新オズの腹ペコタイガー
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第三幕その十二
「奇麗なことはいいことだから」
「ええ、誰でもね」
「僕もお風呂に入ってこの鬣を整えて」
臆病ライオンにとっては自慢の鬣です、彼はいつもこの鬣をお風呂の後ブラッシングしてもらって整えてもらっているのです。
「奇麗にしたいからね」
「ライオンさんその鬣お気に入りよね」
「タイガー君の模様と同じでね」
「あの黒と黄色の縦縞の」
「僕のこの鬣もなんだ」
臆病ライオンはにこにことして恵梨香にお話します。
「本当にこれが奇麗だと最高に嬉しいよ」
「それじゃあ今から」
「うん、お風呂に入って来るよ」
腹ペコタイガーと一緒にです。
「そうしてから本格的に寝るよ」
「お昼寝じゃなくて」
「朝までぐっすりと寝るよ」
こう言ってでした、臆病ライオンは実際にです。
腹ペコタイガーが入ったお部屋に入ってです、彼を起こして一緒に入浴してでした。
奇麗になってから寝ました、それは恵梨香達も同じで。
五人共お風呂に入って奇麗になってあったまってからです、その後で朝までぐっすりと寝るのでした。そして翌朝に向かうのですが。
寝る時にです、雌鶏のビリーナが恵梨香に言いました。
「今回の貴女達は静かね」
「宮殿で遊んでるだけね」
「貴女達が来たらいつも冒険になるけれど」
「それが、よね」
「今回は静かね」
「こういうこともあるかしら、いえ」
ここですぐにです、恵梨香は思いなおしてビリーナに言いました。
「まだわからないわよ」
「いきなり、なのね」
「冒険に出るかも知れないわ」
「そうね、ここではいつもね」
「ええ、急に何かが起こるでしょ」
「だからなのね」
「ひょっとしたら今回も」
考えつつです、恵梨香はビリーナに応えます。
「そうなるかも知れないわ」
「じゃあその時は」
「是非行かせてもらうわ」
その冒険にというのです。
「今は宮殿で遊ぶことを楽しんでるけれど」
「そういうことね、じゃあ冒険を待ってるの」
「そうなるかしら」
「では待つことね、時には待っていてもね」
「来るものね」
「そういうものだから。待っているといいわ」
ここでビリーナが恵梨香に言う言葉はこうしたものでした。
「私もそうするわ」
「それじゃあ今日は」
「私も寝床で寝るわ」
自分のお部屋でというのです。
「そうするわ」
「そうね、じゃあまた明日ね」
「ええ、お休みなさい」
お休みの挨拶をしてでした、恵梨香もビリーナもそれぞれの場所に戻ってぐっすりと寝ました。明日は一体どんな楽しいことがあるのかしらと考えながら。
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