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女の子の秘密

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1部分:第一章


第一章

                   女の子の秘密
 川西早輝は学校では可愛いことで評判である。白い顔に黒のロングヘアを右で分けていて黒い目の光は奇麗で眉は薄めだが形がいい。唇の色は桃色でとりわけ笑顔がとてもいい。そうした女の子だ。
 背は一六二程度で細身だが足はかなり見事なものである。最近の高校生の女の子らしくスカートを折ってミニにしているのでそれがかなり目立っている。尚且つ性格は明るくて誰とも分け隔てなく付き合うことができるし嫌味なところがない。これだけ揃っていれば確実にもてるものだがそうではなかった。そうであるには理由があった。
「げっ、またあれだけ食うのかよ」
「どれだけなんだよ」
「いただきます」
 自分の机で満面の笑顔で手を合わせている。それ自体はいいのだが問題は彼女の前に置かれている弁当箱だった。優に普通の弁当箱の三倍はあった。
「ええと、今日はコロッケに?」
「あとプチトマトのサラダか」
「それと・・・・・・ゆで卵だな」
 皆そのメニューを見て言う。おかずの量もかなりでゆで卵にしろ三個あるしコロッケに至っては五個も入っている。しかも御飯はびっしりだ。
「いつもよく食うよな」
「全くだ」
 言っているのはクラスの男子連中だ。唖然とさえしている。何故彼女がその外見や性格に関わらず彼氏がいないかというとこの大食いにあった。
 その弁当をあっという間に平らげてしまう。まさに一瞬である。しかも食べ終えてから。今度は自分の鞄からあるものを取り出した。バナナ一房である。
「で、デザートはバナナか」
「でっかいバナナだな」
 それが一房である。早輝はそのバナナを一本ずつ剥いて小さな口で食べていく。しかしその速さが尋常ではない。気付けばもう全部食べ終えてしまっていたのだった。
「いつもながら」
「壮絶に食うな」
 男連中はその食べ終えてごちそうさまをするまでを見届けてそれぞれ言うのだった。
「あれだけあったのがもう消えたよ」
「俺でもあれだけ食えないけれどな」
「俺もだ」
 育ち盛りの男連中でもこうだ。しかもこれだけではない。食べ終えた早輝はクラスメイトの女の子達と楽しく談笑に入って射た。その時手には学校の売店で買ったと思われるサンドイッチがあった。飲み物はミルクである。
「しかもまだ食うしよ」
「あれデザートじゃなかったのかよ」
 これも衝撃であった。彼女はまだ食べるのだ。とにかく食べて食べて食べまくっている。まさにテレビの大食いタレントである。その彼女の食欲に誰もが唖然としていた。
 だがここで一つ大きな謎があった。それは食べるうえでどうしても無視することができない出来事から生じてくる謎であった。その謎とは。
「けれどあれで顔はいいんだよな」
「胸ないけれどスタイルいいよな」
「そうだよ、それだよ」
 皆が不思議がっているのはこのことだった。早輝はとにかく滅茶苦茶な量を食べている。しかし痩せているのだ。力士の如く食べていても痩せている。皆このことがとても気になるのだった。
「何であれだけ食ってあんなに痩せてるんだ?」
「ちょっとそれ謎だよな」
「絶対何かあるよな」
「なあ」
 クラスの男連中は学校帰り通学路にある吉野家において牛丼特盛りを食べながらあれこれと話をしていた。彼等が横に並んでその牛丼を食べているカウンターの後ろには早輝が満面の笑顔でいた。牛丼特盛り十杯を見事食べ終えたという記念写真となっていた。
「普通あそこまで食ったらな」
「太る太る」
「間違いない」
 皆一斉に言う。
「けれどあいつ痩せてるよな」
「全然太る様子ないよな」
「何でだ?」
 皆それが不思議だった。考えてみればおかしなことだ。それで考えていたがそのうちの一人がふとこんなことを言い出したのだった。
「ひょっとしたらな」
「ああ。ひょっとしたら」
「何だ?」
「食い物に関係あるんじゃねえのか?」
 この彼はいぶかしむ顔で仲間に対して言ってきた。
「やっぱりよ。食い物によ」
「食い物かよ」
「ほら、よく言われるだろ」
 彼は持論を展開しだした。
「野菜食ってると太らないってな」
「ああ、まあな」
「そう言われるよな」
「こんにゃくとかカロリーないしよ。それ考えたらよ」
 こう仲間に対して話すのだった。話ながらも牛丼は食べ続けている。しかしその彼に対して仲間の一人が目を顰めさせて言うのだった。
 
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