グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
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第41話:青少年育成いいんかい?
(グランバニア王立学校)
リューノSIDE
私達(私・リューラ・マリー)は、王家の縁者である事を隠して日常生活を送っている。
その為の設定として“両親は遠くで共働きをし、現在は知人であるグランバニア城勤めのメイドの家庭で生活している”って事になっている。
私もリューラもマリーも、それぞれ別のメイドが保護者となっており、腹違いの姉妹である事も伏せられている。
勿論、校長先生を含め学校の偉い人の少人数は知っており、それでも態度を変えないからこそお父さんに信頼されて任されたのだ。
そんな訳で周りのクラスメイト達は、私達を“最近仲良くなり出した女友達”と思っている。
過去の世界に行った事で、私達も成長し仲良くなってきたと私も感じてる。
それでも、更に深いプライベート部分は知る由もなく、時折驚かされる事があるのだ……それがコレ。
「わぁリューラちゃん。セクシーなパンツ穿いてるぅ!」
次の授業が体育なので、学校の更衣室で着替えをしてると、クラスメイトの“アミゴ・フロイン”が目敏くリューラの下着を指摘する。
普段から大人しいリューラが穿いてるセクシーなパンツが気になり、私もマリーも思わず視線を向けると……
そこには確かにセクシーな下着を着けたリューラの姿があった。
私の知ってる限りでは、彼女の持ってる下着なんて白しか思い付かないのだけれど、今穿いてるパンツは凄い。
ゼブラ柄というのだろうか? 白地に黒い模様が入ったパンツとブラジャー……
「如何したのリューラ、そんな下着……珍しいわねぇ(ニヤニヤ) あ、分かったぁ! 彼氏に貰ったんだな(ニヤニヤ)」
仲悪かった頃なら殴りたくなる様な口調のマリーに対し、リューラは怒る事なく俯いて恥ずかしがる。どうやら図星の様だ。
「え、マジで!? あの田舎者、そんな甲斐性があったの?」
マリーの台詞を否定出来ず、唯々顔を赤くして俯くリューラ。
周囲のクラスメイトも「やるぅアロー君!」とか騒いで囃し立てる。
二人の仲は皆に知られている。
リューラは周囲に内緒にしておきたかった様だが、あの狐はアホだからゴリゴリ態度に表してしまい、編入後2日で周知の事実へと成り果てた。
って言うか、何で2日保ったのか解らないくらいのゴリゴリっぷりだったわ。
因みに、リューラを狙ってた男子生徒にアローは苛められたらしいのだが、あの狐はアホだから苛めに気付かず全員と友達になったらしい。
如何すればそうなるんだろうか?
さて話を戻そう。
コイバナ好きの女子共に、やりたい放題囃されてるリューラが可哀想になってきたので、「ほらリューラ! 何時までも下着姿で恥ずかしがってないで、次の授業の為に着替えちゃいなさいよ」と、周囲を黙らせる。
すると、
「あ、ありがとうリューノ」
と恥ずかしそうに礼を言って着替えを再開。
「まったく……恥ずかしいのなら学校に着てこなきゃ良いのに」
と思わず苦言。
でも考えてみれば愚問だった。
「きょ、今日……放課後に……デートの……約束したから……」
と余計な事を口走るリューラ。
案の定「ひゅ~、今日はデートなのぉ!」「羨ましぃぃ」「じゃぁ勝負パンツって事じゃん!」等、周囲から歓声が聞こえる。
言っておくが奴は処女じゃない。
既にアローとヤリまくりだ。
だから今更勝負などなく“デートしたら合体”は確定事項。
あのパンツを穿いてるのは、素直に彼を喜ばせたいからだけだろう。
多分、発覚したのが偶然今日なだけであって、昨日もセクシーパンツは穿いてたに違いない。
そう言えばずっとスカートを気にしてたモン。
さて、いい加減に周囲の女共を黙らせないと授業に遅れてしまうので、マリーに助けを求めようと視線を向ける。
するとそこには、膨れっ面のマリーが……
そして一言。
「調子に乗んじゃないわよ! 私にだってパンツくれる彼氏が居るんだからね! この高級下着も、その彼氏にプレゼントして貰ったんだから!」
と無意味な競争心を.曝け出す。
言わせてもらうが、私も同じ男から下着をプレゼントされてるわよ。
「も~う……何対抗してんのよ!? マリーちゃんの下着はどれも高級でセクシーなのは知ってるわよ。でもねぇ……落ち着いちゃってるのよねぇ」
確かに落ち着いた下着ばかりだ。大人びた下着と言えば良いのだろうか? マリーの様なナイスバディには似合うけど、私にはイマイチ似合わない物もある。
「見てよリューラちゃんの派手派手パンツ! 翻ってマリーちゃんのは……地味じゃね?」
止せば良いのにマリーを煽るアミゴ。
面倒な事が起こりそうで嫌だなぁ……
(グランバニア城・国王主席秘書官執務室)
学校も恙無く修了し、ご立腹のマリーは私と共にウルフのオフィスへ駆け込む。(私は駆け込まされる)
因みに、何故かリューラとアローも巻き込まれてる。
一体何を言い出すのやら……
「ウルフ! 私にもパンツ買ってよ!」
「……お前、いきなり来て何言ってんだ?」
以前程ではないが、それでも大量の書類に囲まれ仕事をしてるウルフは、呆れた口調でマリーに対応する。
「だってズルいじゃん! リューラはアローからセクシーなパンツをプレゼントされたのよ! 私だって欲しいモン」
「セクシーな下着なら、俺も沢山プレゼントしたろ。ってか、現状でマリーの下着は全て俺のプレゼントしたセクシーパンツだろ」
「ち~が~う~! 私もリューラの様な派手派手セクシーパンツが欲しいのよ!」
「ほう……リューラのパンツは派手派手か? どれ、見せてみ」
私達の入室時にチラリと視線をこちらに向けただけで、それ以外はずっと書類を見ながら会話してたウルフだが、マリーの言葉に反応し視線をリューラに向けてくる。
「これよ!」
そして、事も有ろうかマリーはリューラのスカートを捲り上げ、例のパンツを発表する。
「き、きゃぁー!!」
突然の事で一瞬間を置いたが、慌ててスカートを押さえ下着を隠すリューラ。
「ほう。確かに派手だな。アローの趣味か?」
「え、あ……うん」
鼻の下を伸ばして観賞してたアローと、凜々しい顔で彼に質問するウルフ。
「いきなり何するのよ、馬鹿マリー!」
「だって見せないと伝わらないじゃん!」
「そうだぞリューラ。しっかり伝わったぞ、アローの気持ちが……愛されてるなぁ。色んな意味でごちそうさま(笑)」
「黙れエロウルフ」
「男は皆こんなもんだ。お前の親父が良い例だ」
確かに……そのお陰で私らが生まれたんだから。
「男談義は如何でも良いのよ! 私にもプレゼントしてよ派手派手セクシーパンツ!」
「あぁ、そう言えばそんな用件だったな。リューラのが可愛かったから忘れてたよ」
多分本題に戻ったのだろう。ウルフの視線が書類に向かう。
「そう。可愛いんだから買ってよ。ね♥」
マリーは可愛くウルフに強請る……が、当人は書類から目を離さない。
そして一言。
「断る」
にべもなくバッサリ断ち切るウルフの言葉に、
「な、何でよ! 彼女が可愛くセクシーになるのを拒絶するの!?」
と食い下がる。
「あのパンツは、俺の趣味じゃない。如何しても欲しいのなら自分で買え」
「しゅ、趣味じゃないって……」
思わず言葉に詰まるマリー。気持ちは解るが……
「男が女にパンツをプレゼントするなんて、要は自分が楽しみたいからなだけだ。自分の趣味じゃないパンツなど邪魔なだけ。むしろ無い方がムダがなくて良い」
「うわ、最低だコイツ」
言い切るウルフと、その言葉に顔を歪めるユニさん。
「外野は黙れ」
サインをした書類を渡しながら、先程の言葉を責めるウルフ。
受け取った書類の眺め、ウルフをチラ見して「ふっ」と鼻で笑うユニさん。
なんかこの二人お似合いでヤキモキする。
「う゛~……リューラだけがチヤホヤされるなんて納得出来ない!」
「じゃぁお前もアローにプレゼントして貰え」
「嫌だよ。オイラそんなにお金持ってないもん」
「それよそれ! どうしてアンタが金持ってんのよ!?」
「そりゃ俺が仕事を頼んだからだよ」
え、ウルフがアローに仕事を!?
「な、何よそれ!? どんな仕事よ?」
「それ程急ぎじゃない書類等を、軍港や町中の詰め所に届けて貰ってる」
……仕事つーか、お使い?
「何よ、ガキの使いじゃん!」
「オイラお金が欲しくて、アニキにお願いしたら仕事くれたんだ」
だから仕事じゃなくてお使いよ。
「じゃぁ私もその仕事やる!」
意味が解らん。
何故そうなる?
「お前になんか仕事出せるか! 行く先々でトラブルを巻き起こすお前に……」
「何よそれ、如何いう意味よ?」
自覚ないのか?
「お前は、気に入らない事があると直ぐに魔法を唱える。仮に魔法を唱えなくても、口に出して不満をストレートに言う。嫌味も言う。聞いた相手はキレるから、お前は正当防衛を言い張り破壊活動をする。そんなお前をフラ付かせたら大迷惑なんだよ」
「だ、だって……しょうがないじゃない……ストレスを溜めると美容に悪いのよ。私が醜くなっても良いの?」
お得意のぶりっ子で可愛く問いかけるマリー。
「良いわけないだろマリー。でもお前がストレス発散させると、俺のところに面倒事が舞い込んで、俺にストレスが溜まるんだ。俺が醜くなっても良いのかい?」
優しく微笑み、逆に問いかけるウルフ。
「い、いや……そりゃ……格好良いままで……」
「だろ。つまり、俺のストレスを軽減させる為に、お前は苛立ちを押さえ込み我慢しなければならない。でも、それだとお前にストレスが溜まるから、俺はマリーに仕事を頼まない。ストレスの溜まる環境に置かない為に……納得か?」
納得はしないだろう。
だがこれ以上の不満も口に出来まい。
リューノSIDE END
後書き
パンツメインで1話描き上げる事が出来ました。
如何でしたか?
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