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ブロウクン=ハート

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2部分:第二章


第二章

「俺、今御前がいないとな」
「うん」
「もうどうしようもなくなってた」
 精神的ダメージ故にだ。彼はそこまで打ちのめされ追い詰められていた。この半年の間。
「俺は壊れてたな」
「酷いからね、今も」
「正直辛いさ」
 これはだ。慎吾自身も言う。
「死にたいっても思った」
「今も?」
「いつも誰かにあのことを言われるかって思って」
 それでだというのだ。さらに。
「それで言われて。へこんでな」
「誰かに言われて」
「同じ中学の奴等にも言われてるんだぜ」
 彼にとってはこのこともだ。辛いことだった。
「他の高校に行ってる奴等にもな」
「そうみたいだね。それは」
「こうした話は広まるんだよ」
 博次が言ったことではないのはわかっていた。彼はそうした人間でないことは慎吾が一番よくわかっていた。それは何故か。親友だからだ。
「どうしてもな」
「広まってそうして」
「学校の奴等は皆言ってるさ」
 そしてさらにだった。
「思ってるさ。心の中でな」
「あのことをどうか」
「俺を笑いものにして。馬鹿にしてな」
 このことがだ。何よりも辛かったのだ。
「だからどいつもこいつも俺に言って」
「それで笑いものにして」
「そうしてるんだよ。いつもな」
「この半年の間ずっとそうだね」
「ああ、そんな中で御前、俺の傍にいてくれてるよな」
 博次を見て。そして出した言葉だった。
「親友だからか。今の俺にそうしてくれるのは」
「慎吾さ」
 彼はどうなのかとだ。ここで博次は言った。
「小学生の頃だけれど」
「小学生の頃?ガキの頃かよ」
「僕がいじめられてたらいつも助けてくれたよね」
「俺はそういうの嫌いだからな」
 だからだとだ。慎吾は答えた。
「だからな」
「同じだよ。僕もね」
「御前も?」
「そういうの嫌いだから」
 こう言うのだった。彼も慎吾に対して。
「友達に何かあってそれで見捨てるのって」
「だからなんだな」
「慎吾は慎吾だよ」
 博次はこうも言った。俯きながらも。
「安心していいよ。皆が皆思ってることじゃないから」
「御前は違うんだな」
「違うよ。あの中で慎吾だけが僕を守ってくれたのと同じで」
 それとだ。同じだというのだ。
「だから僕もね」
「そうか」
 慎吾はここまで聞いてだ。その声にだ。
 涙を宿らせて。そうして言った。
「悪いな」
「一人だとさ。辛くて耐えられないことでも」
 どうかとだ。博次はこうしたことも話した。
「二人だと。違うよ。あの時だって」
「そのガキの頃だよな」
「うん。僕を庇って。慎吾だって大分やられたよね」
 そのことをだ。博次は言うのだ。
「けれどそれでも」
「俺がいてくれたってか」
「そのことが。凄く嬉しかったから」
 それでだというのだ。
「だからいるよ」
「俺の隣に」
「そうするよ」
 こうだ。慎吾に対して言ったのである。
 そうした話をしながらだ。二人は共にいた。そしてだ。
 慎吾はだ。ずっと言われ続けていたのだった。
 
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