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魔法少女リリカルなのはINNOCENT ―第5のマテリアル―

作者:多尾@MD
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DUEL:02 魔を断つ刃

「これは・・・『雲海上空ステージ』か、まぁ最初はここでいいだろう」

 果てしなく続く空と海を眺めながらアリスが言う。
 ここ雲海上空ステージはその名の通り海の上のさらに雲の上、障害物等も無くステージも大きいため初心者向けのコースとされているコースだ。

「それで、お前が私のデバイスねぇ・・・」

『はじめましてアリス、ブレイブデュエルの世界へようこそ。
 私がアナタの武器たるデバイスMD-01です。操作説明を行いますか?』

 アリスが右手に握っている短剣のようなデバイスを軽く掲げて見てみるとデバイスが話しかけてきた。
 聞く限りでは女性の声のようだが、どこか無機質に聞こえる。

「操作説明はいいよ。
 とりあえず自分のタイプを知りたいんだけど、お願いできる?」

 タイプというのはアバターのステータスに大きく関るもので、超高速で飛び回るものや、味方のサポートに秀でた能力が高いものなど、色々なタイプがあるのだ。
 アリスは初プレイとはいえ開発に大きく関っていた人物なので、こういった事を知っているのも当然である。

『了解しました。
 現在のアリスのタイプはセーヴァータイプという特殊なタイプです。
 特に秀でたステータスなどはありませんが、代わりに強力な固有スキルが付いています』

「セーヴァータイプ・・・聞いた事が無いな。
 聞く限りはディアーチェのロード・オブ・グローリータイプみたいな感じか
 それで、その強力な固有の能力っていうのは?」

『私の刃の部分を当てる事で対象のスキルを無効化することが出来ます』

「・・・・・・つまりはフッケバイン見たいな感じね、オーケー、良く分かった」

 アリスは左手を額に当てて、やれやれといった感じで返事をする。
 スキル・・・魔法を使って戦うゲームにそれを無効化する武器を入れてどうするんだと表情が言っている。

「はぁ、それじゃあ次、変形機能の有無が知りたい」

『変形機能ならありますが、変形するとスキルの使用が出来なくなりますがよろしいですか?』

 デバイスの返答にまたしてもアリスが顔を歪ませる。
 ほんと、このタイプを作った人間は何を考えているんだ・・・といった表情だ。

「とりあえず形状が知りたいから1回変形して」

『了解しました』

 そう言うと短剣の刃の部分が伸びて、普通の剣と同じ位の大きさになる。
 柄の形状も大きく変化しているが、相変わらず鍔の部分にはデバイスのコアパーツが填まっている。
 短剣の時は青より金の部分が多かったが、この形状は青の方が多いらしく、全体的に青い。

『先ほどの形状がダガーモード、現在の形状がブレードモードです』

 ブレードモードへ変形したデバイスを見ること数秒、アリスが何かを決意したかのような表情でゆっくりと口を開いた。

「スキルの無効化にさっきのダガーモードと今のブレードモード・・・よし、MD-01じゃあ呼び難いからね、名前をあげよう。
 魔を断つ刃と書いて『マダンジン』、これでどうだ?」

『マダンジン・・・良き名をいただきました。
 これからよろしくお願いします、アリス。
 プレイヤーデータをリセットしない限り私はずっと貴女と共にいます』

「よし、それじゃあマダンジン、さっそくなんだけど1ついい?」

『なんでしょうか?』

「私がチェンジ、マダンダガーって言ったらダガーモードに、チェンジ、ゲキリュウケンって言ったらブレードモードに変形してくれる?」

『了解しました』

 その後もアリスとマダンジンの会話は続いたが、数分後、突如アラームとともに巨大な警告文が出現する。

「これは・・・」

『乱入者です』

 マダンジンがそう告げた瞬間、空からハンマーを背負った赤い服の小柄な少女が降りてくる。

「あれ?アリスさんじゃないですか!アリスさんもついにブレイブデュエル始めたんですか?」

「おぉ、誰かと思えばヴィータか・・・
 まぁ、ディアーチェのマフィンにつられてちょっと始めてみたんだけど、折角だし1戦しようか」

『ご友人の方ですか?』

 ヴィータと呼ばれた少女とアリスの反応にマダンジンが質問をするが、アリスは後で話すと言ってマダンジンを構える。
 ヴィータも同じようにハンマー型のデバイスを構え、戦闘が始まった。


「いくぞ、アイゼン!!」

『おうよ!』

 最初に動いたのはヴィータだった、6つの小さな鉄球を目の前に出現させるとアイゼンと呼ばれたデバイスでそれらをアリスに向けて撃ちこむ。
 対してアリスはその場から動かずにじっとしたまま鉄球が飛んでくるのを静かに待つ。

『目標接近、衝突まで4、3、2、1』

「切り裂け!!」

 鉄球ギリギリまで接近したところでブレードモードで薙ぎ払い、全ての鉄球を切り裂いてみせた。

『アリスッ!上です!!』

「んなこたぁ・・・分かってるよ!!」

 薙ぎ払いの姿勢からマダンジンを逆手に持ち替えて振り上げる。
 キィィィィィンとデバイス同士がぶつかり合う・・・が、純粋な力ではヴィータの方が上らしく、すぐに落とされてしまう。

「ゆだんたーてきですよ、アリスさん」

『それを言うなら油断大敵だ』

「う、うっせー!いいんだよなんとなく合ってるから!」

 雲の上でヴィータをアイゼンがそんな事を言い合っている中、アリスは海の中へと落ちていった。

「やっぱN+とRじゃ違うねぇ・・・でも、年上としてお姉さんも負けられないんだよねぇ」

『ではどうしますか?』

「そんなものは決まってる・・・やるなら格好良く、行くぞ!!」

 バッと勢いよく海中から飛び出し、再びヴィータに向けてマダンジンを切り上げる。
 ヴィータもさっきと同じようにアイゼンを振り下ろすが、さっきとは結果が違った。
 ヴィータの力を利用して身体を軸に回転、マダンジンで背面を切り裂いた。

「ッ!やっぱりそう簡単には勝たせてくれませんよね・・・」

「当然、こんなんでも年上の意地っていうのはあるからね・・・
 というわけだから、カードリリース!ノーマル2枚!!」

 アリスが両腕を広げると、その先に2枚のカードが出現する。
 ヴィータはこれから起こることを理解してか、少し後退している。

「ストライカーチェンジ!!
 ドライブレディ・・・リライズアップ!!」

 2枚のカードが1つになり光り輝くと、そこには先ほどまでの灰色の服装ではなく、青をベースカラーに前面は白く、赤いネクタイに黒いスカートというどこかの制服のような姿に変わっていた。

「これは・・・なんでまた士官学校の制服・・・まぁ色的にはあってるからいいか。
 さてと、早速で悪いけど本気でいかせてもらおうか、マダンジン!チェンジ、マダンダガー!!」

『モードチェンジ、ダガーモード』

 長かった刃は途端に短くなり、コアパーツとほぼ同じくらいの大きさになる。
 ヴィータは武器を小さくしたことに少し驚いているが、アリスの攻撃に備えてしっかりと構えている。
 だが、そうして構えているのが逆に悪かった。

「スキル!スパイラルチェーン!!」

 身構えているヴィータの周りに複数の魔法陣が現れ、そこから出てきた光の鎖がヴィータを拘束する。
 体中に巻きついた光の鎖によって十分に力を入れることが出来ず、脱出は至難の業となる。

「この一撃で沈める!!
 スキルカードスラッシュ!ジャスティス・・・フォライザー!!」

 アリスの頭上にさっきとは比べ物にならない巨大な魔法陣が現れ、そこから一振りの巨大な光の剣、その一部が姿を現しヴィータを貫く。
 本来ならこの程度の攻撃は耐えられるはずが、光の鎖に動きを封じられて防御ができないヴィータにとっては必殺の一撃となった。


「初日でこれって、やっぱりアリスさんは強いですね」

「まぁ・・・タイプやら引いたスキルやらが良かっただけだよ。
 おっと、もう終了の時間か。それじゃあまた会ったら、リベンジ待ってるよ」

「はい!!」

 こうしてアリスの初戦闘は終わった。
 アリスとヴィータの戦いはデュエルスペースの巨大スクリーンでライブされていたらしく、その後ブレイブシミュレーターからアリスが出てくると大量の客がアリスに拍手喝采したような。



 次の日

「さてと、これでとりあえずの改造は終わりかな」

「ふむ、アバターのカスタマイズか?」

「あぁ、ディアーチェか。
 ちょっとバリアジャケットとリライズアップの演出をね」

「丁度いい、カスタマイズが終わったらなら外出の支度をせよ。
 実はあの後お主と同じ初心者でヴィータに一撃入れた奴がおってな、レヴィがそやつの元に向かっておる。が、あやつ1人では心配だからな、様子見に行こうと思っていたところだ。
 昨日の戦いで『ダークマテリアルズ』への加入は決まったも同然だからな。
 お主のお披露目も含めて、どうだ?」

「ヴィータに一撃ねぇ・・・よし、折角だし偶には外に出ますかね」 
 

 
後書き
 どうも、多尾@MDです。
 今回もネタ満載でお送りしましたこの作品、どうだったでしょうか?
 前回言っていた2つのうちの1つはマダンダガーのことだったんですね。
 絶対分かる人いなかったと思いますがどうですか?

 ちなにみマダンダガーやゲキリュウケンの出てくる『魔弾戦記リュウケンドー』、この字です。
 作中では固有スキルの事も考えて『弾』ではなく『断』にしました。
 リュウケンドーは裏番組のせいで視聴率こそ振るわなかったものの、とてもいい作品なので知らない人は1度見てみてください。

 そんな感じで次回、原作どおりレヴィを追ってあのお店に行ってきます! 
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