フリージング 新訳

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第36話 NOVA form 1

 
前書き
カズト「新年明けまして」
全員「「「「おめでとうございます!」」」」
サテラ「思えば連載も始まり早一年以上」
ラナ「感謝祭やら新作の話やら」
シフォン「作者の我儘に付き合わせてしまい」
カズト「大変申し訳ありませんでした!」
サテラ「まだまだ話は進みませんが」
ラナ「これからも新訳フリージングを」
シフォン「どうぞよろしくお願いします」
カズト「いろいろと予想の斜め下になっていると思いますが、それではどうぞ」
 

 

「ねぇ、カズト。この前はごめんなさい……そうよ、こんな風に普通に言えばいいのよ。何も変なことなんて無いわ」

サテライザーは自室の鏡に向かっていた。
先日、カズトに対して言いすぎてしまったことを本人に謝るためだ。
言いすぎたのはカズトを心配してのことだったのだが、それがしっかり伝わっていないかもしれない。
サテライザーにとっては、それが怖い。
初めはカズトなど、いてもいなくてもよかった。勝手に自分の問題に関わってきて、高い実力を持ったお人好しな青年。
それが段々と愛おしくなっていった。男など触るだけで吐き気や不快感を催すのに、カズトの時はそんなものを感じなかった。

「本当に……どうしたんだろ…」

自分でも分からない感情を抱えながら、サテライザーはカズトのいる教室へと向かっていった。

その頃カズトは、教室にはいなかった。
場所は屋上。そこのど真ん中でボンヤリと本を読んでいた。それはキャシーから借りた海外作家の小説。しかも英語だ。イジメなのかと思うくらい読むのが難しい。

「なのに読めるのはどうしてかねぇ」

パラパラとページをめくり読み進めていく。あまり本を読まないカズトでも、キャシーのチョイスがいいのか、もともとこの本が素晴らしいのか、ぐいぐい引き込まれていった。
その時だ。ザワりと頭の奥底で何かが呻いた。頭の奥の奥の奥。何度か感じた事がある気持ちの悪い笑い声。

「またお前か、小鬼」
「ああ。久しぶりだな、相棒」

再びあの黒い部屋に呼び出される。だが、そこにいる小鬼の様子はどこか違っていた。寂しげなピアノの椅子に座り、ニヤニヤと君の悪い笑みを浮かべながらこちらを見ている小鬼の笑顔が、いつもより引きつっているように見える。声だっていつもより高く、身長も若干伸びて幼稚園児程度のものとなつている。

「今度は何の用だ?最近はあんまり事件とかも起きてなかったはずだ」
「ああ。退屈な日々を無益に過ごしただけだったなぁ。つまらん男だよお前」

ケッ、と舌打ちをしながら、いちいち感に触る言い方の小鬼は随分と虫の居所が悪いらしい。

「だが、お前は出会ってしまった。あの女と同じ聖痕を持つ人間に」

小鬼がこちらに近づいたくるたびに、その顔にパキパキとヒビが入っていった。

「同じものに惹かれ、その存在を求め合い、やがて許さなくなる」

近づいてくるにつれて、その輪郭がハッキリと分かり、足元近くまである長い髪がダラリと垂れる。

「そして、やがてお前はパンドラを、喰らう存在となる」

鬼の仮面が床に落ち、中から覗いた紅い瞳を持つその顔は、怪しい魅力を放つ幼女のものだった。
どこかで見たことがある、幼いその整った顔はドンドンカズトを引き込んでいく。

「だから私はこう言うんだ……」

口調も変わり始めた鬼の幼女は、カズトの耳元で囁いた。

「パンドラを殲滅しろ」

その言葉とともに、カズトの中にナニカが入り込んでくる。暗く黒く醜い怨念の様な闇の色がまとわりつき、暗闇へと引きずり込んでいく。
そこにあるのは、痛みと怒りと憎しみと悲しみ。
強大すぎる闇の波に飲み込まれようとした、その時、金色の輝きがその闇の世界を照らした。光に手を伸ばし、闇を払おうともがき苦しむ。
意識が途切れそうになり、手を降ろそうとした時、

「カズト‼︎」

自分の名前を呼ぶその声で、カズトは意識を現実へと引き戻された。
目を開ければ、そこはいつもの屋上。そして傍には心配しきった顔のサテラがいる。いつの間にか眠ってしまい、そこをあの鬼…もとい幼女につけこまれたようだ。

「大丈夫?真っ青な顔して………」
「あ、ああ……大丈夫です……少し、変な夢見てただけですから……」

ズキンズキンと響く頭痛を押し込める様に無理やり笑いながら、サテラの手を借りて立ち上がる。
そのつくり笑いを見破ったのかどうかは分からないが、サテラが心配そうな目でカズトを見つめている。

「どうか…しましたか?」
「え、あ、いえ、その……カズトこそ、何かあったんじゃないの?」
「………サテラさんは、何でも分かるんですね」
「な、何でもは分からないわよ…その…カズトのことなら…何となく」

頬を赤らめて言うサテラに、カズトは少し和まされた。恥ずかしいのだったら言わなければ良いのに。
良いカッコしいなのか、何なのか?
何にしても、可愛らしい人だ。

「でも、平気ですよ。自分に何の問題もありません。通常運転です」

明らかに作り笑いだと分かっていた。それでも、サテラにはそれ以上問いただすことが出来なかった。

「そう…分かった…」

けれど、諦めたわけではない。いつか、カズトが話したいと思った時にそばにいるのが、自分であればいいと思っている。

「で、先輩は一体どうしてここに?」
「え?あ、その、カズトの友達って子に聞いて…それで………」

今更この前のことを謝りたいと言うのも格好がつかず、何と言い訳しようかと目線を右に左にと逸らす。
カズトがそんなサテラを不思議に思っていた時、学園中に警報が鳴り響いた。
それは、戦争の始まりを知らせる警報。
そして、カズトの因縁が幕を上げる知らせでもあった。

頭の中の奥の奥で、鬼の面を頭につけた童女がニヤリと笑う。

「さぁ、開幕ダァ……」 
 

 
後書き
短い上に雑になってしまい、大変申しわけありませんでした。
こらからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
感想、待ってます! 
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