『魔法の薬』
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『向精神薬』
向精神薬は、中枢神経系に作用して精神機能に影響を及ぼす。
鎮静剤系と興奮剤系に別れる。
勿論、向精神薬は殆どが医薬品。
医師の指示が必要。
むやみに乱用すると、感情が不安定になったり判断力が鈍くなったりする。
歩行失調など心身障害も生じる。
向精神薬の乱用は凄く危険。
だから、麻薬及び向精神薬取締法で規制されてる。
そんな事、少女は知るわけも無いし興味も無い。
悪いこと、悪いもの、ってのは重々承知してること。
だから関係無い。
毎回少女にクスリを持って来る男が言った。
『これ、リタリン。手に入ったんやけど、やってみるか?』
『今んとこLSDが1番効いてるよ。3枚舐めてやっとやけどな』
『おまえホンマ強いよなぁ。なんでなんやろなぁ不思議やわ。』
(余談だけど、少女は、大人になった今でも麻酔すら効きにくい辛い体質だったりする...。)
『何で効かんのんか自分が1番知りたいわ』
『まぁなぁ。でもコレは精神科で出して貰わなナカナカ手に入らんようなやつや。やってみる価値は在るで』
『そぉなんや。どぉなんの?』
『超テンション上がる!絶対っ!』
『なんか信用ならん。前も絶対効くって言ってたし』
『ものは試し!』
『...解った。やってみる』
言われた通り飲んでみる。
ナカナカ効かんのんか変化無し。
男は肩を落としたように誰かに電話してた。
『...そぉなんすよ。効きません...えっ!マジっすかぁ!あぁぁぁ、じゃあやっぱ特異体質なんすねぇ。わかりましたぁ』
男が少女に言う。
『やっぱおまえおかしいわ。他の奴は効きまくりらしいで』
『そぉなんや。えぇなぁ、そんな簡単に楽しくなれて。羨ましいわ...』
『まぁおまえもクスリ無しで楽しめたら1番なんやけどなっ!』
『そぉいや自分ではせんのん?仕入れたやつ売るだけ?』
『俺も前はやってたで。でも今はヤメてるし、仕入れて売るだけやなっ!』
『そっか。中毒ならなんだ?』
『なってたら今此処おらんわ』
『そりゃそぉか』
『...おまえ、サムライと愛花、見てきとんだろ。中毒怖くないんか?』
『だって絶対ならんし。ただでさえ効き目薄いのに!』
『でも欲しいって事は依存ちゃうか?』
『ちゃうちゃう。知りたいだけ。アッチの景色を見たいし、効いた時の感覚を知りたいだけ』
『実験や研究みたいに言うなやおまえ...』
『あぁ、そんな感じ。探求心』
『効かんなら下手に依存する前にヤメん?』
『...』
少女は少し悩んだ。
キリが無いのは確かだろうし。
アッチの景色が見れるほど凄く効くクスリに出会える予感も無かったから。
暫くして少女は男に告げた。
『解った。もう要らん』
ポケットに残ってたクスリ全部、男に渡した。
『おまえ潔すぎやろ』
男は大爆笑。
『だって、どれもこれも魔法のクスリちゃうかったし』
『...えらいっ!』
男は少女の頭を、猫を撫でるように優しく何度も撫でた。
少女は、クスリ返して良かったと心から思えた。
妙にスッキリした気分になった。
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