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無慈悲なジングルベル

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第二章

 街に出て実際にだった、ジングルベルを聴く度にその話のことを思い出してしまうようになってしまった。それでだった。
 毎日そのことを思い出してだ、嫌な気持ちになった。それで。
 家でもだ、母に食事中こう言った。
「ジングルベル聴きたくないわ」
「どうして?」
「理由は言わないけれど」
 むっとした顔での言葉だ。
「もう聴きたくないの」
「そうなの」
「だからお父さんやお兄ちゃんよく飲んで帰って来たらね」
 優は母に父や兄のことも話した。
「あの歌歌って帰って来るじゃない」
「この季節はね」
「歌わないで欲しいのよ」
「何か訳わからないけれど」
「訳聞きたい?」
「ええ、どういう話?」
「御飯が終わった後でね」
 話が話だからだ、優は母に食事の後でその話をした。そしてだった。
 全てを聞き終えた母は娘にだ、怒って言った。
「そんな話しないの」
「だから聴きたくないの」
「そういうことなのね」
「そうよ、わかったわね」
「嫌な話ね」
「それで何もしたくないのよ」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 家でもジングルベルは歌わないことになった、父と兄にも事情を話して。そして街においてもだった。優はイヤホンをして信号と車、通行人は目で注意してだった。
 歩く様になった、それで交際相手の竹達実に言った。
「ジングルベル聴きたくないからね」
「ああ、あの話か」
「あんたも知ってるの」
「同じ学校だからな」
 それでというのだ。
「俺も知ってるよ」
 黒髪を整え少し周りにクマがある様な目でやや長方形の顔の形だ。背は一七五位でしっかりとした身体つきをしている。
「ジングルベルな」
「そうよ、もうあの話聞いて」
 それこそというのだ。
「思い出さずにいられないから」
「そうだよな」
「もうあんな歌はね」
 それこそというのだ。
「聴きたくないわよ」
「それはまた極端だな」
「極端かしら」
「ああ、幾ら何でもな」
「だって後ろからの時にいつもでしょ」
「歌ってるらしいな」
「そんなことしないでしょ」
 日本の話をだ、優はした。
「だから印象に残ってね」
「忘れられないんだな」
「そうよ」
 本当にというのだ。
「もう私の方がトラウマになってるわよ」
「笑えない話か」
「というか怖いでしょ」
 優にとってはというのだ。
「それこそ」
「そこを発想の転換でな」 
 実はこう優に言った。
「ギャグって思うことだろ」
「何処がギャグなのよ」
「だってな、あの歌とそうした話って普通つながらないだろ」
「だからインパクト強いのよ」
「それに本当かどうかわからないしな」
 だからというのだ。 
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