| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

154




 足跡の

  残りし初雪

    ふり返り

 見なば独りの

     侘し冬なり



 振り返れば…点々と続く自分の足跡…。
 なんとも弱々しく、寂しく感じてしまう…。

 それを見た時、この冬も一人…ただ物淋しく過ごすのかと思うと、居た堪れない気持ちになってしまう…。

 彼は…他の誰かと楽しく過ごすのだろうか…?
 彼は…愛しい人を傍で感じているのだろうか…?

 そう考えれば考えるほど淋しさが募り…想いの置き場を見失うのだ…。



 会えもせず

  声もなきにし

   君の身を

 案じは悩む

     暮古月かな



 会えもせず、声すら聞けない…そんな彼のことをあれこれと心配してしまう…。

 仕事はうまくいっているのか…人間関係は大丈夫なのか…風邪なぞ引いてはいないか…

 私に何が出来るわけでなし…考えるだけで無意味だと解っている…。

 だが…想ってしまうのだ…。
 所詮、私は彼にとって不必要な存在…。それどころか…彼の人生には邪魔なだけではないか…。

 そう思って眺める雪…寂しさと哀しみが交差する季節が来た…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧