緑の地獄へ
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1部分:第一章
A.T.G.C企画作品第三弾、冒険ものです。ジャンルは冒険、キーワードは本から書かせてもらいました。
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第一章
緑の地獄へ
富松雄作は子供の頃両親からある本をプレゼントされた。その本は動物図鑑だった。彼は子供の頃動物が好きだった。それで彼の両親は図鑑を買ってプレゼントしてくれたのだ。
図鑑を開いてまずはライオンやチーターといったアフリカの生き物を見た。彼が大好きな動物園の生き物達を見たのだ。それからアジアやヨーロッパ、それにオセアニアの生き物達を見た。その後で南アメリカの生き物達を見た。それはどういったものかというと。
他の場所の生き物達よりもずっと大きく異様な形や色をしていてしかも毒があったり凶暴な生き物ばかりだった。とにかくかなり危険な場所なのは図鑑からもわかった。
それで雄作はお父さんとお母さんに尋ねた。南アメリカはどうして奇麗な毒のある蛇や蛙がいて物凄く大きな蛇や鰐、他にも様々な生き物がいるのか尋ねた。すると二人はこう彼に答えてきた。
「南アメリカのそうした生き物達がいるのはアマゾンというところなんだよ」
「アマゾンは凄く大きな川と沢山の木で覆われていてね。凄く暑いの」
「暑いとこうした動物達が沢山いるの?」
雄作はそのことが疑問になって両親に尋ねた。
「こんな変な動物が一杯いるの?」
「うん、そうだよ。アマゾンは特別でね」
「お魚だって凄いのよ」
二人で雄作に話していく。
「何メートルもある魚がいるんだぞ」
「凄く大きなお魚がね」
「何メートル!?」
雄作には信じられない話だった。何メートルという単位は。それを聞いて思わず声をあげた程だった。
「そんな大きなお魚がいるの」
「そうだよ。川の中にな」
「それも一杯いるのよ」
「川の中にそんな大きなお魚が一杯いるなんて」
これまた雄作には信じられない話だった。そこまで大きな川があるということも。その前に聞いた生き物達のことも合わせてだ。彼は驚くばかりだった。
「どんな場所なんだろう」
「しかもとても暑くて雨が一杯降ってな」
「木も一杯ある場所なのよ」
「ううん、どんな場所なんだろう」
雄作は両親の言葉からアマゾンという場所がどんな場所なのかわからなくなった。日本にある様な場所ではないことはとりあえずわかった。だがだった。
想像することすらできなかった。その動物の本を何度読んでもどんな場所か全くわからなかった。それで他の本、アマゾンのことが載っている本なら手当たり次第に読んだ。
その結果アマゾンが壮絶な場所だという認識が雄作の頭の中に入った。海の様に巨大な大河と日本が丸ごと入る巨大な密林に桁外れの量の雨、熱い気候に本にあった様々な動物に魚達、そのどれもが彼の心を捉えた。そうしてだった。
彼は小さいながらも両親にだ。こう言ったのである。
「僕、大人になったら冒険家になってアマゾンを探検するよ」
「おお、頑張れよ」
「その為には努力しなさいね」
いい両親だった。それでだ。
勇作はそれからも、成長していってからもアマゾンについての本を機会があれば読んだ。読めば読む程アマゾンは恐ろしい場所だった。
熱く雨が多く視界は悪い。日光は密林に遮られその木々には猛獣達が潜んでいる。足元には毒蛇だ。川に入れば恐ろしい魚や爬虫類達がいる。しかも日本なぞ比較にならないまでに広大だ。それはまさにだった。
緑の地獄だった。だがそこにだ。
彼はえも言われぬ魅力、秘境として、そして大自然としての魅力を感じた。確かに地獄と言っていい恐ろしい場所だがそれでもだった。
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