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『魔法の薬』

作者:零那
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『粉』


少女は、初めて覚醒剤を見た時『ただの粉やん』って思った。
何から出来た粉か、そんな事に興味など抱く事は無かった。
挙げ句の果てには、一生懸命説明してくれてる男を疑う。

『こんなんでホンマに楽になんの?ならんかったらどうすんの?』

男は豪快に笑った。

『嬢ちゃんホンマに初心者?
既にキメて来とんちゃうん!』

『はぁ?初めてやけど』

男は更に笑いのツボに入る。
不愉快だったので粉の入った袋を奪って立ち去った。
まだ笑い声が聞こえていた。

暫くして振り返ると、男の元に数人居た。
少女に気付いた男は大きく手を振って『また明日なぁっ!』って言った。

また明日?
何故?
え、コレ1回分?

まともに説明なんて聞かなかった少女は何も解ってなかった。

とにかく試す事に。
粉は飲みにくいから嫌いなんやけどなぁ...と思いつつ、ドライに入れて飲む事に。
何も変わらない。
効果無し。
騙されたのか。

あの男の言う通り『明日』会ってしまった。
思わず『アレ偽物やろ。何もならんし』って文句言った。

男は『はぁ?効かん?どぉやってしたん!』って聞いてきた。

少女は『ドライと飲んだ』って答える。

男は誰かに電話をしていた。


『ドライと飲んだ言うてるんすけど何もならんゆうてケチつけられまして...いや、そぉっすよねぇ...わかりました。お願いします』

電話が終わって少女に言う。

『違う方法でやってみよ。俺の先輩が来てくれるけん確実にキマるよ。嫌な事も飛ぶ!』

『ホンマなん?信用無いんやけど。効かんとか普通あるん?』

『いや、効かんとか俺は今迄聞いた事無いわぁ!』

『...ふぅん。覚醒剤じゃ無くて小麦粉とかの類なんちゃうん』

男は大爆笑した。
少女は、また笑うんかコイツって思った。

男の先輩ゆう人が来た。
少女は一応挨拶をした。

『大丈夫大丈夫!注射器持って来たし上手いこと打ったるわ。効くけん安心しぃ』

少女は頷いて身を委ねた。

微妙やけど効いたのは解った。
でもホンマ微妙。
ちょっと変わったんが解る程度。
全っっっ然、物足りん。

結果『おまえ特異体質やわ』って言われて終わった。

注射器は貰った。
量を増やせば効き目も増えるからって多目でやれって言われた。

少女は暫く覚醒剤の効き目が知りたくて躍起になった。
でも、結局納得のいく効果は出ず、注射器も面倒で殆どドライと飲んでた。
特に大した効果は無し。
あくまでも特異体質の少女には...。


 
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