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クイラク

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第三章

「ですから」
「俺はか」
「はい、博打を止めれば」
「儲かるか」
「今以上に、それで」
「自分の店もか」
「持てますよ」
 こう言うのだった。
「本当に」
「じゃあ自分の店を持つことはな」
 それはとだ、オムールは笑って弟子に言った。
「御前とうちの娘のな」
「イザムちゃんのですね」
「あいつの将来の旦那さんに頼むか」
「そうされますか」
「ああ、あいつも今は小さいがな」
 しかしというのだ。今はまだ結婚出来る年齢でないにしても。
「大きくなったら結婚するからな」
「そのお婿さんにですね」
「御前みたいに商売を教えてな」
 そしてというのだ。
「店を持ってもらうか」
「博打は教えたら駄目ですよ」
「そこも御前と同じだな」
 オムールはカザルに博打は教えていない、彼自身そのことを笑って認めて言う。
「それは教えないさ」
「そうして下さいね」
「わかってるさ」
 笑ってこうした話もした、そしてだった。
 二人は夕暮れ時まで商売を続けその夜は寝た、オムールはこの夜は博打の場に行かず静かに寝た。そしてだった。
 翌日自分達の品を午前のうちに売り尽くしてだ、オムールはカザルに言った。
「じゃあもうな」
「はい、商品はないですし」
「帰るか」
 こう言うのだった。
「飯食って土産ものを買ってな」
「そうしてですね」
「俺達の街に帰ろう」
「わかりました」
 カザルはオムールのその言葉に頷いた、そしてだった。
 そのうえでだ、店を畳み。
 昼食を食べた、パンと羊肉、それに棗椰子等の簡単だが量の多い食事と熱いお茶を楽しんでだ。それからだった。
 二人は今度は自分達が客となってバザーに出た、そこで。
 オムールはお菓子を買った、そのうえでカザルに言った。
「女房と娘にな」
「お菓子をですね」
「二人共このお菓子が好きだからな」
 だからというのだ。
「これを買ってな」
「お土産にしますか」
「このお菓子は日持ちがするしな」
「ロシアのケーキですね」
「あの国のケーキはな」
 ウズベキスタンはかつてはソ連だった、それでロシアの料理も入っているのだ。それでロシアのケーキも売られているのだ。
「硬いからな」
「そうですよね、スポンジじゃなくて」
「焼いてな」
「それで、ですね」
「うちの家族が好きなんだよ」
 妻と娘がというのだ。
「だからな」
「それを買ってですね」
「土産にするさ」
「そうですか、じゃあ俺は」
 カザルは師匠の話を聞いてだ、あらためて言った。
「何を買うかですね」
「ケーキにするか?」
「あの娘別にケーキは」
 ロシアのそのお菓子はというのだ。
「あまり好きじゃないみたいですから」
「だからか」
「はい、ちょっと」
 微妙な感じの顔で言うのだった。 
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