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その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
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第七章 神隠し
  第四話 手がかりを胸に

警戒区域外の近場の神社で雨宿り。
と、連絡を受けた俺は親切にも会いに行ってやる。
何故か和みながらどら焼きを食べる緑川、米屋の姿が。
俺にはねぇのか?そして、仕事はどうした。

トリオン体なら風邪なんざ引かないし、体力ぐらいあるだろう。

しかも、狐の嫁入りなんだから、雨なんかあがってるぞ、もう。
念のため、常にトリオン体になってんだから。
「お、来た来た。食うか、どら焼き」

「・・・おまえら、手がかりは!?」

「いずみん先輩、ありますよ。これ、那須隊の狙撃手の茜ちゃんの」

緑川が見せてきた帽子。
確かに手がかりにはなりそうな、ならなさそうな。
まぁいいけど。

「お前はどうなんだ?」

「俺は・・・全然。オペレーターはなんも知らないらしい」

残念なぐらいになにも手にできなかった。
この二人に負けるとは、情けない!!
俺たちの大役だっていうのに。

「それより、どーすんすか?
手詰まりですけど」

「俺に聞くなよ・・・
そんなときに如月に電話するんだろ?」

俺が電話してやるよ。
まあ、番号知ってるのは俺だけなんだが。

『はい、如月ですが。
なんだ、弾か』

「ひでぇ・・・略仕方が・・・
実は息詰まっててよ・・・どうすりゃあいいんだか。」

『手がかりゼロ?』

「那須隊の狙撃手茜ちゃんの帽子ですけど・・・」

『ふーん。
いいわ、占いだから効くか知らないけど教えてあげる。
試したことないんだけど』

そういわれたら試すしかない。
手がかりはこれしかないんだから。
聞きながら米屋にやらせる。

『神社にいるならちょうどいいわね。
集中できそうな場所に行きなさい。
狐の嫁入り後にやるのが普通なんだけど。
そこで目を閉じて帽子を胸に当てて・・・はじめに聞いた音を頼りにするの。
一度電話切るわよ』

米屋は言われた通りに目を閉じ、耳をすませた。
誰も何も言わず、風すら起きないなか、米屋がはじめに聞いたのは・・・

「大きな屋敷があったね」

男の声だった。
一斉に声の主に顔を向ける。
そこにいたのは東さんだった。

「東さん!?」

「あれ?如月に三人が心配だから見てくれって言われたんだけど・・・知らなかった?」

全然知りません。あれが話す訳がない。
東さんがいてくれれば、心強いからいいとしよう。

「てことは、大きな屋敷が手がかり?」

緑川がちゃっかり帽子を被りながら言った。

「声も音に含まれるしな。確かにはじめに聞いたのは東さんの声だ。」

「東さん、大きな屋敷ってどこですか?」

東さん、絶賛事情がわかってない。
仕方ないよな。言ってないし。
それでも、聞かずに連れて行ってくれるのが東さん。
器が広すぎる狙撃手だ。

そうして連れてこられたのは、神社の近くにあった青い屋根の屋敷。
ボーダーA級男子が暮らしたらちょうどいいよな。
菊地原と歌川に料理は任せよう。
出来るか知らないけど。

「中、誰かいるかな」

「ボーダーもあんな四角じゃなくて、綺麗な屋敷になればいいんじゃん?」

「いやいや、ボーダーはボーダーだろ」

「それより三人とも、ここに屋敷なんかあったか?
俺の記憶力が年ならいいんだが」

東さん、年齢語るにはまだ早いだろ。
記憶力なんて言ったら、太刀川さんなんかダメじゃん。
高卒反対派だったんだよな、忍田本部長。

「中の人に話、聞きましょうよ。
悩んでても仕方がない」

緑川がインターホンを鳴らそうとした。
その手を止めたのは屋敷の方だった。
勝手に開き始めた屋敷の扉。まるでこちらを招いているように。
それに乗るのは米屋。

「開いた開いた。入ろうぜ」

「は?不法だろ」

「でも開いたし。入ろうぜ♪」

東さんは止めない。むしろ入る。
いやいや、罠だろ、確実に。
三人とも戻ってこいよ、帰れなくなるぞ。

「罠は、はまらないと分からないからな」

「東さん!?」

罠は、はまったら最後だろ? 
 

 
後書き
A級ランク戦をしたあの話・・・
主人公がライトニング、スコーピオン、弧月を使うシーン。
三輪に使う罠だが、言い忘れてましたがライトニングはOFFにしてます。
奥寺が弧月をOFFにして両防御していたアフトの人型戦を参考にしました。
それと本人は自発に緊急脱出しましたが、本来なら自発にする前に緊急脱出でしょう・・・ 
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