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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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吸血鬼退場

「ガハッ」

ガラッと瓦礫が崩れ落ち、山積みになった瓦礫の下からブラドが這い出る。
火薬庫は爆発し、周囲一体を跡形もなく破壊した場の間近くにいた筈のブラドは、特に傷を負わないまま、否。
傷を負ってもなお生きていた。

「っ………!」

咄嗟に周囲を警戒し、ユウジが居ないことを確認する。
周囲にそれらしき影が見当たらないことを確認したブラドは安堵のため息をついた後、盛大に笑い出した。

「グゥゥアバババハハハ!!人間はやはり脆い!」

「確かに脆いよな。人間って」

「っ!?」

不意に後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
ブラドは恐る恐る振り替えれば、そこには全くの無傷で立ち、ブラドを直視しているユウジがいた。

「ただし、一般的な…ってのが付くんだけどな」

ユウジはふっと遠い目をして言うのだった。






「何故…あの爆発で……」

俺を見た熊モドキが驚愕している。
実際あの程度の爆発で死んでいるのなら、俺は何千年も前に死んでいたはずだからな。

「わははは!あの爆発でよく生きてられたよなぁ、熊モドキ。
まぁあの程度じゃあ死なないってこった」

「グゥバババ…そぉか。
テメエもバケモンだったのか。納得だぜ」

「おいおい、お前と同じにするなよ。
つーか峰に聞かされてんだよ。お前は野放しにしとくと面倒だ、ってな」

「4世が何を言ったか知らねぇが、不死身であるこの俺を殺せるわけがねぇだろ!」

「なら試してみようぜ?今からお前を殺して殺して殺しまくる。
復活しようものなら即座に切り刻む」

俺は懐から一振りの刀を取り出す。
毎度お馴染みの四次元の引き出しから取り出したそれは、特に変鉄もないただの刀である。

「さて……お前は何回殺せば死ぬのかな?」

「ほざけぇ!」

















一方その頃。

「ぷはっ!し、死ぬかと思った…」

火薬庫付近の海上に顔を出したジャンヌ。
実は作戦結構のため、火薬庫に近づいた途端に大爆発したため、吹き飛びながら遊泳するはめになったのだ。

「あ、みっけ」

「っ!?」

そんなジャンヌを探していたのか、一人の少年が岸辺に立っていた。

「何者だ、貴様」

「ん?僕は葵 蒼也。君を捕まえに来た」

こうしてジャンヌと蒼也。二人が対峙することになるのだが、それはまた別の話である。












「は~い123201回目~」

「ガ………バ………」

あれからかなりの回数の死を体験したブラドだが、細切れにしても死なずに再生をして復活を果す。
その直後にまた切り刻みまた復活というループを123201回繰り返したのだが、ブラドは死ねないために何度も死ぬ苦しみを受け続けた。

「なかなか死なないなぁ~(下素顔)」

「バケ……モノ…がぁっ!?」

「はい123202回目。いい加減飽きてきたんだけど」

ジュウジュウと音をたてて再生するブラド。
俺は刀を肩にかついでそう言った。

殺しに殺されまくったブラドは地面に這いつくばり、その周りに血液が飛び散り、海と化していた。
ブラドは恐怖していた。
嘗て無いほどに惨殺され、味わったことのない力を見せつけられ、シャーロックさえやらないであろう加減なき暴力。
そのどれもが一般的な人間よりも生きてきたブラドにとって初めての体験となっていた。

「ほれほれ、もう諦めてお縄につくか?」

「誰……がっ!?」

「はぁ…そろそろ飽きてきたんだけど。
いい加減拘束して引き渡しにでも行こうかね?」

ブラドは考える。
この男は普通じゃない。ならば一体何なのか。
今まで自分を討伐しに来たものたちは、何かしらの武器を携えてやって来た。
そう言ったものたちは決まって身体能力に補正をかけるような魔術や技法を用いていた。
ならばこの男にもそれがあるはずだ。そうとしか考えられない。

「ビヤァァァァァァァァァァァァアッ!!!」

ブラドは吠える。
全ての補正を消すことの出来る咆哮。
これで勝った。そう思ったブラドは

「うるせぇよ」

呆気もなく首を落とされていた。








その頃、武偵高教員と集められた数人の生徒がブリーフィングを行っていた。

「ええか!ついさっき火薬庫で爆発が起きた!
原因は分からんが確実に引火が要因となっとる!
誰がやったか、何でやったかをきっちりシメて聞いてこい!
逃げようもんならボコボコにして聞き出せ!ええな!」

「「「了解!」」」

随分と物騒なことを言う教師である。
とは言え、現場へと向かう生徒には同情せざるを得ない。
何故ならその現場こそ、ユウジが絶賛殺生中の場所なのだから。 
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