ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
敗北者への問い
あれから三日が経つ。俺達はブレイカーに敗れ、ガンプラを跡形もなく破壊され今は病院にいる。
病院にいる理由は一つ。トウイのアシムレイトの影響による傷が酷いためまだ目を覚まさないからだ。
他の皆はブレイカーを捜すことを、名目上一旦止めて、各々一人でいるようだ。
最近では、ブレイカーの話も噂から真実だということが広まり、今じゃガンプラバトルをする者も減っていっているらしい。
「まだ目を覚まさないか……いつもは何事も無かったかのように起き上がってくるくせに……早く起きろよ…」
俺は横になっているトウイに向けて言うも反応を示さない。
今回の事で身体的に傷を負ったのはトウイだけだが、皆は精神的傷が酷いようだ、
「………くそっ…」
何が俺が守ってやる…だ。何一つ守れてないじゃないか。俺にもっと力があれば………。
「サオトメ君。ここにいたか」
「……ランさん」
ーーー--
ランさんに呼び出され、ここではなんだということで屋上へと場所を移した。
「話は聞いた。すまない。私達がもっと早くブレイカーを見つけられたら……」
「いいんですよ。ランさん達は悪くない」
「だがしかし、君も君の友達も精神的傷を負わせてしまった。あげくのはてには身体的傷を負った者もいる。本当に申し訳ない…」
「謝らないでください。俺達は覚悟の上でやっていたんです。だからランさん達は悪くない」
俺は自販機で買った缶コーヒーを飲んで一息つけた。
「ただ一つ…………俺が弱かっただけなんだ。心のどこかで大丈夫だと思っていたんだ。けど、それでこの有り様………俺がもっと強かったらこんなことには……」
手に力が入り、飲み干した缶コーヒーを握り潰した。
そうだ。大丈夫だと思っていた。なんとかなると思っていた。けど、その軽はずみの気持ちがこのような結果を生んだんだ。
「ふぅ……サオトメ君、あまり気負うな。君は確かに弱いかもしれない。だが、それの何が悪い?弱くたっていいんだ。どんなに敗れようがいいんだ。どんなに地に膝を着けてもいいんだ。問題は、その後どう這い上がるか……どう足掻くのか……どう立ち上がるか……」
ランさんの言葉を俺はただじっと続きを聞いた。
「負けは弱さの証明ではない。むしろ自分の弱さを知る糧となる。弱さをしれば、人は強くも優しくもなれる………本当に戦うべき相手は、そこで倒れそうになる、諦めようとしている自分自身だ」
「けど俺は………そんな綺麗事を通せない……目の前の仲間すら守れなかったんだ」
「サオトメ君。君は一つ大きな勘違いをしている」
勘違い?
「それに気づけば、自ずと道は切り開かれる。それに……」
ランさんが俺達が入ってきた扉を指差すと、そこには知ってる人物が立っていた。
「君は一人ではない。もし一人で立ち上がれそうにないなら、仲間と共に立ち上がればいい。君達にはそれが出来る筈だ」
「あっ!ここにいたーー!さあヒロヤ、早速いちば模型店にゴーだよ! 」
「そういうことだ」
「わいらも力を貸すで」
「手を貸すぞ。サオトメ」
「感謝しなさい」
「助太刀に来たッスよ! 」
「ふん。だらしないではないか!サオトメ ヒロヤ! 」
そこには、ユウ、ヒナタ、クラタ、イチノセ、ミズノ、シライ、ニシヤマ、イガラシが立っていた。
「お前達……なんでここにいるんだよ? 」
「僕が召集をかけたんだよ!ヒロヤ達も負けたって話を聞いたから、皆もすぐに集まってくれたんだよ! 」
「けどユウ。お前ガンプラはもう無いんだろ?どうする気なんだよ? 」
「後で作るよ!だから手を貸してよねヒロヤ? 」
「……………たくっ。へこんでなんかいられないのか……」
「そういうことだよヒロヤ君」
「! 」
屋上の扉からもう二人……トウイとモチヅキが姿を現した。
「お前目を覚ましたのか!? 」
「おかげさまで。まだ身体は痛いけどね……」
「大丈夫…? 」
「大丈夫大丈夫。ヒロヤ君、皆、いちば模型店に移動!そしてここにいない皆も召集!あ、ランさんもお願いします」
ーーー--
とりあえず皆はいちば模型店に移動し、俺はシノを、トウイはコムカイとアマミヤ、イガラシとヒナタはヨシナとサカキ、クラタとシライとニシヤマはキハラ達の所へ向かっていった。
「……やっぱり出ないか。となると直接家に行くしかないか」
電話でシノにかけるものを出る気配がせず、そのままシノの家へと向かった。
家に着くと俺はインターホンを鳴らし、十数秒待つとリンヤが家から出てきた。
「どなたですか?……ってヒロヤさんですか。姉さんに用があるんですよね? 」
「ああ……」
「じゃあちょっと待っててください。あっ、ところでヒロヤさん。姉さんに何かあったんですか?実は三日前に家に帰ってきてから暗いんですよ。何か知りませんか? 」
「……まあ少し怖い目にあったな」
「あー。姉さん怖いものはダメですからね。教えてくれてありがとうございます。では呼んできますね」
リンヤが家に戻ると、約二分後にシノが出てきた。
「なに?ヒロヤ」
「よう。大丈夫か? 」
「私自身は大丈夫よ。けど、ホロスコープはもう無いけどね…」
シノは俯きながら、小さくそう言った。
「………シノ。俺はもう一度アイツと戦う。そして今度こそ勝つ。だから俺と一緒に来てくれないか? 」
「……………へっ!?今なんて!? 」
長い間が空き、時間にして約十秒。なぜか驚いた表情で聞き返してきた。………変な事言ってないよね俺?
「いやだから、俺と一緒に来てくれないかって」
「…………ええっ!?えっとその……へぇっ!? 」
「……なんかしらんが、とりあえず元気になってよかった」
「ええっと……その…わかったわ…」
「そうか。なら早速行くか」
「へっ?行くってどこに? 」
「いちば模型店だ。皆も集まって来てる」
「あ、来てくれないかってそういうことね……」
どういうことだと思ってたんだよ?まあいいや。とにかくいちば模型店に戻るか。
「ほれ行くぞ」
「!………ええ」
シノに手を差し出すと、一瞬戸惑った感じになったがすぐに手を握ってきた。
そのままシノの手を引いていちば模型店へと急いで移動した。
(……俺と一緒に来てくれないかって所しか聞いてなかったわ……)
ーーー--
「おっ?やっと来たね二人共」
「あれ?なんでミヤモトさん達がいるの? 」
「まあカクカクジカジカ色々あったんだ」
「てかお前ら。なんでお手々繋いできてんだよ?出来てんのか? 」
「出来てない!! 」
「違うわよっ!! 」
コムカイに言われ、自分が何をしていたのかに気づきすぐに手を離し、二人で否定する。
「てかヨシナ達もきちんと来たんだな」
「いや。私達は元々ここにいたんだ」
「はっ? 」
「俺がキハラとサカキを探すために、まず一旦いちば模型店に寄ったのだ!そしたらヨシナとサカキ!コムカイとアマミヤが既にいちば模型店に来てガンプラを買っていたのだ!! 」
コイツらやられたばっかってのに切り替え早いな……。
「それやったら、キハラ達も部室で映像何かを見とったで」
「フレユールガンダムの映像を見て、色々調べていたんですよ」
こっちも切り替えが早いなおい。それに比べて俺達はへこみ過ぎたのか?情けないなたくっ………。心の中で苦笑するも、同時に頼もしさを感じる。
「それでハルカゼ君よ。どうしてここに集めたんだ? 」
「ランさん。それはもちろんブレイカーへのリベンジと、その逮捕ですよ」
「といっても、あれでも結構時間を稼いだ方だと思いますよ?逮捕するにもあれ以上時間を稼ぐのは難しいかと思います…」
「じゃあここにいる全員で戦うってことスかね? 」
「まあ一番可能性が高いとは思うけどな」
シライの案に、ニシヤマが大きく頷く。他の数人も同意見のようだが………。
「いや…………逆だ。三人一組でいこう」
「「「「「「「「「はあっ!!!!? 」」」」」」」」」
俺がそう言うとシノ、コムカイ達、キハラ達、サカキ、シライ、ニシヤマ、ミズノ、クラタ、イチノセ、ヒナタが大声で叫んだ。さすがにこの人数だと鼓膜に響くんだけど。
「大きく出たなサオトメ君」
「よく言った!サオトメ ヒロヤ! 」
「さっすがヒロヤだね! 」
「アハハハハ」
「……………」
一部は逆に俺の事を称賛してきたが、なんか馬鹿にされてるような気しかしないんだが気のせいだろうか?
「だがサオトメ君。それでどうするつもりだ?三人で奴を食い止められるのか? 」
ランさんは俺にそう聞いてきたが、もちろん止められる保証はない。
『やはりガンプラバトルは無駄に破壊を繰り返すものか……くだらないな』
バトル最中にアイツが言った言葉。その口振りからして、ガンプラバトルに対する何かの思いがあるのだろう。なら、もう答えは一つだ。
「食い止められるのか、じゃない。絶対に食い止めるんだ。それに下手に人数がいても、守っていたらやられる。けど、アイツは必ず倒す。シノの、トウイの、皆の仇を今度こそとる」
「…………そうか。では私はそろそろ捜査に戻る。健闘を祈っている」
ランさんは俺の答えを聞くと、そのままいちば模型店を出ていった。
「はあ………しょうがないわね本当に。けど、どうやってフレユールガンダムと戦うつもりなの? 」
「それについてはキハラが調べてたはずだろ? 」
「…どうやらもう決定事項のようか……まあなるようになれか。では、僕が調べたフレユールガンダムについて説明します」
そこからは、キハラがどこから出したのかA4の紙三枚を取り出した。
「調べた結果、フレユールガンダムは二代目メイジン・カワグチの製作したカテドラルガンダムの後続機だということが判明しました。しかし、フレユールガンダムは何者かの手により強奪され、それ以来行方が不明だったそうです」
「それであの膨大な粒子量を誇るわけか。さすがメイジン・カワグチや」
「そうですね。しかし更に調べた結果、ブレイカーの正体も判明したんです。この事は既にランさんも知っていたようですが、おそらく公にされなかったんでしょうね。フレユールガンダムを強奪したのはエイジという外国人のようです」
ここで外国人キャラを投入してきたか。にしても、なぜわざわざ日本でこんな事をしに来たんだ?
「次は機体についてですが、フレユールガンダムの全装甲から胞子状の粒子の光が噴出し、やがて剣へと形を変貌させました。おそらく、あの粒子の光はフィールドの粒子や、相手からのビームを取り込んで剣へと形を変貌させているのでしょう。それだと、あの数の剣にも納得いきます」
「えっ? 」
「どうしたトウイ? 」
「あっ、気にしないで。すいません続きをお願いします」
「リトリビュと言われた刀身の無い剣。あれも同じ原理で刀身を自由自在に出し入れ出来るでしょう。おそらく形状も。そして、僕達を一撃で倒したリトリビュの最大の攻撃ともいえる、マレディクスィオンという攻撃。あれは柄から膨大な粒子……ビームの暴風、嵐でもいいですね。これも原理は同じなのですが、違うことと言えば、それを一ヶ所に集中していることです。フレユールガンダム自身とフィールドの粒子を圧縮し、それを一気に放出する。その際と放たれた後も、フィールドの粒子を進行形で取り込んでいって更に膨大化する」
三日しか経ってないというのによくそこまで調べられたものだ。だけど、もう一つ聞きたいことがある。最後にフレユールガンダムに攻撃した時、グラディウスが豆腐のように切断された事。あれはどういうことなんだ?
「キハラさん!僕、前にフレユールガンダムと戦ったんだけどその時リトリビュと七聖刀がぶつかったけど呆気なく切断されちゃったんだよね。あれってどういうことなの? 」
どうやらユウの方も刀を切断されたらしく、同じことを疑問に思っていたらしい。あの時のグラディウスの状態も別段悪くなかった。けど一瞬で切断された。最初は切断されなかったんだけどな………。
「それについては今話します。といっても、これに関してはあくまで推測の域ですが」
「いいから言えってキハラ!俺達も一緒に調べたんだから、それはほぼ間違いねえことだって! 」
「そうだぞキハラ」
「ははっ……ありがとう。では説明します。リトリビュの刀身には、高周波ブレードシステムを搭載していると思います。原理でいえば、ストライクガンダムに内蔵されているアーマーシュナイダーの十数倍の切断力を持ち、それはPS装甲どころかビームやチョパム装甲すらも切断すると思われます」
「それチートッスね」
「チートや!チーターや! 」
クラタ。わざわざトウイみたいに著作権に挑まなくていいから。
「質問いいですかー!? 」
「なんですか? 」
「僕の七聖刀が切断されたのって結構後なんだよね。最初の方は全然切断される気配はなかったもん。まあそのせいか、エイジって人は驚いた様子を一瞬見せてきたよ」
「俺の時もそうだ。どういうことなんだよ? 」
「それが推測なんですが、粒子を武器に纏わせている状態で打ち合うと、なぜか切断されていないんです。いろんな映像を確認しましたが、二人だけは粒子を纏わせている状態では切断されていないんです。原理は分かりませんが、きっと継続的に粒子が纏われていってるからでしょうね」
「なら話の流れ的にミヤモトさんにサオトメ君ですの?けど、後一人はどうしますの? 」
「いやミズノ。もう一人いるだろう」
ヒナタがある人物へと顔を向けて言う。俺達も釣られてそちらを見ると、その人物はヨシナだった。
「確かヨシナも同じ芸当をするんだろ?なら適任だ」
「ふむ、私か…………いいだろう。その役、引き受けよう」
「…………これで三人決定だな」
「けどガンプラはどうするの? 」
「それはもちろん。皆で作るしかないね」
トウイがそう言い、他の皆も頷く。
「せやな……。となると、ガンプラ心形流のクラタ カオリの出番や!! 」
「そんじゃ、僕も手伝おうかな」
「私も……」
「よし。では班を別けましょうか」
ーーー--
キハラによりガンプラ製作班、特訓班、雑用班と別れた。てかここプラモ屋だから雑用いらないだろ。
ガンプラ製作班
トウイ、クラタ、モチヅキ、キハラ、コムカイ
特訓班
俺、ユウ、ヨシナ、イガラシ、ミサカ、オノ、イチノセ、ヒナタ、サカキ
雑用班
シノ、アマミヤ、シライ、ニシヤマ、ミズノ
「質問いいかキハラ? 」
「なんですか? 」
「雑用必要か? 」
「……………」
テイク2!
ガンプラ製作班
トウイ、クラタ、モチヅキ、キハラ、コムカイ、シノ
特訓班
俺、ユウ、ヨシナ、イガラシ、ミサカ、オノ、イチノセ、ヒナタ、アマミヤ、シライ、ニシヤマ、ミズノ、サカキ
「無駄な事に文字数使ったなおい」
「まあまあ。そんじゃ、始めよっか! 」
そうして、俺達はそれぞれの班に別れて行動をしたのだった。
ページ上へ戻る