ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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敗者の剣(つるぎ) 中編
前書き
…………結局前編中編後編分けるしかなかったーーーー!!!どんだけ要領が悪いのやら……いや、仕方ない。仕方ないのかな?………まあ仕方ないですね。というわけで、結局分けてしまいましたが、どうか暖かい目で見てください………。
「よし!ヒロヤ君も復活したことだし、今日も張り切っていこう! 」
「「「「「おおーーー!! 」」」」」
俺は一旦家に帰って着替え等を済まし、すぐにいちば模型店に向かった。え?汗臭いないかって?シャワーは昨日の試合帰りに済ませました。
「そんじゃ始めるか。覚悟は出来てるなサオトメ? 」
「残念ながら、勝つ気しかないな」
「ふん。上等だ」
俺達はすぐに特訓を開始し、今までと同じく個人の訓練となった。
「………よし! 」
自分の両頬を叩き、コンソールに手を置く。………自分自身に打ち克つ。それは真っ正面から受け止め、克服すること。諦めず立ち上がることなんだ。ならやれるはずだ。今までもそうだったように、きっと。
「いくッスよ! 」
「容赦はしないぞ! 」
ネオ・ジオングとサイコガンダムから一斉にメガ粒子砲が放たれたが、あえてその攻撃に突っ込んむ。GNソードV二刀で防げる範囲で防ぎ、アンリミデットストライクへと接近する。
「せめて二撃目は防げるようになったよな? 」
アンリミデットストライクは左腕のABCマントを解放し、スラッシュエッジⅡを左手で掴んで頭上に構えた。
スラッシュエッジⅡの間合いに入るとアンリミデットストライクは水平に一閃してきた。
「はあああぁぁぁぁぁぁっ! 」
GNソードV二刀で、スラッシュエッジⅡに向けて斬り下ろす。いつもと変わらないかのように見えたが、ただ一点、違うところがあった。
「本当にやりやがったなおい……」
GNソードVの刀身には青色の粒子が纏い、大きく後退りはするものをスラッシュエッジⅡの攻撃を受け止めていた。
「セーズ・アインス! 」
スラッシュエッジⅡからGNソードVを引き離してすぐに反撃する。
水平に四撃。その後二刀で上から斬り込み、下からも攻撃をし、横に一回転しながら斬り込む。二刀を逆手に持ち、横から同時に二撃。逆手から持ち変え、また四撃加える。
「ちっ!シライ!ニシヤマ! 」
「了解ッス! 」
「上手く避けろよ」
アンリミデットストライクはスラッシュエッジⅡを盾代わりに攻撃を受け、その隙にネオ・ジオングとサイコガンダムが有線式大型ファンネル・ビットと指部ビーム砲で攻撃してきた。
「くっ! 」
最後の二撃を放つのを止め、アンリミデットストライクは左側に。ガンダムエクシアホープは後退してメガ粒子砲と指部ビーム砲の直撃を回避する。
地面に直撃し爆風が起こるなか、爆風からアンリミデットストライクがスラッシュエッジⅡを構えて接近してきていた。
「もう一度防げたらまぐれじゃないだろ! 」
スラッシュエッジⅡを斜めに斬り下ろす。こちらもさっきと同じく受けようとするも、アンリミデットストライクに隙が出来ているのに気づく。ユウとの試合で鍛え抜かれた動体視力、そのおかげで気づけた小さな隙。
だが、アンリミデットストライクの超高速剣撃の中突っ込むのは 些いささか無謀だろう。
「アサルト……」
しかし、そんなことはお構い無しにGNソードVを右肩に掛けて構える。スラッシュエッジⅡがガンダムエクシアホープを捉えた瞬間に、GNソードVをアンリミデットストライクに向けて突進しながら突き出した。
「おいおい。受けるどころか反撃までするか普通? 」
「知らん。とりあえず、これで終わりだろ? 」
スラッシュエッジⅡはガンダムエクシアホープの左隣に、GNソードVはアンリミデットストライクの左腰を貫いた。
ーーー--
「午前の部、終~~了~~! 」
「「飯だーーー!! 」」
「今作って来るわ。アマミヤさん、モチヅキさん。手伝ってちょうだい」
「わかりましたー」
「わかった……」
シノ、アマミヤ、モチヅキがエプロンを着けて、いちば模型店の奥に行って調理を開始する。その間、俺達は製作途中のガンプラを作っていく。
「てか、なんだよこの超細かい作業は? 」
「黙ってやりなよヒロヤ君。他の皆はそれぞれ担当のガンプラを製作。シノさんとミサキが抜けた今、作業出来るのは僕と君だけなんだから」
「そうだが、けどなんでわざわざクリアーパーツで肉抜き穴してんだよ? 」
「んー。まあちょっとね」
「肝心な所は説明しないよなお前」
トウイはそれから何も言わず肉抜き穴をクリアーパーツを用いて埋めていき、俺も黙ってひたすら肉抜き穴を埋めていった。そんなことをしている内に、シノ達が料理を持って戻ってきたので、作業を一時中断して飯にありつける。
「二パーツしか完成しなかった…」
「まあ丁寧に作り込まなきゃいけないからね」
「せや。ガンプラの性能はその完成度によって左右される。こんな当たり前のことも出来んのか? 」
「いや知ってるっつーの」
「しかし、こうしている間に被害者は増えてるんだ。いち早く完成させたいと思っても不思議じゃないな」
「ランさんもあちこちに飛び回って追いかけているそうですけど、やっぱり捕まえられてないらしいですよ」
「全国各地、どこに出没するのかも分からずじまいだ」
「ミサキちゃん!おかわり! 」
「ユウ……少しは空気を読んで…」
食事をしながらブレイカー……もとい、エイジの行方や被害情報を話し合う。俺達がやられてからは、エイジは堂々とフレユールガンダムの姿を晒しながら次々とガンプラを破壊していっているそうだ。しかも全国各地に。
「キハラ。お前何か手がかりとか掴んでねえのか? 」
「いえ、今のところは何も。正直、ここでガンプラバトルをしている最中に現れても不思議ではないですけどね」
「それは嫌ッスね…」
「ああ。まだガンプラも完成してないしな。また還付な気ままに敗北はしたくない」
「まあ俺のところには来なかったけどな」
「イチノセ。それは嫌味か? 」
「アハハハハ。まあとにかく、今は出来ることを精一杯やろう。ちょうどご飯も無くなったし、午後の部を始めよう」
「「「「「おおーーーーーっ!! 」」」」」
「その前にご馳走さまをしなさい。それと片付けるのも手伝ってよね」
「「「「「はい……」」」」」
ーーー--
「午後からはチームプレーの特訓か」
「そうだよ。ガンプラも半分以上は完成しているし、そろそろチームプレーの特訓もしとかなきゃね。まあヒロヤ君の手伝いは正直あまり役に立たなかったけど……」
「聞こえてんぞコラ?殺すぞ? 」
「アハハハハ。まあ頑張って」
トウイは逃げるかのように作業机に戻り、俺は殴りたい思いを必死に抑えてバトルシステムにつく。
「よろしくねヒロヤ!ヨシナさん! 」
「よろしく頼む」
「ああ」
「そんじゃ、まずは俺らから相手にさせてもらうぞ」
バトルシステムの向こう側には、シライ、ニシヤマ、ミズノがガンプラをセットして立っていた。
「MAが二機も相手か……だが問題ないだろう」
「ああ。といっても、上手く連携出来るかどうかは別だけどな」
「まあ頑張ろっか! 」
『GUNPLA BATTLE combat mode』
『Startup』
『Model Damage level Set to C』
『Please Set Your GPベース』
『Beginning plavsky particle 』
『Dispersal』
『Field 1 スペース』
『Please Set Your GUNPLA』
『BATTLE START』
「サオトメ ヒロヤ!ガンダムエクシアホープ!出る!! 」
「ヨシナ リンドウ!ガンダムAGE-1ソーディア!出陣する! 」
「ミヤモト ユウ!アストレイレッドフレーム改!行くよ!! 」
フィールドに計六機のガンプラが放たれると、すぐにその戦火は起こった。
『行くっスよ! 』
『おらあぁっ! 』
『私に当てないようにするのよ! 』
ネオ・ジオングとサイコガンダムが全身のメガ粒子砲を放ち、その後続からノーベルガンダムが突っ込んできた。
「ミズノって単機で突っ込んでくる奴だったか? 」
「んー。わかんない! 」
散開してメガ粒子砲をかわし、アストレイレッドフレーム改がノーベルガンダムに向かっていった。
「ミヤモト君。あまり突っ込まないようにするのだぞ」
「はーい! 」
アストレイレッドフレーム改はガーベラストレートを一刀を抜刀し、ノーベルガンダムに斬りつけ、ノーベルガンダムはビームサーベルでガーベラストレートを受け止める。
「!ユウ、避けろ! 」
アストレイレッドフレーム改とノーベルガンダムがつばぜり合いをしている最中、アストレイレッドフレーム改を囲むように有線式大型ファンネル・ビットが射出されていた。
『遅いッスよ! 』
ノーベルガンダムがアストレイレッドフレーム改から離れると、有線式大型ファンネル・ビットから一斉に攻撃された。
「やあああああっ! 」
バックパックのタクティカルアームズ【ソードフォーム】を取り出し、上昇しながら乱舞しだした。
タクティカルアームズはその大きさのおかげでビームを弾いていき、無事有線式大型ファンネル・ビットから抜け出した。
『それも想定内ッスよ! 』
『くらえ! 』
有線式大型ファンネル・ビットから抜け出した直後、すぐにサイコガンダムのメガ粒子砲がアストレイレッドフレーム改に向けて放たれた。
避けきれないと判断したのか、タクティカルアームズでメガ粒子砲を受け止めようとするも吹き飛ばされてしまい、すぐに二撃目がアストレイレッドフレーム改を襲った。
「うわっ!? 」
「ふん! 」
アストレイレッドフレーム改に直撃する直前に、ガンダムAGE-1ソーディアがシールドで防ぎ、すぐにレベルタブレードにエネルギーを貯めて斬撃波をネオ・ジオングとサイコガンダムに向けて放った。
「ナイスヨシナ! 」
「あはは……ありがとうございます」
「気にする必要はない。これは連携の訓練なのだ。尻拭いはする」
アストレイレッドフレーム改の腕を掴み、ガンダムエクシアホープの元へ戻ってきた。
「さて、では仕切り直しといこう。サオトメ君はともかく、ミヤモト君の動きはまだ把握しきってなかったのだ。だが今のでもう把握した。後は私達に合った連携をするだけだ」
「おー!さすがヨシナさん! 」
「んで、何をすればいいんだ? 」
「簡単なことだ。いつも通り戦えばいい。後は私が調整していく」
「わかったよ! 」
「てきとうだなおい…」
ーーー--
「痛っったいッ!!指切った!! 」
「ちょっ!?せめてガンプラに血が付かないようにして! 」
「僕よりもガンプラ優先!? 」
「それよりも止血しにいこう…。出血が凄い事になってる…」
デザインナイフで左手の人指し指を刺す、切る、抉るを足して三で割った感じに怪我をしてしまい、まるで漫画やアニメみたいに血が吹き出した。幸いガンプラや他の皆には血が付着せず、今は洗面所で血管を押さえ、心臓よりも高い位置にして血を水で洗い流している。
「はぁ……不幸だ…。あ、今のは別に意識して言ってないから」
「誰に言ってるの…? 」
「読者。てかまだ血が止まらない……。むしろ水で冷やしすぎて、切った所よりも痛くなってきた。あの時下手にかわそうとせず、そのまま刺さった方が楽だったのかな?いやそれだと指を貫通するし……」
「怪我したのに饒舌…。とりあえず大丈夫でよかった…」
「あーどうも。そういえば他の皆は? 」
「まあアイツなら心配無用だろ。どうせ何事もなかったかのように復活してくるんだし。……って皆言ってた…」
「僕の扱いがどんどん酷くなっていってる件……なんか涙が出そうなんですけど」
「とにかく包帯を巻くから、その後病院に行くように…」
「はいはーい」
「はいは一回だけ…」
傷付けた指を水で洗い流すも効果はやはりなく、水と未だ出血している血を拭き取り、包帯で人指し指だけではなく他四本ごとぐるぐる巻きにされた。
ーーー--
「あら?どこに行くの? 」
「病院に行ってくるよ。それまでガンプラはよろしく」
洗面所からトウイとモチヅキさんが戻り、トウイは敬礼をしながら店から出ていった。
「相変わらずマイペースね。それでモチヅキさん、トウイの怪我はどうだったの? 」
「血が凄かった…けど、多分大丈夫だと思う……」
「そう。それならいいけど。とにかく、私達はガンプラをいち早くでも完成させましょう」
「わかった…」
モチヅキさんも椅子に座り、作業を再開させた。今のところガンプラの完成度は七割。残り三割でも、それでも通常よりも製作には時間がかかる。
「せめてもう少し人手がいれば、製作スピードも上がるのだけども…」
「トウイ君が病院に行ったから、二人しかいない……」
「病院?トウイの奴、とうとう精神科にでも行ったのか? 」
ため息を吐きながら製作しているとこの場にいる筈のないヒロヤが、私の後ろに立っていた。
「ヒロヤ。特訓はどうしたの? 」
「あー……それなんだが、普段使っている機体との性能差がありすぎて、連携の特訓どころか思う通りに戦えないという事があってな」
「それで僕達もガンプラ製作を手伝おうって事になったんだよ! 」
クラタさんの所からミヤモトさんが聞こえ、他の作業机を見回すと、特訓班全員が集まっていた。
「ということだ。まあ技術はあんまりないが、やれることはあるからな。とりあえず俺とイチノセは、シノ達の方のガンプラを手伝う」
「そういうことね。まあ助かるわ。じゃあヒロヤとイチノセ君はトウイが作業していたパーツを完成させてくれるかしら? 」
「OK。コイツよりは技術があるから任せろ」
「お前も病院に行かせてやろうか? 」
「ふふっ…」
期待してるわよヒロヤ……それにミヤモトさんにヨシナさんも。どうか、私達皆で作ったガンプラで、エイジを止めてね。
ーーー--
『BATTLE ENDED』
「ふん。これでこの地域一帯は回ったか…」
バトルシステムの遠隔操作端末と、二代目メイジン・カワグチが製作したガンプラ……フレユールガンダムを回収する。
「それにしても、やはり虚しいものだ。こんなにも容易く傷つき壊れるというのにも関わらず、それを知りながらもバトルをする。昔はあんなにも大事にされていたというのにも」
荷物を一通り纏め、直ぐ様バイクに乗ってその場を離れる。
「………そうだ。ただ傷付けるだけだ。それも他人事のようにな…」
昔の事を思い出すと、無意識にハンドルを握る手に力が入る。
「…………次の場所へと向かうか」
ーーー--
「くっ!ここも外れか! 」
「ランさん。やっぱり半径5㎞だと、捜索範囲が広すぎて見つかりませんね。それに、既にもうエイジはこの地域から逃げ出してるかと思います…」
乱入者が現れたという情報が入り、すぐに車を手配してその地域に向かった。しかし場所がかなり離れているため、約四十分もの時間がかかり、到着した時点で殆どの店舗や学校が被害にあっていたため、捜索時間も極端に少なかった。
「……今回はここまでにしよう。次に奴が向かう所を予測し、そこに根を張ろう」
「それしかないですね……それにしても、エイジとバトルをして時間を稼げる見込みのあるファイターがほぼいなくなりましたね…」
「……それでも、私達が諦めるわけにはいかん。それにフジイ君。まだ希望が無いわけではない」
「へ? 」
「まだ奴と戦えるファイターはいる。いや、正確には者達だな」
「それってもしかして…」
「ああ。だが、彼が自分の勘違いに気づいていなければ、奴には勝てん」
そう。それに気づけば、君は強くなれる。奴とは違う強さを得れる。こればかりは、自分自身で気づかなければ意味がない。
「だから頼んだぞ……セイジュウロウの息子よ…」
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