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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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ディアボロモンの逆襲その3

 
前書き
ディアボロモンの逆襲その3

一応この小説のインペリアルドラモンはウォーゲーム当時のオメガモンと同じ進化なので基本スペックはオメガモンと対等。

ガルルキャノンは冷気弾を発するはずなのにエネルギー波の描写しかない。
冷気弾とエネルギー波を切り換えることが出来ると無理やり納得させるしかない。

 

 
オメガモンとディアボロモンの戦いが再び始まった。

太一「……何だってんだ、これは!!!」

クラモンがオメガモンの周りに集まってきていた。
それにより視界が遮られ、ディアボロモンの姿が見えなくなる。
視界を遮って先制攻撃を仕掛けるつもりなのだろうと考えたオメガモンはクラモンを薙ぎ払うため、オメガモンは左手にウォーグレイモンの腕からグレイソードを出現させた。
グレイソードで、横薙ぎに一閃した。
クラモン達に当たりはしなかったが、風圧で吹き飛ばされる。
しかし、すぐにクラモン達はオメガモンの元に戻ってくる。

ヤマト「くそ!!ディアボロモンを…マザーを狙うんだ!!」

ヤマトの指示により、オメガモンはメタルガルルモンの腕からガルルキャノンの砲身を出現させる。
砲門を真上のディアボロモンに向けると、何の躊躇いもなくエネルギー波を放った。
しかし、放たれたエネルギー弾は直ちにクラモンの群れが作り出した壁に阻まれ、ディアボロモンに届く前に無力化されてしまった。
ディアボロモンが首を突き出し、オメガモンを嘲笑った。
オメガモンの弱体化、紋章の力をデジタルワールドの安定に使ったために、現在はチンロンモンの力で進化している。
3年前は無数のディアボロモンを瞬殺した攻撃も、今ではクラモンが盾になっただけで簡単に無力化されてしまった。
ディアボロモンは3年前のオメガモンとの戦いを前提に戦いを挑んでいる。
オメガモンの戦い方は完全に記憶しているだろう。
状況はどこまでもオメガモンが不利であった。









































光子郎「まずい!!」

短い戦闘時間だが、光子郎もこちらの不利を悟っていた。

一輝「やっぱり不利になっちまったな。」

対する一輝は作業を続けたまま呟く。
ある程度こうなることは予想していたのだろう。

レオルモン『そういえば、八神ヒカリと高石タケルからオメガモンに加勢するってメッセージが来てるよ』

光子郎「……分かりました。タケルくん達に、くれぐれも気をつけるようにと伝えておいて下さい…あの、一輝さん…」

一輝「断る。面倒臭いし、お前らの尻拭いはごめんだ。」

それだけ言うと、一輝は作業を続ける。
元々一輝はこちらに良い感情を抱いてはいない。
手伝ってもらえるだけ有り難いと思わねば。








































大輔「ほい、捕獲」

クラモンの1匹を捕獲した大輔が強制送還させた。

はやて「大輔さん。あれ?」

大輔「ん?」

大輔達は街の一角の巨大スクリーンを、見つめていた。
そこで展開されているのは、オメガモンとディアボロモンの戦い。
傍から見てもオメガモンの方が劣勢だと分かる戦いだ。

大輔「苦戦してるな。」

フェイト「加勢する?」

大輔「要らないだろ。流石に1度戦った相手に負けはしないさ」

賢「ディアボロモン自体、ウォーグレイモンとメタルガルルモンで何とか出来そうだけれど。」

寧ろこの状況では巨体のオメガモンより小柄なウォーグレイモンとメタルガルルモンの方が戦いやすいのではないだろうか?

大輔「ん?電話?もしもし」

姉から借りた携帯を開いて、繋ぐ。

光子郎『大輔君、オメガモンの救援にはヒカリさんとタケルくんが向かいました。君達はくれぐれもクラモン達を頼みます!!!』

大輔「はあ?」

それだけ言って、光子郎は電話を切ってしまった。

ブイモン[あ、エンジェモンとエンジェウーモンだ]

全員【え?】

ブイモンの呟きに、大輔達が再びスクリーンを見つめると、確かにエンジェモンとエンジェウーモンの姿が映っていた。

大輔「行動早いな」

賢「これなら大丈夫でしょ、さあ作業を再開しよう」

大輔達は作業を再開した。
取り敢えず本当にピンチの時は加勢しようと大輔は心に決めた。








































電脳世界の中では、デジモンは身体を構成しているデータをある程度書き換えることが出来る。
パートナーであるタケルとヒカリを肩に乗せられるくらい巨大化したエンジェモンとエンジェウーモンは、オメガモンと太一、ヤマトの元を目指して一気に飛び立った。

ヒカリ「お兄ちゃーんっ!!」

現れたエンジェモンとエンジェウーモンを見て、ディアボロモンが胸部の砲門から無数のエネルギー弾が発射された。

タケル「兄さーんっ!!」

エンジェモンとエンジェウーモンは、ディアボロモンの攻撃をかわしていく。
オメガモンが振り向き、太一とヤマトが驚きの声を上げた。

ヤマト「タケル!!!」

太一「ヒカリ!!!」

エンジェモンとエンジェウーモンはディアボロモンの攻撃を避け続けるものの、次第にディアボロモンの命中率が上がっていき、何発か直撃し始める。








































大輔達は太一達に任せてはいるが、じっとしていられる者ばかりかと言うとそうではない。

スバル「かなりのピンチじゃない?私達も行こうよ!!」

ルカ「いや、あのディアボロモンは太一さん達が倒した敵ですよ?僕達は部外者ですし…」

スバル「何言ってるのルカ兄!!仲間…と言えるのか少し微妙だけど、ピンチなんだよ?助けなきゃ!!」

アリシア「よおし、ルカ。ゲートを開いてよ」

ルカ「分かりました…」

深い溜め息を吐きながら、ルカは電脳世界に繋がるゲートを開こうとするが、これが原因でとんでもないことになるなど知る由もなかった。








































エンジェモンとエンジェウーモンとオメガモンはそれぞれのパートナーを庇いながら攻撃をかわしていた。

ヤマト「(何なんだ?ディアボロモンの力ならオメガモンはともかく、成熟期のエンジェモンと完全体のエンジェウーモンはとっくの昔に撃墜されているはずだ。運がいいにしては、あまりにも当たらなすぎる。こっちも攻撃は許されないが、これではいずれ、ディアボロモンのエネルギーが尽きるぞ…時間を稼いで、一体何の得があるんだ…?)」

ヤマトが疑問を感じた瞬間、巻き添えを食わないように散っていたクラモン達が行動を開始した瞬間、変化が起きた。

スバル『ルカ兄、どう?』

ルカ『はい、ゲートは開きましたよ』

ギンガ『でも、ルカ君…これ少し開けすぎなんじゃ…』

ルカ『おやまあ、確かに』

ティアナ『ルカ…あんたねえ……』

アリシア『とにかく行こうよ~』

緊張感のない聞き覚えのない声にディアボロモンが困惑したような顔になる。
彼らがゲートを開いた張本人であり、またディアボロモンの救世主でもあった。
後者は、本人達には不本意だろうが。

エンジェモン[エンジェウーモン!!]

エンジェウーモン[ええっ!!オメガモーンっ!!]

ディアボロモンのエネルギー弾の乱射が止まったことを好機と取ったエンジェモンとエンジェウーモンはディアボロモンにクラモン達の壁を突き破りながら突撃した。
ディアボロモンが潜んでいた球体からディアボロモンを引きずり出し、ヒカリが太一に笑顔を向ける。

ヒカリ「お兄ちゃん!!」

太一「分かった!!」

オメガモンもディアボロモンの元へ向かい、その勢いを殺さぬままグレイソードを敵のディアボロモンの顔面に突き刺した。
タケルがヤマトを振り向く。

タケル「兄さん!!」

ヤマト「おう!!」

動けないディアボロモンに、オメガモンはガルルキャノンを乱射する。
連続エネルギー弾を何度も喰らったディアボロモンは身体から煙を噴き出し、自身の構成データの1つ1つを幼年期であるクラモンに書き換えながら消滅した。
そしてクラモン達がルカ達が開いたゲートに入っていく。
クラモンが入り込んだゲートには“切断”という表示に切り替わった。
それと同時に、オメガモン達が残された電脳世界は暗くなっていく。

太一「ゲートが…」

ヤマト「閉じられていく…」

残された太一達は訳が分からなかったが、閉じ込められてしまったことだけは理解出来た。









































光子郎「ああ…っ」

一輝「やばいな」

遼「おーい、ミミちゃん来たぞー」

ミミ「おっ久ー♪」

コンビニから帰る途中の遼と偶然出会ったためにミミは遼に案内されてきたのだ。

一輝「太刀川…だっけ?久しぶり」

ミミ「ああ、一輝さん!!久しぶり、相変わらず綺麗で美人ですね!!」

一輝「お、おお…そうか、ありがとよ…」

男に向かって綺麗で美人はないだろうとツッコみたいが、ミミには悪意も何もなく、思ったことを口にしているだけなので注意する気にもなれない。

光子郎「それで、どうしたんですか?」

疲れたように尋ねる光子郎に、ミミはむっとなりながら口を開いた。

ミミ「何よー、久しぶりに会ったんだから“おかえりなさーい”くらい言いなさいよ」

遼「そうそう、光子郎は少し女の子への扱いが雑過ぎるぞ。」

光子郎「今はそれどころじゃ……」

一輝「お帰りなさいを言うくらいの余裕はあるだろ。日本にお帰り太刀川」

ミミ「はーい♪ただいま!!」

そしてミミはマイペースに部屋に置かれていた扇風機のスイッチを入れた。

光子郎「……それにしてもディアボロモン、恐ろしい奴だ。自分が倒された時のために、クラモンを大量に送り込んでいた……」

遼「現実世界でディアボロモンに進化する気なのか?」

一輝「現実世界ならオメガモンは被害を恐れて全力で戦えないからな」

ミミ「どういうこと?」

事態を把握出来ていないミミが尋ねる。
光子郎は淀みなく答えた。

光子郎「ディアボロモンをそのままこちらの世界に送る事は難しい……でも、幼年期のクラモンのデータは大量に送信出来る。奴は保険をかけてたんです。自分が倒されたら、クラモンに後を託せるように」

ルカ達の開けたゲートが、結果的に大量のクラモンを生き延びさせる結果になってしまったのだ。
ルカ達に悪気は無かったとはいえ。

光子郎「このまま、クラモンが現実世界に出てきてしまったら……もう、手の打ちようがありません」

一輝「まあ、諦めるのは早いはな。泉、お前…クラモン達を東京湾に移動させろ。1人で無理なら井ノ上とルカに協力を呼び掛けるんだ」

光子郎「え?」

遼「何で東京湾なんだよ?」

一輝「東京湾なら広いし、ある程度被害を考えずに戦える。まさかお前、街中で戦うつもりだったのか?オメガモンとエンジェウーモンとエンジェモンなら自力でゲートを開けることくらい出来るだろ。早く準備しろ」

作業を開始した一輝に続くように光子郎も作業を開始した。











































そして、悪気はなかったとは言え、ディアボロモンを助けてしまったルカ達は大輔達に謝罪していた。

ルカ『すみません、大輔さん。僕のミスです』

スバル『大輔さん、ごめんなさい。私がゲートを開かせたからあ…』

ルカ達からの通信を受け、深い溜め息を吐いた大輔達。

大輔「ああ、もういいよ。とにかく東京湾に行けばいいんだな…ここから東京湾に行くとなるとかなり時間が掛かるな」

インペリアルドラモン・ドラゴンモードで行けば短時間で行けるが、まだ人がいる所で進化するのは問題があるだろう。

結論:人気のない場所まで移動進化

大輔「行くぞ」

賢「ああ」

東京湾に向かっていくクラモンとは正反対の場所に向かっていく大輔達。








































そして運良く東京湾の近くにいたアリサ達。

アリサ「うわあ、これは凄いわねえ」

すずか「うん、賢さん達…間に合うかな…」

東京湾の海が数えるのも億劫になるほどのクラモン達に埋め尽くされていた。
後に大輔達以外の殆どのメンバーが集まる。

伊織「これは…」

ユーノ「伊織君、大変なことになっちゃったね」

伊織「はい…」

ルカ「遅くなりました。」

ギンガ「ごめんなさい!!私達が勝手なことしちゃったから…」

ユーノ「いや、いいよ。寧ろ現実世界に出て来たクラモン達を一カ所に集めることにも繋がったし」

なのは「みんな、見て…クラモンが…」

ティアナ「デジタマに…」

天に向かって上昇していくクラモン達のデータが融合していき、巨大なデジタマとなった。

ルカ「ディアボロモンにしては巨大過ぎますね…一体何が生まれるのか…」

ティアナ「嫌な予感がするわ……」

アリサ「…孵るわ」

デジタマが割れ、中のデジモンが東京湾の海に着地した。

なのは「あれは……」

ユーノ「アーマゲモン…」

かつて歴史を修正しようと戦った強敵。
バルバモンの強化があったとはいえ、かつてのオメガモンを粉砕したデジモン。
しかし、目の前にいるアーマゲモンは歴史の修正時に戦った時より威圧感を増している。
恐らくあの時以上のクラモンのデータがその肉体に凝縮されているのだろう。
アーマゲモンが吠えた。
それは人間で言う産声だろうか。
その時である。
空間を裂いて、オメガモンが現実世界に現れたのであった。 
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