魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~
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第1章:平穏にさよなら
第18話「協力」
前書き
優輝が敵にあそこまで苦戦したのは、初の魔法の実戦+敵が常に浮遊していたからです。地上戦ならもっと上手く戦えていました。後は、敵側の戦闘技術が高かったために、優輝でも攻撃を受け流す事が難しかったからです。
=優輝side=
「―――以上です。」
戦いの経緯を話し終わる。
「...君達は...たった三人で奴らとやりあったのか!?」
「...まぁ、そうなりますね。」
久遠は護衛、緋雪は援護で、最初に戦ってたのは僕だけだけど。
「無茶を通り越して無謀だ。そんなの...!」
「...ええ。だからこそ、薔薇姫さんを、護りきれなかった...!」
手に力が入る。経緯を話したため、さっきの悔しさが込み上げてくる。
「っ...管理局としても、早急に奴らを見つけ出して捕まえるつもりだ。悔しいのは分かるが、君達は魔法の事を忘れて普段の生活に...。」
「お断りよ。」
クロノさんの言葉を遮るようにかやのひめさんが言う。
「絶対引き下がるなんて嫌よ。私は薔薇姫を殺されたのよ?あいつらに、然るべき報いを私自身の手で与えなきゃ、気が収まらないわ。」
「し、しかし....。」
眼が鋭くなり、明らかに生半可な事では引き下がらないと分かる状態のかやのひめさんに、クロノさんもタジタジになる。
「...僕も、ここで引き下がるつもりはありません。」
「...私も。」
僕も緋雪も引き下がるつもりは毛頭ない。
「き、君達は...。」
「...先の戦いでは、私の力は完全に失われていたわ。でも、今は別。霊力が回復する今なら、あいつらを絶対に倒して見せる。」
「っ.....。」
言葉だけでも余程の想いの強さがあるのか、クロノさんが言葉を詰まらせる。
「つ、司は何とも思わないのか?」
「...止めるのは無理...かな?クロノ君も分かってるでしょ?三人とも、絶対に引き下がろうとしない事なんて。」
「だ、だが....。」
クロノさんとしては、巻き込みたくないのだろう。
「...なら、協力しましょう。」
「えっ...?」
そこで、リンディさんが割り込む。
「あなた達は自分達の手で“カタストロフ”を捕まえたい。...なら、せめて管理局と協力しましょう。」
「母s...艦長!いいんですか!?」
「ええ。下手に勝手に動かれるより、よっぽどいいわ。」
...はっきり言ってくれるなぁ。実際、そのつもりだったけど。
「...協力してくれるのは嬉しいけど、斧を持った男は私にやらせて。あいつだけは譲れない...!」
「(薔薇姫さんを殺した張本人だからな...。)」
僕もあいつの相手をしたいけど、ここは引いておくか。
「...わかりました。とりあえず、協力する人達を紹介するわ。移動しましょう。」
「わかりました。」
こことは別の部屋に移動するようだ。
...あれ?神咲さんと久遠はどうするのだろうか?
「...私、完全に話に置いてかれた...。」
「くぅ....。」
「.......よし。」
「かやのひめさん?どうしたんだ?」
手を握ったりして何かを確かめているかやのひめさんに尋ねる。
「ちょっと、調子を確認してただけよ。少なくとも戦えるぐらいには回復してるわ。」
「そっか。今は戦う必要がないから、その分も回復に回しているのか。」
通りで僕の霊力の減りが早い訳だ。
「...そう言えば、その霊力とやらは何なんだ?魔力とは違うようだが...。」
別の部屋へ移動中、クロノさんがそう聞いてくる。
「...この世界にも、独自の“魔力”と霊力があります。そちら側の魔力と違ってリンカーコアのような器官はないですけど、やはり一部の者しか持っていない...だよね?」
「...ええ、そうよ。魔力は舶来の...日本以外の国からやってきた式姫が使っていたわ。...薔薇姫とかね。霊力は、陰陽師や日本の式姫が使える力よ。...多分、そっちの魔力と変わらないわ。」
「そうなのか....。」
“地球にもそんな技術が...”とか言って考え込むクロノさん。
...あれ?なんか結構影響及ぼす事言ったか?これ....。
「...ところで、私達はどうすれば...。」
「...そう言えば、聞いてませんでしたね...。」
神咲さんがおもむろに聞いてくる。
「私は戦闘ができませんし、久遠もあまり戦闘には向かない性格ですし...。」
「神咲さんは、完全に巻き込まれただけですもんね...。」
攻撃力自体は申し分ない久遠も、性格や燃費から戦闘には向かなさそうだし。
「...先に言ってくればよかったのですけど...。」
「す、すいません...。...でも、戦闘に参加できなくても、ここで引き下がってのうのうと家で過ごすのなんて嫌なので...。」
合理的ではない言い分だけど、気持ちは分かる。
「...でしたら、このアースラで待機しているだけでもいいですよ?」
「え...あ、でも、何もしないのも...。何か手伝えることがあれば、手伝います。」
「はい。」
そうこうしている内に、協力者がいる部屋に辿り着いた。...中にいる人達が誰なのか、大体予想がつくけど...。
「じゃあ、次元犯罪者グループ“カタストロフ”について話すわね。」
「あの...その人たちは...?」
織崎が僕らの事についてリンディさんに聞く。
「...フェイトさんは知っていると思いますが、今日、そのカタストロフに襲われた方達です。」
「なっ....!?」
リンディさんの答えに驚く織崎。...想像が付くと思うんだがな。
「あー、志導優輝だ。で、こっちが妹の...。」
「志導緋雪です。」
「あ、私は神咲那美です。こっちは久遠。」
「くぅ。」
「...かやのひめよ。」
それぞれ自己紹介をする。...久遠は人見知りなのか神咲さんの後ろに隠れたけど。
「彼らだけ自己紹介もあれだから、皆も自己紹介しましょう?」
「あ、はい。」
リンディさんの言葉に、ここにいる面子がそれぞれ自己紹介をしていく。
...まぁ、ここにいるのは原作三人娘にヴォルケンリッター、ユーノ・スクライアにアルフ、原作では死んでいたアリシア・テスタロッサとプレシア・テスタロッサさん、リニスさん、リインフォースさん。それと転生者の織崎と天使と王牙で、僕は知っているので自己紹介は省いておく。
...リニスさんが司さんの使い魔になってた事には少しだけ驚いたけど。
「さて、自己紹介も終わった所で、カタストロフについて話しておきます。」
自己紹介が終わったので、リンディさんが本題に入る。
「“カタストロフ”に所属している魔導師のランクは軒並みA~AAA-ランクとかなりの高ランクです。中でも、リーダーである“クルーアル・カタストロフ”はSS-ランクです。」
「『管理局の魔導師は大体がC~Aランクって言えば、どれくらいか分かるよね?』」
「『え、あ、うん。大体はね。』」
司さんが念話で補足してくれる。ありがたい。
「あの...それほどの次元犯罪者がなんで今まで放置されてたんですか?」
「...正確には、放置していたというよりは捕まえられなかったというのが正しいです。“カタストロフ”は優秀な魔導師が揃っているだけでなく、連携も上手く、管理局が大量の戦力を投入しても、逃げられるほどですから。」
緋雪のあの弾幕から逃げたのもそれか...。優秀なバックアップもいるんだろうな。
「此度狙われたロストロギアは“フュージョンシード”。遺跡で発掘したばかりなので、名称以外は分かっていません。」
「そして、そのロストロギアは今、なぜか彼女の持っている勾玉と融合してしまっている。」
皆の視線がかやのひめさんの勾玉に集まる。
「今回、彼女達が狙われたのも、フュージョンシードが彼女の勾玉と融合したからです。」
「この場に集まる理由となった昨日の魔力反応を覚えてるか?」
「『私達がアースラに集まっているのは、昨日の魔力反応が理由なの。』」
「『なるほど...。』」
どうやら、昨日の薔薇姫さんの戦いをこっちで感知していたらしい。
「昨日の時点で、彼女は一度カタストロフに襲われた。その時は彼女の友人が身を挺して時間稼ぎをして庇ったそうだが...。その名残がこの回収した刃先だ。」
クロノさんがレイピアの刃先をテーブルに置く。
「かやのひめさんはその後も逃げ続け、今日の魔力反応があった場所...確か八束神社だったか?そこへ辿り着いた。そして、彼らも神社に来た時に、再度カタストロフに襲われたと言う訳だ。」
「もしかして...その友人は...。」
気づいてしまった様子で、八神さんは恐る恐る口にする。
「....最期まで、私の事を庇ってくれたわ...。」
「っ.....。」
かやのひめさんのその一言で、八神さんは察して俯く。
「聞き方が悪くなるんだが、どうして他の人は無事なんだ?」
「あぁ、それは...。」
織崎の質問に、クロノさんが僕に視線を向けてくる。...説明しろって事か。
「...最初は緋雪が他の三人を護衛、僕が奴らの相手をした。...当然、敵わないから途中から緋雪も援護に入ったんだけどね。...その結果が、人一人の犠牲だ...。」
〈それと、厳密には無事ではありません。マスターは無茶な動きを連発したため、脳と身体にダメージがあります。〉
「って、リヒト、ばらすなよ...。」
確かに体の節々が痛いし、頭痛も少しするけどさ...。
「っ、どうして言わなかったんだ!?とにかく、早く医務室に...!」
「それは大丈夫だ。特に支障はきたさないし、後遺症は残らないからな。」
クロノさんが医務室へ連れて行くように手配するのを止める。
「それに、うちのリヒトは優秀だ。こうやって話している間にも、治癒は進んでいる。」
〈ええ。まだ短い付き合いですが、無茶をするのをやめないというのを理解するくらいには優秀だと自負しております。〉
「ぐっ...耳が痛い...。」
確かに無茶ばっかしているけどさ...!
「...以前から魔法を使っていたのか...?」
「あれ?知ってるんじゃないのか?以前、そいつに襲われたのを。」
僕は王牙を指してそう言う。
「まぁ、リヒトを持つようになったのは、それよりさらに前だけどな。」
...おや?王牙の様子が....?
「そういやてめぇ!よくもあんな卑怯な事しやがったな!!」
「....は?」
どうやら王牙の中では先日のあの戦いは卑怯な勝ち方になっているらしい。
「司を誑かして、あんな勝ち方しやがって!モブの癖に調子に乗ってるんじゃ―――」
―――ヒュン!
「―――えっ?」
王牙の顔の横を水色の矢のような物が通り過ぎる。
緋雪も魔力弾を放つ構えをしているけど、魔力光が違う。誰だ?
「...ちょっと、黙っててくれる?」
「か、かやのひめさん...?」
どうやら、さっきのはかやのひめさんがやったらしい。弓も構えているし、間違いない。
「あんた、ただでさえ嫌な性格が雰囲気に滲み出ているのに、さらに場を乱そうとしてるの、自覚してる?...いえ、自覚してるなら、もう少しマシなはずだったわね。」
「っ....。」
明らかにキレているかやのひめさんに、皆が少し引く。
「私は早く薔薇姫の仇を取りたいの。余計な話をするんじゃないわよ。」
「す、すまない、君の考えを考えずに...。」
頑張ってニコポ(無意味)をしようと笑いかける王牙。...その特典、正しい使い方をしないと機能しないんだけどな。
「いつの時代でもまともな人間は少ないわね。...はぁ。」
「かやのひめさん、人間なんてそんなもんだよ。」
腐った人間はいなくならない。一度根絶やしにしても、またどこからか湧いて出てくる。...そうじゃなかったら、ここまで人間は争い続けないだろう。
...と、話が逸れたな。
「...んん゛、話を戻します。皆に集まってもらったのは他でもありません。彼女のためにも、管理局としても、カタストロフを捕まえるのを手伝って欲しいのです。」
「別に手伝う事は構へんのやけど、どこにいるのか分かっとるんですか?」
リンディさんが無理矢理話を戻し、その言葉に八神さんが質問する。
「大体の見当はついています。そこを重点的に探すつもりです。」
「...あー、リンディさん?それについて、ちょっと渡しておきたい物が...。」
「何かしら?」
リヒトを机に置き、とある記録を取り出す。
「...奴らの...おそらくですけど、リーダーの魔力波長です。これを使えば、比較的容易に奴らを見つけられると思います。」
「これは...!?すぐに解析班に回したいのだけど、預かってもいいかしら?」
「何か記録媒体はありますか?それに直接転送します。」
「エイミィ!」
「はい!」
執務官補佐であるエイミィ・リミエッタが適当な記録媒体を用意したので、リヒトに任せて情報を転送しておく。
「...君のデバイスはデタラメだな...。」
「...自覚はしてます。」
AIなはずなのにやけに人間味があったり、武器形態が多くて無駄に高機能だったりと、デバイスの概要を聞いた時には本当に高性能すぎると思ったよ。
「では、カタストロフの居場所は解析班に任せるとして、簡易的な作戦を立てておきましょう。」
「簡易的な作戦...ですか?」
「はい。カタストロフは先程も言った通り、優秀な魔導師ばかりで厄介です。いくら魔力量で勝っていても、連携でやられてしまうでしょう。」
僕と戦ってた時は油断してたのか加減してたのか...どの道、本気ではなかっただろうな。
「リヒト、戦闘記録を映し出しておいて。できるだけ情報は多い方がいい。」
〈分かりました〉
「助かります。...カタストロフの明確な人数が分からない現状、生半可な戦力で行くのは危険すぎます。...手伝って、くれますか?」
リンディさんはそう言いつつ皆を見渡す。...どうやら、引き下がる奴は一人もいないみたいだな。
「作戦の要は、いかにしてクルーアル・カタストロフを他の者から引き離すか...でしょう。Sランク以上の魔導師がいるだけで、かなりの脅威ですから。」
「...引き離すのはともかく、そいつの相手は私がやるわ。」
かやのひめさんの言葉に他の人が驚く。
「...やはり、本気ですか?」
「嘘を言ったとでも思った?...分霊とはいえ、草の神を舐めないでちょうだい。」
「っ....!」
濃密な殺気のような圧力が放たれる。...とはいえ、身が竦む程ではなさそうだ。
「...まだ一割も回復していないんだから、今ので気圧されないでくれるかしら?」
「...今ので一割か...。...分かった。クルーアル・カタストロフはかやのひめさんに任せます。...ただし、ちゃんと回復してからが条件です。」
「分かってるわ。」
クロノさんの条件を飲み、まだ出ていた圧力を引込めるかやのひめさん。
なお、今の圧力で怯んだのは、場数を踏んできたであろうリンディさんとクロノさん、ヴォルケンリッター。それと、僕や緋雪、司さんや神咲さん、久遠以外の全員だった。...まぁ、怯んだだけで誰も竦んではいないけど。
「...リーダーを引き離すのは、僕と緋雪...あと一人で任せてください。」
「...理由を聞いておこうかしら?」
まぁ、ぽっと出の奴らが重要な役割を進んで出るんだからな。相応の理由がないとダメか。
「この中で敵の戦い方を最も理解しているのは誰ですか?」
「...なるほど。実際に戦ったあなた達なら、何とかできるかもしれない...と。」
「自信はないので、もう一人必要なんですけどね...。」
何故一人なのかは、二人以上だと僕らが連携を取りづらいからだ。
「...じゃあ、私が行くよ。優輝君と緋雪ちゃんの動きを知っているの、この中じゃ私だけだし。」
「...ありがと、司さん。」
僕としてもそれなりに知っている相手と協力したかったからな。魅了を喰らっている連中やその元凶とは組みたくないし、問題児な王牙とも組みたくない。...執務官であるクロノさんと組むって言う手もあるけど、クロノさん、優秀そうで単独の方が強いかもだし。
司さんが立候補してくれて助かった。
「では、優輝さん、緋雪さん、司さんがクルーアル・カタストロフを引き離した後、かやのひめさんはクルーアル本人を、他の人は残ったカタストロフの者を相手にするという事で。異論はありますか?」
...誰も異論はないようだ。王牙も、特に文句は言わない...か。
「...異論はありませんね。じゃあ、カタストロフのアジトが見つかるまで各自特訓するもよし、交友を深めるのもよし、よ。では解散。」
話は終わったので、一度かやのひめさんの下へと向かう。
「かやのひめさん。」
「何かしら?」
僕がかやのひめさんの所に向かったのは、ちょっとした懸念事項があったからだ。
「奴らの頭目と戦う事には反対しませんけど、武器...少し心許なくないですか?」
そう。かやのひめさんが持っている武器は木製の弓矢。あまりにも武器としては頼りない。
「...そうね。霊力があれば攻撃力はどうにかなるけど、耐久性はどうしようもないわね。矢はともかく、弓はどうにかしておきたいわ。」
「...じゃあ、僕が創りましょうか?」
僕のレアスキルなら創り出す事ができるはずだ。
「...助かるわ。ここの人間に用意してもらっても良かったけど、一番信頼できる貴方に作ってもらえるならそっちの方がいいわ。」
“つくる”のニュアンスが少し違う気が...。まぁ、いいか。
「それにしても、どうして僕をここまで信頼してくれるんですか?」
「いくつか理由はあるけど...根拠としては、その澄み切った霊力ね。それと、魂から滲み出る雰囲気。この二つよ。」
「霊力と...雰囲気?」
魂から滲み出ているって...。
「霊力の純度って言うのはね、人柄で変わるモノなのよ。その人物が如何に歪んでいないか、それで変わったりするの。雰囲気の方も同じよ。...まぁ、他にも信頼できる人はいるのだけれどね。」
そう言ってかやのひめさんは緋雪、神咲さん、久遠と流し見する。
「なるほど...。そう言うの、よくわかりますね。」
「これでも、草の神たる草祖草野姫の分霊よ。それぐらい、分からなくちゃ。」
「そういうものですか。」
神様の力って言うのはよくわからないけど、やっぱり格が違うのかな?
「...それはそれとして、少し気になる子がいるのよ。」
「気になる子...?」
「ほら、彼女。...確か、聖奈司とか言ったっけ?」
司さんが?一体、どういう事だろう?
「雰囲気も貴方と同じぐらいに澄んでいるはずなのに、どこか歪なの。何か、嫌な過去でも持っているかのような。...多分、何かしらの理由があるのだろうけど...。」
「歪...か...。」
男から女に転生したからか?いや、違うか...。
「...それと、優輝、敬語はいらないわよ。」
「え?でも....。」
草の神だしなぁ...。それに見た目はともかく年上だし...。
「敬語はむず痒くなるのよ。普通でいいわ。」
「...そう?なら、普通に喋るけど...。」
契約をしたからか、何かと距離感が近くなった気がする。...気のせいだろけど。
「お兄ちゃん、かやのひめさんと随分仲良くなったね。」
「うぇっ?そんな事ないと思うけどなぁ...。」
「...私から見ても仲良く見えるんだけど。」
司さんにもそう言われる。...やっぱり契約したからか?
「...っと、そうだ。できれば、君達の実力を知りたいんだが...いいか?」
「実力...ですか?」
クロノさんに呼び止められる。
「ああ。さっきの戦闘映像だけでは少し情報不足でな...。実際に模擬戦をして実力を確かめたい。」
「...分かりました。」
経験を積んでおきたいし、むしろ望む所だな。
「君と、君の妹と、そして彼女の一人ずつで戦ってもらいたい。相手はこちらで用意する。」
「分かりました。ただ、かやのひめさんは魔力じゃなくて霊力を扱うんですけど、そこは...?」
「...そういえばそうだったな...。まぁ、本人に聞いてくれ。」
一番知ってるのはかやのひめさん自身だからな。妥当か。
「かやのひめさん。」
「...あら、今度は何かしら?」
目を瞑り、瞑想でもしていたらしいかやのひめさんに再度声を掛ける。
「クロノさんが、模擬戦をして実力を見ておきたいだって。」
「模擬戦...まだ、回復しきってないのだけれど...まぁ、いいわ。やってあげるわ。」
「大丈夫なの?...まぁ、クロノさんに伝えておくよ。」
とりあえずクロノさんにかやのひめさんもやるという事を伝えておく。
「(カタストロフが見つかるまで猶予はある。その間にできるだけ強くなるか...。)」
...ふと、そこである事を思いだす。
「『...ねぇ、リヒト。』」
〈『なんでしょうか?』〉
今の僕は弱い。火力不足だし、魔力も少ない。なら、それを補うには―――
「『この前言っていたアレなんだけどさ―――』」
後書き
今回はここまでです。(中途半端が定着してきた気が...。)
ちょっとした設定↓
カタストロフ…管理局でも有名な犯罪グループ。積極的に犯罪は起こさないが、SS-ランクやAランク以上の魔導師が複数いるため、中々捕まえる事ができない。
ブチギレかやちゃ怖い...( ゚д゚)
書いている時、作者自身「怖っ」って思ってしまいました。(ツンデレが書きたいのに何でこうなったし)
まぁ、薔薇姫が殺された事と、鬱状態になってないとはいえ、精神に余裕がないのでこうなったんですけどね...。おかげでツンデレの面影が消えている...。
優輝が久遠に対して戦闘に向かないと言っていますが、大人形態ならば“カタストロフ”を全滅させれます。(命もろとも)
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