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ローブ=ア=ラ=フランセーズ

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第二章

「凄く整えていたね」
「そうだったわね」
「あのセットにするのかい?ロココだから」
「頭に田園のミニチュア入れたりお花を生けたり」
「そうしないよね」
「それはしないわ」
 くすりと笑ってだ、サラはそれは否定した。
「流石にね」
「まあそうだよね」
「ただ、ドレスは着るから」
「ローブ=ア=ラ=フランセーズはだね」
「それは着るわ」
 このことは絶対だというのだ。
「貴夫人の役だから」
「何とか大変そうだね」
「そうね、コルセットもうんと締めて」
「絹やレースをこれでもかと使った服よ」
「僕も映画監督だから」
 それで、というのだ。
「あの服は撮影に使ったことがあるけれど」
「それでもよね」
「着ている人は大変だね」
「実際に大変よ」
 その着る人間としてだ、サラも答える。
「前がぴったりとした表着のローブとスカートと」
「あのスカートはジュップというね」
「そして胸から下の開きのところをカバーする」
 それはというと。
「胸当てのね」
「ピエース=デストマだね」
「その三つにね」
 さらにだった。
「スカートは膨らませるけれど」
「パニエでね」
「もう全部着けるまでね」
「時間もかかるし」
「着たら動きにくくて」
 サラが普段着ている服と違ってだ。
「しかもおトイレも大変なのよ」
「お風呂にも入りにくいね」
「当時はあまり入らなかったわね」
 有名な話もだ、サラはした。
「今みたいに」
「君は入浴も好きだけれどね」
「そう、それも出来なくて」
「実は結構衛生的にはだったね」
「よくない服だったのよ」
 それがそのローブ=ア=ラ=フランセーズの特徴だというのだ。
「実際はね」
「そうだったね」
「だからね」
 難しい顔でだ、また言ったサラだった。
「着るにあたっては大変よ」
「ロココ貴族の恐るべき現実だね」
「有名だけれどね」
「まあ舞台だから」
「ええ、事前におトイレに行って」
「緊急の時でもね」
「昔に比べたらずっと楽に脱げるから」
 そのロココの時よりもだ。
「大丈夫よ」
「そうだね」
「それにお風呂にも入られるから」
「清潔に貴夫人を演じられるね」
「そうなるわ、だからね」
「今回の舞台でもだね」
「しっかり演じてくるわ」
 そうするというのだ。
「これからね」
「頑張ってね、僕もね」
「新作の映画の撮影ね」
「それを頑張って来るよ」 
 夫婦それぞれで仕事をするというのだ、そうしたことを話してだった。
 それぞれの仕事に入った、サラは最初は動きやすいジャージで舞台の稽古をしていたが本番が近付いて。 
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