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Persona-炎

作者:おかき餅
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学園編
  0時を過ぎた街

 
前書き
ペルソナ3を意識して書きます。テレッテッテー。尚、ペルソナ3と同じ場所、舞台を基にして書きますが、元のゲームのキャラクターは余り出てこないのでご理解いただきますと嬉しいでーす。 

 
自分の体が燃える夢をよく見る。
場所は家。時間は夜。満月が綺麗な夜に僕の家は燃えていた。
火事になって燃える夢。家族も家も全てが灰になってゆく。
苦し紛れに窓に向かって手を伸ばす。燃え盛る炎の向こうで怪しく満月が光って見える。

一瞬、蝶々が見えた。黒と白の蝶。まるで喪服を着ているみたいにヒラヒラ舞っていて、それで僕はいつも、それを掴もうとして。




奈落に落ちるように目が覚めた。




4/6 11:57
>新都市交通 あねはづる車内•••

『本日は、ポイント故障のため、お急ぎのお客様には大変ご迷惑をおかけしました。次は巌戸台〜•••』
二回繰り返されたアナウンスを聞いてようやく夢から覚めた。
まるで奈落に落ちるような感覚だった。荒い呼吸をして嫌な汗をかいている自分のことを周りの乗客はどんな目で見ているのだろう?。乗客なんてまともにいないのに。僕は人の目を一番気にするのだ。そんな臆病な自分が堪らなく嫌になる。

ケータイの電源を入れて時刻を確認した。電車の遅延でとっくに待ち合わせの時刻を過ぎてしまった。寮の方には連絡を入れたが、待ち合わせの時刻に間に合わないせいで僕はまたお腹が痛くなった。
気を紛らわせようとイヤホンを耳につけ、音楽を聴くことにした。音漏れをしないようにボリュームを下げ、ドビュッシーの「月の光」を流す。J-POPよりもクラシックが好きなのだ、僕は。

「巌戸台〜、巌戸台です。」

曲を流して1分もしないうちにアナウンスが流れる。
電車が止まり、扉が開く。
駅のホームに出るとまだ電車に乗っていた少ない乗客が足を重々しく帰路につけるのが見えた。酔っ払ったサラリーマン、ケータイを弄っている女子高生、イヤホンをしている青年、OL、等。

僕も早く巌戸台の寮に着きたいので足を速める。
人のいないホームを早歩きで過ぎて改札口を抜けた。
ケータイの電源を入れる、時間はまもなく12時になろうとしていた。

3


2


1



0:00


12時になり日付が変わった瞬間、突然ケータイの電源が切れた。
••••••ケータイの電源が切れたのだろうか?
ふと辺りを見回す。切符売り場の券売機も全て画面が真っ暗になっており、駅内の照明も全て消えている。

周囲の気配がどこかおかしい気がする•••


••••••。
ともかく寮に急ごう。



>駅からの道

人気のない街に、棺のようなオブジェが並んでいる。
やはり街も駅の中のように電気が消えていた。信号も街路灯もついていない。

ふと空を見上げた。

>不気味なほど巨大な月だ。






カツ、カツ、カツ

>月光館学園巌戸台分寮•••
ここが、入学案内に書かれていた寮だ。
洋風な雰囲気で一言で言うなら、貴族の屋敷のような寮だ。

•••••バタンッ。

扉を開けて、中に入るとそこには。
およそ、ここの住人とは思えない雰囲気を持つ、見知らぬ少年が立っていた。

「ようこそ。」
見知らぬ少年の声がフロントに響く。
黒い髪に青い瞳の。頬にホクロがある、白黒の縞模様のパジャマを着た少年。

少年は微笑みながら、話した。
「遅かったね。長い間、君を待っていたよ。」

そう言って戸惑っている僕に、1枚の紙を差し出す。
「この先に進むなら、ここに署名をして。一応、"契約"だからね。」

「怖がらなくていいよ。ここからは君の決めたことに責任を取ってもらうってだけだから。」

内心、強い不安と恐怖感を、感じている僕に少年は語りかける。
>差し出されたカードにメッセージが書かれている。


ー我、自ら選び取りし、いかなる結末も受け入れんー

>そして、署名の欄がある••••••

僕は、自分の名字と名前を丁寧に書いて、少年に差し出す。

「確かに。」
受け取ったカードをどこかにしまい、少年は続けて話した。
「時は、誰にでも結末を運んでくるよ。たとえ、耳と目を塞いでいてもね。」

さぁ、始まるよ••••••



>見知らぬ少年は、闇に溶けるように消えてしまった••••••




「誰!?」


>いつの間にか、後ろに見知らぬ少女が立っていた。
先程の少年とは違い彼女の容姿は高校生くらいだろうか?澄んだような黒い瞳、黒い髪は肩までかかりそうなボブヘアー。パジャマなどは着ておらず、着ていたのは学校の制服だった。

「この時間に、どうして••••••!?」

気が動転しているのか、彼女はかなり警戒しているようだった。確かに、門限はとっくに過ぎているだろうし、この時間からの来訪者は少ないと思うけれど、しかし、遅れるという連絡はしておいたはずなのに。

「まさか••••••」

>少女は銃のような物を手にしている。
?!
護身用!?だとしても銃刀法違反だろ!
まずい、もしあれが本物ならば、撃たれれば••••••。
僕は固唾を呑んで彼女を落ち着かせる言葉を探す。
何か声を掛けなければ••••••

「お、落ち着いてください!」

>だが、その一言で何か変わる訳でもなく、彼女の誤解は解けていないままだった。
「うるさいっ!!あなたは、わたしが•••••っ!」

>まずいこのままでは••••••!

「待て!」

目を瞑り、もうダメと息を止めた瞬間聞こえてきたのは銃声ではなく、黒髪の少女とは違う女性の声だった。
目を開けるとそこにはもう一人、学生服を着た、青色のミディアムヘアの女性が立っていた。女性と称したのは先に出ていた少女よりもいささか大人びていたからだ。

彼女が登場すると同時に、寮の明かりも付き始めた。まるで何事もなかったように、時計の針が動いている。

「明かりが••••••」


>明かりが点くと同時に緊張感がほぐれる。



「到着が遅れたようね。私は桐条瑞樹。この寮に住んでいるわ。」

「よ、よろしくお願いします。」
「うん、よろしく。」

淡々と自己紹介を済ます桐条さん。その横でさっきの銃を構えていた少女が不審そうに質問する。

「誰ですか?」
「彼は"新入生"よ。「葛葉 晃」君。ここへの入寮が急に決まってね。いずれ、一般寮への割り当てが正式にされるでしょう。」

そう話す桐条さんの回答にまだ不審そうな表情を浮かべている少女。

「••••••いいんですか?」

「さぁね••••••」


僕がいると何か嫌なことでもあるのだろうか?可愛い女の子にそう言う表情をされると傷つく。誰でもそうだが。

「彼女は高槻 花音。春から1年生だから君と同じだな。もっとも彼女は初等科からこの学校に通っているから君よりもずっと先輩だがな。」

「高槻です••••••」

「ど、どうも。葛葉です。」

彼女には色々疑問があるが••••••

「さっきの銃は?」
「え?」
高槻さんがフリーズした。やはり聞かれてはまずかったのか?

「あ、あれは何というか話すと長くなるんだけど。••••••趣味?」
「疑問系の時点で違うでしょうが。」
僕にツッコミを、入れられてさらに困る高槻さん。

「世の中色々と物騒だからね。護身用として、私が持たせてるの。」
>隣で桐条さんが高槻さんの銃の引き金を引く
「もちろん、弾が出るわけじゃないから。」

隣で桐条さんが言った。弾は出ないのか•••それはよかった•••よかったのか?

「今日はもう遅いわ。部屋は3階に用意してるから。多分荷物も届いてあるはずだし、すぐに休むといいわ。」
「じゃあ、案内するから、付いてきてください。」


>時計の針はもうすでに一時を過ぎていた。早く部屋に連れて行ってもらおう。




>寮の3階廊下、一番奥の部屋•••

「この部屋だね。一番奥だから、覚えやすいでしょ?」

確かにここなら部屋を間違えることもなさそうだ。

「えっと•••何か聞きたいことある?」

「いや、もう特にないけど••••••そういや、子供も寮生なの?」
僕は高槻さんにここに来た時にあったことを話した。署名の事と見知らぬ少年のこと。

「誰のこと•••?ちょっとやだなぁ、そういうの•••」

>高槻さんは何も知らないみたいだ。
だとしたらあの子は一体•••。署名も一体何のために•••?

「あのさ、少し聞きたいんだけど•••」

>高槻さんは少し意味深な表情をしている。
「駅からここまでくる間、ずっと平気だったの?」

「どういうこと?何か、仕掛けてあったとか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど•••平気ならいいんだ。ごめんね、気にしないで。」
何だろう、何か気になる口ぶりだったけど。何か誤魔化された気分がする。けどこれ以上聞くのも野暮のような気がするし。


「じゃあ私は行くね?」

これ以上何か聞いてもいいことはない。知らぬが仏だ。僕は彼女に何も聞かずに見送ることにした。
「あ、うん。••••••気を付けて?」
「フフッ。なんで疑問系なのよ?おやすみなさいでいいでしょ?」
「うん。おやすみなさい••••••」

「あ、後さ。さっきはごめんなさい。銃なんか突き出して••••••怖かったよね?」
>申し訳なさそうに高槻さんは頭を下げた。
「い、いや別にもう平気だから••••••そりゃ怖かったけど•••せ、正当防衛だと思うよ?」
「それでも、怖い思いさせちゃったから•••ごめん。」

「まだ、色々とわからないことあるだろうけど、それはまた今度ね•••」

「おやすみ」

高槻さんはそう言うと僕に手を振りながら去っていった。姿が見えなくなると階段を降りる音がした

>もう夜も遅い、部屋に入って寝よう。
僕は扉を開けて自分の部屋に入っていった。


>自室


>今日はもう疲れた•••

>早く寝よう•••



自分の体が燃える夢をまた見た。
場所は屋上。時間は夜。満月が綺麗な夜に僕の体は燃えていた。
火事になって燃える夢。だけども今度は自分の意思で燃えていた。
月にに向かって手を伸ばす。燃え盛る炎が満月を包み込んでいく。

一瞬、蝶々が見えた。黒と白の蝶。まるで喪服を着ているみたいにヒラヒラ舞っていて、それで僕はいつも、それを掴もうとして。


奈落に落ちるように目が覚めた。



















 
 

 
後書き
ペルソナ3番外編です。如何でしたでしょうか?と言ってもまだ、プロローグなので如何もクソもないかと思いますが。
今回はペルソナ3の二次創作ということなのですが、全くP3のキャラは出てこないことでしょう。ですが、原作のキャラをモチーフにしたオリキャラが出てきますので、そちらの方を楽しんでいただいたら幸いです。
今回も出てきたでしょ?桐条瑞樹とか高槻花音とか。
それぞれがどのキャラの代わりになっているか、これからどういったキャラが出てくるのか?お楽しみに。
さて、次回は学園編ということで、まだまだ出ますよ!新キャラが!!
あのキャラが!あのキャラが!あのブリリアントが…あのキャベツが!あのヒトラーが!!!

ぜひ次回をお待ちください。 
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