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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十四話 夜の出来事その十五

「恐ることもないのだ」
「わかりました、吸血鬼にも」
「どんな相手か知り備えを置いておくのだ」
「じゃあ井上さんは吸血鬼に」
「部屋の中にいつも十字架とお守りと塩がある」
 その三つがというのだ。
「備えてある」
「三つ共ですか」
「塩はあらゆる妖怪に効くしな」
「だからお塩もですか」
「置いてある、あと塩でだ」
「そのお塩で」
「飲むこともある」
 話がここでそうしたものになった。
「大好きだ」
「お塩でお酒を飲む為にも」
「いつも持っている」
「十字架、お守りと一緒に」
「そうしている。お守りは八条神社のものとだ」
 それにだった。
「住吉大社、それと伊勢神宮に出雲大社に靖国神社だ」
「靖国のもあるんですか」
「靖国神社のものはいい」
 そのお守りもというのだ。
「加護が違う」
「靖国のはですか」
「一部の人間は忌み嫌うがな」
 ある新聞が政治家の靖国参拝を急に問題だと言い出してからだ、靖国神社の性質を考えれば後でどんな祟りがあっても怖くない所業だ。実際にその新聞は最近これまでの捏造報道が祟って発行部数がどんどん落ちているらしい。
「私は大事にしている」
「靖国のお守りも」
「そうしている」
「そうですか」
「加護はある」
 靖国の英霊達のものもというのだ。
「それもな」
「色々あるんですね」
「そうだ、ではだ」
 ここまで話してだ、井上さんは僕にあらためて言って来た。
 そしてだ、こうも言ったのだった。
「では私は今から学校に行くが」
「部活で」
「君もだな」
「はい、僕も部活で」
「私は実はもう部活は引退するのだが」
 三年生だからだ、それでだ。
「まだ少し出るのだ」
「それで、ですか」
「登校する。それでだが」
 井上さんは僕の目をじっと見てこうも言って来た。
「どうだ」
「どうだっていいますと」
「だから一緒に登校するか」
 こう僕に問うてきた。
「そうするか」
「ええ、じゃあ」
 それならとだ、僕も頷いてだった。
 そして二人で行こうとした、だがここでモンセラさんも言って来た。
「私もね」
「一緒でなんだ」
「行きたいけれど」
 こう僕に言って来た、井上さんにも。
「いい?」
「うん、僕はね」
「私もいい」 
 僕だけでなく井上さんも応えた。
「それじゃあね」
「三人で行くか」
「じゃあ吸血鬼の話しながら行こうね」
「モンセラさんって吸血鬼好きだね」
「この目で見たからね」
 それだけにというのだ。
「怖かったけれどね」
「その時何もなくてよかったね」
「ええ、じゃあ三人でね」
 登校して、ということになった。こうして僕はこの日は井上さん、そしてモンセラさんと三人で登校することになった。そのうえでのことだった。


第五十四話   完


                   2015・8・1 
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