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妄想

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6部分:第六章


第六章

「昔はブルマだったけれどな」
「あれなあ。もうないからな」
「あれ実際に見たかったよ」
「今じゃアニメかゲームか漫画でしかないからな」
「幻の存在になったな」
「全くだよ」
 彼等はもうブルマを知らない。ブルマを知らずに生まれた世代だ。ブルマを知らずに育ったのだ。それが他ならない彼等なのだ。
 その悲劇についてだ。彼等は自分達で言うのであった。
「ったくよ、何であんな素晴しいもの廃止にしたんだよ」
「間違ってるだろ、それって」
「大人達はわかってないんだよ」
「本当にな。ブルマのよさをな」
「復活させろよ」
「しかしな」
 ここでだとだ。敦之は言うのだった。
「半ズボンもまたいいだろ」
「まあなあ。素足だからな」
「あれはあれでかなり」
「健康的な色気があるな
「ブルマとはまた違ったな」
「あるよな」
「そうだよ、あれはあれでいいだと」 
 力説する敦之だった。
「俺達の年代でもな」
「そうだよな。それで水泳の時代は水着だしな」
「おお、スクール水着」
「あれもいいよな」
「スクール水着だけじゃないぞ」
 敦之の力説は続く。
「あるだろ、競泳水着が」
「ああ、あれか」
「あれもいいよな」
「ビキニとはまた違ったよさがあるよな」
「あれもえろいよな」
「スタイルがはっきり出るからな」
 何故競泳水着がいいのかをだ。敦之は語るのだった。
「俺達の年代でもな」
「だからいいんだな」
「そうか。俺達の年代のその熟しきれていないこれからの身体がな」
「それが出るからか」
「そういうことさ。俺達の年代だっていいんだよ」
 笑顔で話す敦之だった。しかしだ。
 彼はだ。その同級生達の女の子達と話すとだ。こんな調子だった。
「う、うん。それでいいんじゃないかな」
 こうだ。顔を真っ赤にさせてだ。どぎまぎして話すのである。しかも身体はかちこちになってしまっている。そんな彼の女の子達からの評価は。
「口だけだからねえ」
「本当は気が小さいんだから」
「意気地なしよね」
「可愛いものよ、あれ位ね」
「私達には実際には何も言えないから」
 そういう本質が見破られているのだった。それが彼だった。彼は結局申そうと知識だけであった。そんな中学二年生だった。


妄想   完


                  2011・4・29
 
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