『続:殺し、失い、得たもの。』
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『仲間、誠(セイ)』
とりあえず乾杯!!
仲間、つまり、そぉゆうこと。
兄妹...なるほど。
零の時みたいに拾ったんやな。
『あ、じゃあ、組には入ってないん?カタギ?』
『それはコイツ次第。組に入れたくて連れてきたワケや無いしな』
やっぱ拾ったんや。
零が拾われた時、入れ替わりに巣立った人が居た。
その人は、店舗型ヘルスで働いてる。
『...誠さんはヤクザなりたいん?』
『いえっ!!自分こんなんやし仮になりたくてもなれません!!』
『てか敬語?零、妹やし普通に喋ってよ』
『似てますね、零さんと父上は...』
『ちょっ!!父上って!!マジありえん!!おもろ過ぎ♪てか零は零って呼び捨てにして』
組長が『父上』に声が出んほど笑いのツボに...。
少し落ち着いて誠に言う。
『ひぃーっ!苦しい!ホンマやめぇや!笑い死にしかけたやん』
『うん、父上はヤメよ?』
『えっと、じゃあ、誠さんもやめて呼び捨てにして下さい。普通の兄妹はそぉらしいですし。お互い呼び捨てで...父上は父上なので...』
『ひぃ―――――っ!!』
組長がまたツボる。
『呼ぶ度に組長大変やし...「組長」はアカンのん?それか「オヤジ」とかは?』
『笑い死にせん「オヤジ」で決まり!』
『おっしゃあ!じゃあ誠と組長の父子愛にカンパァーイ♪♪♪』
零は久々に酔ってた。
誠を連れてきたのは、零の為でもあったんやと思う。
それだけ、深く考えてくれる人やから...
死にたいとか殺して欲しいとか言えんなった。
でも、組長は零の考えや想い...たぶん全部読んでる。
解ってるんや。
その上で、変わらずに組長らしい愛の注ぎ方をしてくれてる。
零は、いつまでこの人に甘えるんやろ...
『零、いつまでもオマエは娘や。たとえ10年20年...逢うことが無くなったとしても...それだけは変わらん。
心の絆は強く固いもんや。何があっても守り抜く!!子供が親に遠慮するもんやない!!シッカリ甘えて迷惑かけるんが仕事や。受け止めたる、子供の特権やろ♪』
ほんっまに考えてること読まれてるんやないかってくらい、鋭いタイミングで欲しい言葉をくれる。
誠が喋り出す。
『零、俺は、虐待で施設行った。でも、施設でも体罰があって、恐怖で耐えれんくて遠いとこから逃げてきた。四国に辿り着いて、お金も無くなって、この方に助けて貰って、今、此処に居る。
俺はそんなだったから、人が怖い。顔色伺っては機嫌取ったり逃げたり我慢したり...零も虐待受けてたのは聞いた。解ってくれると思うけど、拒絶より攻撃されるのが断然怖い。
俺は変わりたい。男なんやから男らしくなりたい。いちいち怖がってたらあかん思う。
零は、一見強く見える。でもやっぱり強がってるだけなんは解る。全然普通に弱い女の子やと思う。でも女の子なんやし、それで良い。そんな肩肘張って疲れる生き方してたら、いつか倒れてしまう...それが心配やし怖い』
組長が言う。
『誠、オマエ...なんでそんなに零のこと解ってんの?怖いで?』
『...写真見して貰って、たまたま零を見かけてから、何回か様子見に行ったり尾行したり...心配で見てました』
『ほぉよ、誠、零のこと監視しょったんよー!』
『そんなことしょったんか!いつの間に...』
『ん?組長は知らんかったん?』
『しらんしらん!!』
『ちょお待って!!...ほななんで今日あそこ来たん?...怖いって!!』
『んなもん探しまわったに決まっとるやんけ!あほかっ!』
『ほんまぁ?実は零にGPSとか埋め込んどんちゃん?』
『あほぉ...!!』
呆れたようにチカラ無く言って席を立った。
零は、施設に入る前から組長に拾われてる。
施設に入ってからも変わらずに助けてくれる。
限られた自由の中で組長との時間をつくる。
もしかしたら気付いてないだけで恋心とか在ったんかも。
色々思い出しながら飲む。
ペースがあがってきて、それを見て、誠が心配そうに聞いてきた。
『お酒強いの?』
『気分によるんかな?テキーラ飲み過ぎたら頭割れそぉなる。まずくなるし』
『テキーラ?え、何度あるか知ってて飲んでる?』
『え?熱?無いよ?』
『そぉやなくて!お酒の度数、知らんと飲んでる?』
『何それ、酒も熱あんの?』
『もーっ!!シッカリしてよ零チャン!ここにお酒の度数書いてるの!数字が高いほどキツイの!危ないの!女の子なんやし気を付けなアカンやんか!』
呆れたように説明してくれて、チャン付けやし、普通に喋れてるし、誠も何気に酔ってそうやなぁって思った。
組長が戻ってきた。
『零、そろそろ送ろうか。酒のニオイ消せよー』
『はぁい。誠、またね!』
『うんっ!またね!』
車内では組長が尾崎を熱唱。
自分で歌いながら泣く。
普段、聴く機会が無い歌を聴かせたいのか、単純に好きで歌ってるだけなんか...
真意は解らんけど、こんな時間も凄く好き。
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