FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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6人のドラゴン
「剣咬の虎の三大竜、スティングとローグとグラシアン。ナツたちと同じ滅竜魔導士か・・・」
試合を応援席から見ているマカロフはそれぞれのオーラを身に纏ったスティングたちを見てそう言う。
「しかしいまだその能力は未知数。さぁて、どうなることやら」
「探り合いは一段落といったところですね。ここからが本番ですよ、しっかり応援しましょう」
腕を組み難しい顔をしているマカロフとその隣に腰かけている少女、メイビス。さっきまでの雰囲気から一転したスティングたちを見てそんな話をしていた。
「終わりだ。クズギルド」
一方こちらは剣咬の虎のマスタージエンマ。スティングとローグ、グラシアンが発動した魔法を見て彼は勝利を確信したのか、そう呟くのだった。
「スティング」
「ああ」
「グラシアン」
「わかってる」
ローグがスティングとグラシアンに声をかけ、2人はうなずき返事をする。
『静かなにらみ合いが続きますが、会場全体に凄まじい緊張感が張りつめています』
試合中とは思えないほどの静かな会場。観客たちも互いに動きを見せなくなった滅竜魔導士たちを固唾を呑んで見守る。
『先に動くのはどっちだ!?』
チャパティがそう叫ぶとそれと同時にスティングが持ち前のスピードを生かして一気にナツに詰め寄る。
「はぁ!!」
光を纏った拳がナツを襲う。
『剣咬の虎のスティングが動いた!!』
ナツはスティングの拳を腕を×にクロスして受け止める。だが完全には勢いを殺しきれず、少し後方に重心が動いてしまった。
『妖精の尻尾のナツを捉えました!!』
スティングはそれを見て歯を見せると、今度は左手を引きながら魔力を溜める。
「聖なる白き裁きを・・・食らいな!!」
先のパンチよりも威力のあるストレートがナツの頬をヒットする。そしてスティングはナツの顔に次から次へとパンチを繰り出し、そのすべてを確実に捉えてみせる。
「火竜!!」
「ナツさん!!」
怒濤の攻撃を前にやられるナツの方を見るガジルとシリル。だが2人の視線に違う2人の影が入る。
「!!」
ガジルはその1つの影を攻撃すべくパンチや蹴りを繰り出すがその動きが早く、一切当てることができない。
「さっきの分だ!!」
シリルの前に出てきたグラシアン。彼はシリルに向かって蹴りを繰り出す。
「遅い!!」
シリルはその蹴りを相殺すべく蹴りを放つ。だが
「ぐあっ!!」
目の前にいるグラシアンからではなく、なぜか横からシリルに衝撃が入る。
「この!!」
脇目も振らずに衝撃が来た方へと腕を振るシリル。だがそこには誰もいない。
「なんだ!?うっ!!」
今度は背後から衝撃が走りフラつくシリル。すぐにそちらに視線を向けるがそこにも誰もいない。
「ぐおっ!!」
ガムシャラに影を捉えようとしていたガジル。しかし逆にローグに背後を取られ、簡単に殴られてしまう。
『ああっと妖精の尻尾のガジルとシリル!!ローグのシャドウドライブとグラシアンのナイトメアドライブに翻弄されている模様です!!』
シリルは衝撃が来たらすぐにそちらに攻撃を仕掛けるというパターンでグラシアンを捉えようとしているが、グラシアンの幻覚魔法により姿を一切確認することができずにいる。
「くそっ!!どこにいるんだ!!」
「何を言っている。俺はずっとここにいるぜ」
声がした方を振り返るシリル。そこにいるのは最初に攻撃を仕掛けてきた幻覚。
「そらぁ!!」
「だっ!!」
かと思えばそれは本当にグラシアンでシリルはアッパーパンチを受け後方によろける。
「影は捉えることができん」
ローグはそう言うと影へと形を変え、闘技場の地面へと隠れる。
「こいつ!!」
ガジルの背後から攻撃を仕掛けようとしたローグ。しかしガジルはそれを読んでおり、後ろを向き返りローグに鉄竜棍をお見舞いする。
「!!」
捉えたはずの攻撃。だがガジルの鉄竜棍は影となったローグの前には効いておらず、すぐにローグはガジルの背後へと消えていく。
「ぐっ!!」
ローグを捉えられないガジルと違い、ローグは要所要所で影から人間へと戻りガジルに攻撃を入れていく。
「うあっ!!」
スティングは拳で攻めていたナツの顔に足で攻撃を入れ、ナツは飛ばされてしまう。
「ああっ!!」
先ほど後方へとよろけたシリル。グラシアンはその腹に飛び蹴りをかまし、体重の軽いシリルは簡単に弾き飛ばされる。
「「「どわっ!!」」」
スティングたちの攻撃で飛ばされた3人は背中でぶつかり合ってしまう。
「ぷぺっ」
3人の中で一番軽く、さらには20キロは体重が違うであろうナツとガジルにぶつかったシリルは衝撃で弾かれ、顔から地面に落ちてしまう。
「「邪魔すんな!!」」
ナツとガジルは自分の背中にぶつかってきた相手にそうキレガンを飛ばしている。さらにはこの2人、シリルがぶつかってきたことなど全く気づいていないようで2人だけで睨み合っていた。
「「「ふははははっ!!」」」
「「「!!」」」
笑い声が聞こえ、上を見上げるナツとガジルとシリル。そこにはスティングたち三大竜がシリルたちのことを見下ろしていた。
「試合中にケンカかよ!!ずいぶん余裕あるじゃん!!」
「そんな即席トリオで俺らに勝てるかよ!!」
三大竜は地上でケンカしているナツとガジル、そして倒されているシリルに向かって一気に落下していく。
ドドォン
スティングたちがナツたちを捉えるべく落ちてきたために闘技場の地面から大きく砂煙が立つ。
「パワーアップしやがった。あれも滅竜魔法の一種なのか?」
「ナツぅ!!頑張れぇ!!」
腕を組み、最初よりも力が遥かに増したスティングたちを見てそう言うリリー。ハッピーはとにかく大きな声でナツたちに声援を送る。
「なんだよ、妙にすばしっこくなりやがって」
口元の砂を拭いながら愚痴をこぼすナツ。スティングはそんなナツに高速で接近しパンチを繰り出すが今度はナツも反応が間に合い、その拳を弾く。
「ほらほら!!ガード甘いんじゃないのナツさん!!」
「っお!!」
しかし弾けたのは最初の一撃だけ。次から次へと繰り出されてくる攻撃を前にナツは全てを防ぐことができずに地面へと倒される。
「くっ!!」
こちらではガジルがローグの攻撃に防戦一方。額につけていたバンダナがその攻撃の早さと鋭さの前に引き裂かれてしまう。
「どうしたどうした!?聖十の魔導士を倒した力はそんなもんなのか!?」
「ぐっ・・・」
今度は幻覚魔法を一切使わずに力業で攻めてくるグラシアン。シリルはガードを固めてその攻撃に耐えることしかできない上に、時おりフェイントを入れながら攻撃を出してくるために少しずつ少しずつ削られていく。
「ぬぅ・・・これは一体・・・」
「魔力増幅の術。加えてチームワークも隙がないようですね」
スティングとローグ、グラシアンはメイビスの言う通り、仲間の動きをわかっているかのような動きでナツたちを翻弄していく。
「思ったほど張り合いねぇな」
「3人に比べると、妖精の尻尾のトリオ・・・というより、あの2人の息が合っていないようだね」
オルガとルーファスがそう言う。息が合っていない2人とは言わずと知れたナツとガジルである。
シリルはここまでダブルスの競技に出ていたこともありナツたちに合わせることもそこそこにできているようだが、明らかに2人は合っていない。というより合わせようといった感じに見えない。
その間にも三大竜の猛攻は続いており、ナツとガジル、シリルの3人は反撃の余地も与えてもらえずやられるがままである。
「いっけぇ!!必勝パターンに入りましたよぉ!!」
「そのまま決めちゃえ!!」
「フローもそうもう」
剣咬の虎のエクシードたちは闘技場の3人と同調しているかのようにノリノリで、応援にも勢いがある。
「いいぞぉ!!剣咬の虎!!」
「いけいけぇ!!」
王者の圧倒的優勢に彼らのファンである観客たちのボルテージは最高潮に達していた。
「まずいわね」
「押されちゃってるよ~」
試合の様子を魔水晶ビジョンで見ている医務室では、シャルルとセシリーが優勢から突如劣勢へとなってしまったシリルたちを見て心配している。
「ナツ・・・」
「シリル・・・」
ルーシィとウェンディは試合に出場している彼らを見て心配そうに表情を曇らせる。
「まだ始まったばかりだ。そう焦るもんじゃないよ」
ポーリュシカはルーシィとウェンディにそう言って聞かせる。
ウェンディは苦しそうなシリルを見て、両手を合わせて強く握りしめ、祈るように目を閉じた。
「俺はずっとあんたに憧れてたんだ」
ナツを攻め立てるスティングは彼に向かってそんなことを話し出す。
「ずっとあんたを越えることを目標として来た!!今が・・・その時!!」
「くっ!!」
「ナツ!!」
スティングに胸を叩かれまたしても飛ばされるナツ。グレイが思わず声を張り上げる。
「今の一撃。今までの攻撃とは様子が違うな」
エルザはたった今ナツを張り飛ばしたスティングの攻撃を分析し、何か気づいたようだった。
「ん?それはどういう・・・」
グレイはエルザが何を言いたいのかわからずにいる。しかしナツの方を見ると思わず驚愕する。
「なんだありゃ!?魔法陣みたいなが・・・」
スティングに叩かれた場所に白く光る魔法陣が刻まれている。
「ぐ・・・体が・・・動かねぇぞ」
魔法陣を刻まれたナツはどういうわけか全く身動きが取れず、反撃しようにも何も行動が起こせない。
「白き竜の爪は聖なる一撃。聖痕を刻まれた体は自由を奪われる」
そう、エルザの見立て通りさっきの一撃はナツを動かなくするための攻撃だったのである。
「これで俺は・・・あんたを越える」
スティングは両手に光を帯びさせ、一気にカタをつけようとしていた。
「ふっ!!オラ!!この!!」
こちらではガジルが影になり動き回るローグを鉄竜棍で何とかしようとしていた。だがやはりローグの動きを捉えられずにすべて交わされ、時おり攻撃に転じられるとそれを喰らってしまうの繰り返しであった。
「影の竜はその姿を見せず」
「チッ!!」
耳元で囁かれたガジルは体をそちらに向けるがそこにはローグの姿はすでになく、またまた背後を簡単に取られていた。
「確実に獲物を狩る!!」
ローグの爪がガジルの肩へと伸びていく。
「ほれ!!」
「くあっ!!」
グラシアンの拳がシリルの腹部を完璧に捉え、シリルはバランスを崩すが何とか踏み止まり、体勢を整えることなどせずに口に魔力を溜める。
「水竜の・・・咆哮!!」
シリルが放ったブレス。しかしそれはグラシアンの体をすり抜けていってしまう。
「!!」
「残念。それは俺がそこにいるように見せる幻覚」
今度はグラシアンの声が様々なところから聞こえてきてシリルはいる方向を絞ることができなくなってしまう。
「この程度で伏魔殿を制圧できるとは・・・運営の見立ても大したことないな」
シリルに姿を見せないまま、グラシアンは足に紫の魔力を纏い、蹴りを繰り出す。
「幻竜の・・・鉤爪ぇ!!」
叫びながら蹴りに入ったグラシアン。しかしシリルにはその姿も声も聞こえておらず、後頭部にその蹴りが入る―――
パシッ
「!?」
こともなく、シリルは振り返ることもなくグラシアンの見えないはずの蹴りを受け止める。
「残念でしたね」
グラシアンの方を振り向いたシリル。その目は水色になっている。つまりシリルは目を解放することにより、グラシアンの本体を探り当てたのだった。
ガシッ
こちらではローグに押されっぱなしだったガジルがシリルと同じようにローグの腕を掴んでいた。
「確実に獲物を・・・なんだって?」
見えない敵と戦っていたシリルと捉えることのできないはずの敵を捉えたガジル。この2人が捉えたのにこの男が黙ってやられているわけがない。
ニヤッ
「!!」
ナツにトドメを刺そうとしていたスティング。しかし大ピンチのはずのナツが口角を上げたことに一瞬動揺する。だが立ち止まらずにそのままナツにパンチを放とうと果敢に攻める。
「うっ!!」
スティングの攻撃が当たる前に目にも止まらぬ早さでナツが鉄拳をお見舞いし、スティングの鼻が赤くなっている。
「な・・・なぜ動ける・・・」
スティングはフラフラしながらそう言う。彼はナツの動きを封じるために自由を奪う聖痕を刻んだ。なのにナツはそれをものともせずにスティングにカウンターを入れてきたのである。
スティングはナツの破れた服を見ると、そこに書かれていたはずの聖痕がなくなっている。いや、正確には蒸発している。
「聖痕が焼き消されて・・・」
「なかなかやるじゃねぇか。だけどまだまだだ」
ナツは拳を握りしポキポキと指を鳴らす。
スティングは自分の思惑に反した力を見せるナツに思わず歯を噛み締める。
「あまり調子に乗んなよ、小僧ども」
「好き放題されるのはちょっとムカッと来ますね」
ガジルとシリルはそう言うと彼らの腕と足を掴んだまま体を一回転させ、ローグとグラシアンの体を衝突させる。
「「妖精の尻尾をナメんな(ナメないでください)!!」」
「「ぐわぁ!!」
ぶつかり合った力をさらに利用し、シリルはグラシアンから手を離してガジルがローグとグラシアン両方を闘技場の壁へと投げつける。
「うらぁ!!」
ナツも散々やられたスティングに対して再び鉄拳を決め、スティングとローグとグラシアンは3人まとめて闘技場の壁にぶつかる。彼らが衝突した壁は大きくへこみ、ボロボロになっていた。
「いいぞ!!いけいけ!!」
「すごいよガジル!!」
「シリルくんもさすがです!!」
ハッピー、レビィ、ジュビアが反撃に出たシリルたちを見て盛り上がっている。
「く・・・苦しい・・・落ち着けレビィ・・・」
レビィは興奮しすぎてさっきからぬいぐるみのように抱き抱えていたリリーを強く抱き締めており、リリーは息ができずに真っ青になっていたりしたが。
『ああっと!!ここでまた戦況が大きく変わった!!』
ナツがスティングに、ガジルがローグに、シリルがグラシアンにアッパーパンチやストレートパンチを叩き込み、彼らはダメージを多く受けすぎたためにフラつき倒れそうになる。
「やっぱり最高だぜ、あんたら」
なんとか持ちこたえたスティングたち三大竜。スティングは押され始めた戦況を再びひっくり返すべく体に光を集めていく。
「こっちも全力の全力でやらなきゃな。白き竜の拳は炎さえも灰塵に返す」
高まるスティングの魔力。その光はあまりにも激しすぎて闘技場が見えなくなってしまう。
『眩しい!!ヤジマさん、これは!?』
『スティングくんが一点に魔力を集中させているんだね』
白き竜の輝き・・・スティングは魔力を最大限に高めていき、目の前の目標というなの敵に挑む。
「行くぜ!!ナツさん!!滅竜奥義!!ホーリーノヴァ!!」
スティングの滅竜奥義は今まで感じたことのないほどのパワーでナツに襲いかかる。その威力にドムス・フラウは揺れ、闘技場の地面が砕けていく。
ドゴォン
大爆発が起き、闘技場の砂が舞っていく。スティングはついに目標であり、憧れであったナツを倒したと白い歯をこぼす。
「!?」
だがすぐにその顔は一転し、驚愕にも動揺にも似た表情になる。理由は簡単、滅竜奥義を受けたはずのナツが何事もなかったかのように立っているからだ。
『ああっと!!これは!?』
砂煙が完全に晴れるとナツがなぜ無事に立っているのかわかる。
『今の強烈な一撃を片手で受け止めている!!』
ナツはスティングの拳をガッチリと掴んでいた。まるでその魔法が自分には取るに足らないものだといわんばかりに。
「そ・・・そんな・・・」
「うそ・・・」
「あれ?」
レクターたちエクシードトリオはあり得るはずのない現実に目を疑う。
スティングも自分の滅竜奥義を受け止められたナツに対し恐怖を抱いているのか、冷や汗が止まらない様子。
「ウソだろ?」
「この技が防がれた記憶などないね」
オルガとルーファスもナツの予想外の行動に驚いている。
「なるほどのぉ。たった1人で乗り込んでくるだけのことはある。あの時妾が止めなければ何を見られたのか」
剣咬の虎のお嬢ことミネルバだけは、ナツが期待はずれではないことがわかり笑みを浮かべていた。
スティングはナツに自分の最高の技を止められた恐怖で体の震えが止まらない。
『ヤジマさん・・・これは一体・・・』
実況のチャパティも状況がうまく飲み込めずにいる。
「ガジル!!」
ローグが上からガジルに向かって拳を放つ。だがガジルはそれを同じように拳を出して返り討ちにする。
「バカな・・・こいつらは7年前とほとんど変わらないはずなんだぞ!!」
グラシアンは蹴りやパンチを何度も何度も繰り出してシリルを攻め立てる。だがシリルにはまるですべての動きが見えている・・・いや、それどころか先の動きさえも見えているかのように軽々と交わされる。
「ぐぉっ!!」
左ストレートを空振りしたグラシアン。その脇腹にシリルがパンチを決め、今度はシリルが蹴りとパンチの応酬をする。グラシアンはシリルとは対称的に、全てを交わせずにサンドバックのように殴り続けられる。
「スティングくん・・・」
「ローグ・・・」
「グラシアン・・・」
ナツたち3人はそれぞれスティングたちを掴み背中を合わせるようにさせると上段蹴りを入れて3人を地面に伏せさせる。
「3ヶ月の修行と第二魔法源・・・そして滅竜の魔水晶が3人をここまで強くしていたのか」
ナツやシリルの猛攻は止まる気配が一切ない。スティングやグラシアンはこの3人の魔導士を前にグロッキー状態である。
『うむ・・・格が違いすぎる』
ついに地面に倒れ込み動けなくなった三大竜。それを見据えるシリルとナツ、ガジルにはまだまだ余力が感じられる。
「すごい!!さっきまでやられてたのがウソみたいです!!」
ウェンディはシャルルをだっこしながらシリルたちの活躍ぶりに胸を高ぶらせている。
「やっぱりすごいな・・・ナツは」
ルーシィは魔水晶ビジョンからでも伝わってくる3人の仲間たちの闘志に胸を熱くさせていた。
『こ・・・こんな展開、誰が予想できたでしょうか!?剣咬の虎の三大竜!!妖精の尻尾の前に手も足も出ず!!』
地面に這いつくばり苦しそうに肩で息をするスティングたち。それを見ていたレクターたちは目に涙を浮かべていた。
『このまま試合は終わってしまうのか!?』
限界かと思われた3人。だが彼らはなんとかその場に立ち上がる。
「っざっけんなよ!!」
「終われるものか」
「ああ!!簡単に越えられる壁じゃねぇのはわかってた」
傷だらけの三大竜。しかしその目には光が灯っており、諦めるなどという感情は微塵も持ち合わせていないことごありありとわかる。
「わかってるよ、レクター。約束だもんな」
スティングは自分のために、そして友のためにナツという壁を越えなければならないのだと今一度思い出し、ついに本気になることにした。
「「「ん?」」」
シリルたちはいきなり目付きが変わったスティングたちを見てどうしたことかと思っている。
「負けねぇよ」
そう言うやいなやいきなりスティングの周りに白き光が現れ、顔には竜のような鱗が浮かんでくる。
スティングだけではない。ローグとグラシアンも黒と紫のひかりに包まれ、顔に同じように竜の鱗が現れる。
「負けられねぇんだよ、レクターのために」
「なんだ?この魔力は」
ホワイトドライブなどを使った時よりもさらに魔力が高まっており、ガジルはそう呟く。
「こいつは・・・」
「マジか・・・」
ナツとシリルは今のスティングたちの形態を見たことがある。彼らは以前この姿になったことがあるからだ。
「こ・・・これは・・・」
「第三世代の真の力に戦くがよい」
「ありえん・・・自らの意志で発動できるのか?」
マカロフ、ミネルバ、ミストガンに扮しているジェラールがそう言う。
「あの噂・・・どうやらマジだったようだな」
ドムス・フラウから離れたある場所で魔水晶の水晶からこの試合の様子を見ていた魔女の罪の一員であるカミューニはスティングたちを見て冷静にそう言った。
「ドラゴンフォース!?」
メイビスもびっくりの形態、ドラゴンフォース。ついにドラゴンの力を解放した三大竜が妖精の竜たちに襲いかかる!!
後書き
いかがだったでしょうか。
盛り上がってきたぞ、俺の心の中では!!(笑)
次はドラゴンフォースを解放した三大竜たちとの戦いです。
次回もよろしくお願いします。
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