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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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Another35 欠陥

 
前書き
リディプスの正体。 

 
トリプルチャージを喰らったリディプスは膝をついていた。
最後の一撃であったチャージブレードもリディプスは咄嗟に回避したが、回避しきれず、いくらか喰らってしまった。

エックス「………」

アリア「ハイパーサードアーマーのダブルヴァリアブルエアダッシュからのチャージブレードをかわすなんて……流石は極東司令部の司令官…」

アイリス「でも、あのダメージなら……」

ゼロ「もう戦えないだろう」

リディプスは膝をつき、斬り裂かれた胸を押さえながら、身体中から火花を散らしていた。
そのボロボロの姿はゼロから見てもほぼ戦闘不能に思えた。

ルナ「くそったれ!!俺達は本当に何のために…イプシロンやリベリオンと戦ってきたんだ…一体何のために!!あんな辛い戦いを乗り越えてきたんだ!!!!」

やり切れない怒りを抱えながらリディプスに近寄り、バレットを向ける。

リディプス「先程も言ったが、全て私のためさ、イレギュラーハンターとレジスタンスの諸君。新しい…神のため…!!」

痛みに喘ぎながらも嘲笑を浮かべるリディプスにバレットを握る手に力が入る。

ルナ「畜生…っ!!こんな…こんな奴のために…スパイダーやセントラルタワーにいた市民のみんなは…!!」

神になるなどというふざけた野望のために、ギガンティスのレプリロイド達を裏切ったイレギュラー。
しかし、リディプスを処分しても失った仲間やセントラルタワーにいた市民が戻ってくるわけではない。

リディプス「ククク…ハハハハハ…ハァーッハッハッハッハッハッハッ…!!」

不意にリディプスは声を上げて笑い始めた。

ルナ「てめえ…何がおかしい!?」

鋭くリディプスを睨み据えるルナだが、リディプスは嘲笑を浮かべながら口を開いた。

リディプス「スパイダーか!!」

突然、リディプスの身体から青白い光が溢れ出した。
ルナは見慣れた光に目を見開いた。

ルナ「この光…それに…お前は…!?」

「スパイダーというのは、俺のことかいお嬢さん?」

スパイダーとなったリディプスは気障な口調でルナに言った。
悪戯っぽい笑顔も何もかも同じであった。

アイリス「ま、まさか…」

「その通り、正真正銘の“俺"さ!!」

カードスリットからカードボムを1枚抜き取り、ルナに向けて投擲した。

ルナ「うわあああああ!!!!」

まともに喰らってしまったルナは、勢いよく吹き飛ばされるが、ゼロが受け止めてくれた。

言葉を失い、その場に立ち尽くすエックス達の目の前で、スパイダーは再びリディプスの姿に変化した。

リディプス「全く、お前達の友情ごっこに付き合うのは反吐が出そうだったが…。我が目的のため、超フォースメタルのためだ!!」

アリア「その能力はアクセル君とルナちゃんと同じ…あんたも新世代型だったの!?」

アリアがバスターを構えながら言うとリディプスは嘲笑を浮かべる。

リディプス「お前らマヌケにはわからんと思うが、このコピー能力を超フォースメタルで強化すると、私は最高の存在に…。何者も達し得ない頂点に昇ることが出来るのだ!!」

その言葉を聞いたエックス達の間に戦慄が走った。
超フォースメタルと新世代型レプリロイドのコピー能力。
現在の脅威と100年前の脅威が1つになろうとしている。
しかし、ゼロはすぐさま冷静さを取り戻し、リディプスを睨み据えた。

ゼロ「リディプス…スパイダーは…オリジナルのスパイダーはどうした?返答次第では許さんぞ…」

リディプス「スパイダーか…奴には随分と助けられたな。かつて私はギガンティスのラグラノ研究所にいたことがあってな。そこで用心棒として雇われていた奴はラグラノ研究所で行われていたフォースメタルの研究とコピーチップの再開発の記録が入ったマスターチップを奴の仲間と共に盗んで逃げたのだが…」

リディプスの嘲笑が深くなる。
その嘲笑はオリジナルのスパイダーに向けられているのだろう。

ゼロ「……………」

リディプス「スパイダーは自分を庇って損傷した仲間を庇いながら私と戦い、死んだよ。アッサリとな、足手まといの仲間を見捨てて逃げれば生き延びられたものを、救いようのない馬鹿とは正に奴のことを言うのだろうな。ハァーッハッハッハッハッハッハッ…」

ゼロ「貴様…っ!!」

恐らく損傷した仲間と言うのはエールのことだろう。
仲間を思いやるスパイダーの心を踏みにじるリディプスにゼロは拳を握り締めた。

リディプス「とまあ、オリジナルのスパイダーなど最初からどこにもいなかったのだよ。仲間と信念を重んじる性格である賞金稼ぎのスパイダーの愚かな姿は正にお前達をコントロールするのにうってつけの存在だったのだよ」

シナモン「嘘です」

リディプス「む?」

アイリス「シナモン…?」

全員の視線がシナモンに集中した。

シナモン「私の知っているあのスパイダーさんは時々怖い時もあったけど、凄く優しい目をしていました」

リディプス「馬鹿な小娘だ。先程の話を聞いていたのか?」

シナモン「聞いてました。でもあなたが本当にスパイダーさんに変身していたならどうしてレジスタンスのみんなを勇気づけてたんですか?」

その言葉にハッとなるのはマッシモだった。

マッシモ「確かに、スパイダーは基本的に俺達と一緒のミッションだ。エックス達や俺達はともかく、他のレジスタンスメンバーにまで気をかける必要はない」

アクセル「確か、僕もエアシティに行った時、困っていた市民を助けていた。超フォースメタルを狙っていたあんたからすればする必要もないことだよね?」

リディプス「っ……」

マッシモ、アクセルの言葉にリディプスは不愉快そうに表情を歪めた。

アクセル「シナモン、スパイダーの変化はどれくらいの頻度だった?」

シナモン「えっと……あまり変わることはなかったです。本当に時々で……」

アクセル「成る程、リディプス大佐。僕はあんたのもう1つの正体に気付いたよ。あんた、僕とルナと同じ新世代型レプリロイドのプロトタイプでしょ?しかも変身すると人格までコピー元に上書きされる欠陥持ち」

ルイン「え!?」

リディプス「き、貴様…!!」

全員が目を見開いてリディプスを見つめる。
リディプスの表情が屈辱で歪んだ。

マリノ「どういうことだい?」

アクセル「前にマリノさんにも説明したよね?新世代型レプリロイドのプロトタイプには変身するとコピー元の人格に上書きされる奴がいるって、正にそれがリディプス大佐なんだよ。それならシナモンやマッシモが言っていた事とか、僕が見たものに対しての説明がつくんだよ。シナモンの言う通りなら時々はリディプス大佐の人格が浮上していたんだろうけど…」

マッシモ「えっと、それはつまり?」

アクセル「ようするに、僕達といたスパイダーは殆どリディプス大佐じゃなくてオリジナルのスパイダーの人格だったんだよ。リディプス大佐はリディプス大佐の人格が浮上した時くらいしか介入はしていない。」

アイリス「成る程、じゃあスパイダーとしては嘘ではなかったのね……」

アクセル「そういうこと」

エックス「スパイダーは…俺達を裏切ってはいなかった……リディプス!!!!」

視線をリディプスに遣ると、同時にエックスはバスターをリディプスに向けた。

エックス「俺はお前を許さない!!スパイダー達の仇を今ここで!!クロスチャージショット!!!!」

リディプス「チッ!!出でよレッドホイール!!!!」

咄嗟にレッドホイールを召喚し、クロスチャージショットの盾にするリディプス。
そしてこの場に大量のレッドホイールを召喚すると転送システムの方に駆けていく。

リディプス「いくら貴様らが足掻いたところで無駄だ!!全て…、全てが無駄に終わるのだよ!!」

転送システムに乗り込むと、リディプスの姿が消えた。
エックス達はしばらくの間、レッドホイールの相手をすることになるのだった。 
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