魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epico41融合騎とユニゾンデバイス~Eilie and Reinforce Zwei~
†††Sideリイン†††
リンドヴルム攻略戦から1ヵ月ちょっとが過ぎて、今年も残り僅かとなったです。1ヵ月。言葉で表すとたった3文字ですけど、本拠地でしたレンアオムから帰って来てから色々ありましたね。
とりあえず簡単に纏めますと、はやてちゃん達が出向していた機動一課・臨時特殊作戦班は、設立理由でした護衛対象のケリオンさんがアールヴヘイムという次元世界とはまた違う異世界に帰りましたし、その正体が本物のドラゴンでした首領のスマウグももう居なくなりましたから、海鳴市郊外の支部を引き払って皆さんそれぞれの自宅に帰りました。ですからルミナさんとベッキーさんとセレスさんもミッドチルダに戻ってしまいました。
(だからリインは今、はやてちゃんのお家に居るですよ~)
ルシル君の目的の“エグリゴリ”でしたシュヴァリエルは撃破されて消滅、ハート2は自我が無いこともあって裁判が開かれることなく今は軌道拘置所です。ハート3の女性――調査の結果、第3管理世界ヴァイゼン出身の元ストリートチルドレンで28歳。名前はエルマ。ファミリーネームは無いようです。シュヴァリエルの敗北を知ってからというもの精神が不安定になってしまい、今は精神病院で隔離状態なのです。
(未回収の神器は、引き続き特戦班含めた一課総出で探索するです)
数は6つ。1つは人の姿に変身できる武器型神器です。それらの回収にはやてちゃん達の協力が必要になった時にはまた招集されるそうです。それまでは通常の業務(八神家は特別技能捜査課のお仕事です)をしていいそうです。こうして無事に事件は終わったのですよ。
(リンドヴルムも事実上の壊滅として処理されました。リンドヴルムに苦渋を舐めさせられ続けた遺失物管理部の一課から五課すべての機動部隊はちょっとしたお祭り騒ぎでしたね)
そして今日12月24日、リイン達は管理局のお仕事がお休みですから、クリスマスイブというこの世界のイベントの準備をしてるです。リインのマイスターのはやてちゃんのお家をクリスマスカラーに飾り付けするのですよ。
(本番の25日はなのはさん達との合同パーティですから、八神家だけのパーティは今日だけなのです)
「ねえねえ、リイン。この星の飾りをてっぺんに刺してほしいんだよね」
リインと一緒にクリスマスツリーの飾り付けをしてるアイリがそうお願いしてきたです。アイリは新しく八神家に入った家族で、何百年も前の古代ベルカ時代の頃にシグナムとヴィータちゃんとシャマルとザフィーラ、そしてかつての夜天の主オーディンさんの家族でもありました。オーディンさんをマイスター、ヴィータちゃんともユニゾンをしていくつもの激戦を乗り越えた、リインの大先輩なのです。
「はいですよ」
アイリは変身魔法・ヴァクストゥームフォルム(リインで言うアウトフレームですね)ではやてちゃんくらいの身長になっていて、尖った耳は普通の耳に、腰に有る翼も今は無いです(有無自在だそうですよ)。そして2mくらいのクリスマスツリーに紐の付いた玩具をツリーに引っ掛けてるです。ちなみにリインは本来の大きさを活かして雪に見せた真っ白な綿を付けるお仕事です。
「この星飾りをツリーのてっぺんに・・・。これでいいです?」
リインの身長の半分ほどの大きさな星飾りを抱えて飛んで、ツリーのてっぺんに飾ります。アイリは「ありがとう、リイン♪」お礼と一緒にリインの頭を撫でてくれたです。とても優しいアイリで、新しいお姉さんが出来た感じです。でも最初は、アイリと家族になることが不安でした。
・―・―・回想なのですよ・―・―・
レンアオムの在った無人世界から本局への帰路の途中、フィレス二尉とセレスさんが居ないジャスミンのレクリエーションルームで、「では改めて自己紹介をするね」ヴィータちゃんほどの身長になってますアイリさんが、真っ白でドレスのような綺麗なワンピースの裾をつまみ上げたです。
「かつてオーディン・セインテスト・フォン・シュゼルヴァロードを主とした氷結の融合騎、アイリ・セインテストです。本日よりみなさんのお世話になります」
とても綺麗なお辞儀で自己紹介をしたアイリさん。先ほどの通信でアイリと話すことが出来なかったなのはさん達が自己紹介をしていくです。
「マイスター登録ははやてになる。構わないよな、はやて? あぁ、それとアイリ、名前もセインテストじゃなくて八神な。八神アイリに変更だ」
「えっ? わたし!?」
「えっ? 名前も変えないといけないの!?」
はやてちゃんとアイリさんがルシル君のお話しにビックリしましたです。アイリさんが「あんまりだ~!」ルシル君に詰め寄ってポカポカ殴り始めました。すると「ルシル君。名前くらいセインテスト姓のままでええんやない?」はやてちゃんがルシル君にそう提案したうえで、「アイリちゃんもその方が良えもんな♪」と、アイリさんに微笑みかけました。
「おお、判る人だね、はやて! さすがはマイスターが予言して、シグナム達が選んだマイスターだね♪」
「ルシリオン。ここはアイリの好きなようにさせてもいいのではないか?」
「そうやよ、ルシル君。わたしは気にせえへんし。マイスターも、オーディンさん――とゆうよりセインテスト家のルシル君が引き継げば良くない? オーディンさんも喜ぶ思うし」
はやてちゃんがアイリさんに抱きつきながらそう言いますと、アイリさんがものすごい満面の笑顔を浮かべた・・・のですけど、薄らと開いたままの目は笑っておらず、なんと言いますか、勝った、といった感じな光を宿してました。なんか怖いです。対するルシル君は「ぅぐ・・・」どこか悔しげな表情を浮かべているです。
「とゆうか、ルシル君も管理局入りが確定してから八神姓を名乗らんくなったし。さみしいわぁ。以前みたいに八神ルシリオンって名乗ってもええんやよ?」
「いや、それは管理局に俺やシグナム達があくまで地球人なんだと思わせるためだったからで・・・」
「はい。わたしの大事な名字がルシル君に利用されました~。しくしく」
「あー、ルシルがはやてを泣かせたー!」
「テメェ、ルシル!」
「ひどいわ、ルシル君・・・」
「ルシリオン、お前・・・」
「・・・主を泣かせるのは感心せんな」
シグナム達からも非難が起きたです。嘘泣きのはやてちゃんがリインをチラッと見てきましたので、「さ、サイテーです!」リインも参加しましたら、「えええーーー」ルシル君が膝をついてしまいました。
「トドメや♪ アイリに八神姓を名乗らせるんなら、ルシル君も名乗らなおかしない? わたしのお家に居るんやし。な?」
「・・・・負けました」
ルシル君がポツリと呟いて立ち上がって、頭をガシガシ掻いたです。どうやら決着のようですね。アイリさんははやてちゃんに抱きついて喜びを見せて、「作戦失敗かぁ」はやてちゃんは残念がってます。どうやらルシル君に八神姓を名乗らせたかったようです。
「ルシル! アイリはこれからもアイリ・セインテストを名乗るよ!」
「判った。好きにしろ」
「やったね♪」
「それじゃあアイリちゃんのマイスターも、わたしやなくてルシル君に――」
「あ、マイスターははやてで良いよ。名前だけは譲れなかったんだよね。そ・れ・に♪ えへへ~❤ 約束だよね~❤」
アイリさんが両頬に手を添えて照れのような嬉しさのような、おそらく両方の感情を含んだ笑顔を浮かべたので、「???」どうしてそんな表情を今、浮かべるのか理由が解らずリイン達は小首を傾げるばかり。
それはともかく。リインは以前アインスから聞きました。アイリという名前もセインテストという名字も、オーディンさんに与えられたのだと。いくらルシル君がオーディンさんと同じセインテスト家の出身者でも、勝手にアイリさんの事を決めるのはダメということですね。
それから本局に着くまでの間、皆さんは思い思いに時間を潰すことになり、ケリオンさんが帰ってしまったことで元気のないすずかさんにはなのはさん達が付いて、八神家はアイリさんの今後について話し合うことになり、ルミナさんとベッキーさんは、特捜課のガアプ課長たちのところに行きました。
「んで。アイリはどうするんだ、これから」
「どうするって?」
「八神家は管理局に務める公務員なんよ」
「同じ融合騎のリインは、局員として魔導師ランクや階級を取得しているの」
リインに視線が集まるです。アイリさんもまたリインを見た後「ルシルはどうしてほしい?」ひとり端っこでお茶を啜るルシル君に訊きますと、今度はルシル君に視線が集中です。
「ん~? 俺はどちらでも構わないぞ。階級に拘らなくてもどうせ仕事となれば俺やヴィータ達に付くことになるだろうしな」
「お? なんだよ、ルシル。あたしにもアイリを使わせてくれんのか?」
「ヴィータとアイリは昔はユニゾンして戦っていたんだろ。俺がアイリと融合したいのは基本的に対エグリゴリ戦の時だけ。なにせ大半の犯罪者は普段の俺でも十分勝てるしな。だから普段はアイリとのユニゾンは必要ないんだ」
「ちくしょう、事実だからツッコめねぇな」
「ま、ヴィータが乞えばまた融合しても良いよ?」
「かぁー! これだよ。お前、何百年経ってもその生意気な態度は変わんねぇな!」
「えっへっへ~♪」
ヴィータちゃん達とアイリさんが笑い合います。その当時を知らないリインは少し疎外感を感じちゃうです。それに、リインはヴィータちゃんやシグナムともユニゾンすることもあります。本来ははやてちゃんのユニゾンデバイスですけど、ヴィータちゃん達とのユニゾンも、リインの立派なお役目なのです。でも・・・。
(アイリさんが来たから、ヴィータちゃんとのユニゾンの回数もぐんっと減っちゃうですよね・・・)
シグナムは炎熱変換の騎士ですから相性からして氷結の融合騎であるアイリさんとのユニゾンはしないと思うですけど、行方不明の炎熱の融合騎であるアギトさんが八神家に来ますと、シグナムはアギトさんとばかりユニゾンするようになるでしょうし。それが寂しいと思うのです。
「えっと。リイン、リインフォース・ツヴァイ」
「は、はいです! なんでしょうか、アイリさん」
いきなりアイリさんに声を掛けられてビックリです。さっきの通信ではリインは自己紹介だけしか出来ませんでしたからね。かなり緊張するのですよ。
「そんな畏まらないでね、リイン。アイリのことも、さん付けしなくていいし。同じ融合騎として、アイリはリインと仲良くなりたいのね。シュリエル・・・、今はリインフォース・アインスだっけ、アインスもその方が喜んでくれると思う」
「あの、ア、アイリ・・・?」
「うん。リイン♪」
リインはアイリ・・・と微笑み合ってますと、「アイリちゃん。アインスの事をどこで・・・?」シャマルがそう訊きました。そう言えば、ですね。ルシル君から聞いたのでしょうか。はやてちゃん達の視線がまたルシル君に戻りますと、「シュヴァリエルから、ね」アイリが言いました。リイン達は「え?」って訊き返します。
「シュヴァリエルがどうして・・・!?」
「話を聴いたというか、管理局の局員データを見せてもらったんだよね。そこでリインの写真データと名前を見て、ちょっと察しちゃった・・・みたいな。同じリインフォースって名前。アインスとツヴァイっていう番号。姿が見えないアインスにそっくりな外見。総合的に考えて、アインスはもう居なくなったんだって」
当たってるです。はやてちゃんが「アインスはな・・・」あの夏の日、アインスが天に旅立った日の事を話し始めました。はやてちゃんやシグナム達の未来を守るため、アインスは旅だったのだと。
「大切な人のために命を懸ける。さすが、だよね。うん、アイリもきっとそうする」
アイリは懐かしむような表情を浮かべてアインスを讃えました。リインも短いながらもアインスと過ごした時間を思い返すです。
「ちょこっと脱線したけど、アイリはリインに訊きたいことがあるんだ」
「なんでしょうか?」
「リインは融合騎でありながらも管理局員として登録しているんだよね。そんなリインに質問! 融合騎である以上、仕事の時はマイスターのはやての側には常に居ると思うんだよね。それなのにわざわざ管理局員になった。どうして? 何かメリットとかあったりするの?」
「確かにリインは局員にならなくてもはやてちゃん達と一緒に働けるですよ。でも、それだけだと足りなかったんですよ、リインとしては。はやてちゃん達はデスクワークをしていても、リインは見てるだけです。魔法戦の時だけ役に立つユニゾンデバイスではなく、他のお仕事でもはやてちゃん達をお手伝いしたかったから・・・といったところでしょうか」
真剣な表情をしてるアイリに、リインも真剣に答えるです。リインが局員になりたいとはやてちゃん達へ伝えた時の思い、言葉をそのままに。はやてちゃん達に伝えた時、みんなはリインが側に居てくれるだけで十分だと言ってくれましたが・・・
――俺はリインの意思を尊重するよ。小さい体でも立派な八神家の騎士だからな。局員になってでもはやて達の力になりたいって言うんだ。立派な事じゃないか――
ルシル君がそう言ってくれたおかげで、はやてちゃん達もリインの管理局入りを認めてくれたです。
「お仕事は大変ですし、ミスをすると怒られもします。でも充実した日々ですよ♪」
アイリにそう微笑み返しますと「そっかぁ~。ん、決めた。アイリも局員になる!」アイリはそう決断したです。
「リイン! 融合騎としては先輩だけど、局員としては後輩となるからよろしくね♪」
「は、はいですっ!」
はやてちゃん達から拍手が送られる中、リインと同じ身長にまで戻ったアイリとギュッと握手を交わしました。
・―・―・終わりなのですよ~・―・―・
アイリは、リインの不安をその日の内に晴らしてくれたのです。今ではアイリのことが大好きです。もう1人の融合騎であるアギトさんとも仲良くなれたら嬉しいです。今からお会いするのがすっごく楽しみなのですよ♪
「ニコニコしてどうしたの? リイン」
「なんでもないですよ~♪」
アイリの顔のすぐ側に寄り添います。アイリもリインに釣られるように笑顔になってくれたです。
†††Sideリイン⇒アイリ†††
八神家へとやって来て早1ヵ月。レンアオムに居た変わり映えのない何百年に比べて濃い時間だったね。管理局の仕事は本当に大変で、ただマイスター達にくっ付いて魔導犯罪者を狩って、書類をぱぱっと片せば良いと思ってたけどこれがかなり面倒だった。管理局法を一から覚えないといけなかったし。
(リインの言う充実感を得るにはもうちょっと頑張らないといけないみたいだね~・・・)
だけどマイスターやシグナム達と一緒に居られたり戦えたりするのは最高の気分だね。それとみんなとお揃いの制服というのも悪くないし、特別技能捜査課っていう所属課のメンバーも良くしてくれるし。休憩中に美味しいデザートを食べれるのも最高だと思う。はやてとシャマルは、太る~、って嘆いてたけどね~。
「お? ちゃんと飾り付けで来たようやね」
「はやてちゃん!」
「良い仕事をしたな、アイリ」
「ルシル❤」
クリスマスツリーが飾ってあるリビングダイニングに入って来たはやてと、アイリの愛するマイスター・ルシル。この1ヵ月で、はやての人となりは理解できて、シグナム達がはやてを大事にする気持ちも解った。以前のマイスター・オーディン(ホントはマイスター・ルシルだけどね♪)と雰囲気が似ていて、道具じゃなくて家族として接してくれる。アイリにもみんなと同じように愛してくれてる。
「ルシル君、やっぱりまだ魔法は使えないです?」
「あ、ああ。あれから1ヵ月も経ったし、そろそろ元に戻るだろうと思っていたけどな」
「ルシル君はホンマに無理し過ぎや。この長期休暇は良え薬やよ、しっかり休むように!」
マイスターは、シュヴァリエルとスマウグの連戦の影響か魔力炉が不調になっちゃって、この1ヵ月間魔法も魔術も使えなくなっちゃってる。そういうわけで特捜課としての仕事は無期休養。あーでも内務調査部っていう、管理局組織内を取り締まる警察みたいな部署の仕事は招集命令が来ると出るけど・・・。
「判っているよ。調査部の方も俺の体を心配してくれて仕事量を減らしてくれているし。というか、せっかくのイブに仕事の話はよそう」
「そ、そうやね、うん。今日は家族水入らずのクリスマスイブ、楽しい話題だけで十分や」
「それじゃあ夕飯の下ごしらえを始めるか」
「おお♪ っとその前に。外で飾り付けしてくれてるシグナムとザフィーラ、ケーキを取りに行ってくれてるヴィータとシャマルのために温かいもん用意せえへんとな」
「そうだな。ヴィータとシャマルはココア、シグナムとザフィーラは緑茶で」
「そうやね。お湯沸かすな~」
台所に向かったマイスターとルンルン気分なはやてが作業に取り掛かる。マイスターの料理の腕は昔から知ってるけど、はやての料理も負けないくらいにすごく美味しい。リンドヴルムの家事担当部門の料理もまぁ美味しかったけど、マイスターとはやての料理には想いがあるんだよね。ただ作るのと、誰かに食べて喜んでもらいたいって想いがあるのとじゃ全然違うもん。
「あ、雪が降ってきたですよ!」
庭の垣根にカラフルな電球を使っての飾り付けをしてるシグナムとザフィーラの様子を見ようとしたリインがそう教えてくれた。アイリは「見せて、見せて!」リインの居るところへ向かう。
「え、ホンマに~? 道理で寒いわけやな~」
「初雪だな。ホワイトクリスマスになるかもしれないな」
「去年もそうやったしな~」
マイスターとはやての会話を背中に聞きながらアイリは「おお、雪なんて久しぶりだよ!」曇天から降る雪を見詰める。白。アイリと同じ色。純潔を示す色。アイリが大好きな色。あ、マイスターの黒も大好きだよ。
「リインは生まれて初めてです~!」
「え、そうなの?」
「はいです。リインが生まれたのは今年の春ですし、これまでのお仕事で行った世界でも雪の降るようなところはなかったですし。アイリはどうなんです? 久しぶりだそうですけど・・・」
「ベルカの時はよく見たよ。けどシュヴァリエルに捕まってレンアオムに連れて来られてからは一度もないね。あの世界、季節が無かったから・・・」
温暖で過ごしやすい環境なのは確かだったけど、氷結系のアイリにとっては暑すぎたんだよね。まぁ空に浮遊する島だったからまだマシだったけど。回収実働部隊の訓練を称して何度か地上に降ろされたけど、暑さですぐに参ってた。そんな過去を思い返しながら、リインと2人で窓の外に見える雪を眺める。
「寒ぃ~! チラホラ雪降って来たよ、はやて~」
「ただいま帰りました~!」
ヴィータとシャマルが、なのはの家族が経営してる店・翠屋から戻って来た。シャマルの手には白い箱。マイスターやはやてまでもが認める美味しいケーキが入ってる箱だ。この1ヵ月の間に何度か行ってご飯を食べたけど、どれも美味しかったんだよね。
「おおきにな、2人とも! ココア淹れたからそれで温まってな!」
「ありがと、はやて!」
「ありがとうございます。先に着替えてきますね」
シャマルは自室のある2階に、ヴィータははやての部屋に向かった。ちなみにアイリの部屋はマイスターと同じ。ターニャの屋敷でお世話になった時もアギトお姉ちゃんと一緒にマイスターと同室だったし、同じベッドで眠ったしね。
「アイリ、ヴィータとシャマルの席に運んで行ってくれ」
「ヤヴォール♪」
台所に行って、2人が着替えから戻って来る前にココアをダイニングテーブルへ運ぶ。
「リイン。シグナムとザフィーラも呼び戻したって~!」
「はいですっ。シグナム~、ザフィーラ~。もう入るですよ~」
はやてのお願いを聴いて、リインが窓を開けてシグナムとザフィーラを呼ぶ。アイリが中身のココアを零さないようにテーブルにコップを置いてると、「ただいま戻りました」すぐに2人が戻って来た。
「緑茶を淹れておいた。2人とも、温まってくれ」
「ありがとう、ルシリオン。頂くよ」
「すまんな。頂こう」
マイスターが下拵えの途中で湯呑みを持って来て、椅子に着いたシグナムとザフィーラの前に置いた。そしてヴィータとシャマルも着替えから戻って、アイリが持ってきたココアを飲み始めて、4人揃ってほぉっと息を吐いた。
その様子をアイリはマイスターとリインの3人で見て微笑み合った。ベルカの時みたいにこんな温かな時間をまた過ごせるのをずっと待ってた。マイスター・オーディンの預言を信じて。それがやっと叶った。諦めそうになった時もあったけど、諦めなくて本当に良かったよね。
(アギトお姉ちゃん。・・・待っててね。必ず見つけるから!)
シュヴァリエルは言った。アギトお姉ちゃんはまた別の“エグリゴリ”が有してるって。マイスターとこれからも一緒に“エグリゴリ”と戦って行けば必ず見つけることが出来る。残る“エグリゴリ”は4機。そいつらにマイスターが負けないようにアイリももっと強くならないとね。
後書き
マガンダン・ウマガ。マガンダン・ハポン。マガンダン・ガビ。
アイリが八神家へとやって来て1ヵ月という時間でお送りした今話。早速日常回・・・なのですが、リインパートの事件後回想が長かった所為か事件編と思えてしまいます。サブタイトルも自作ことわざではないですし。サブタイに合わせてもっと2人の会話を多くするべきだった、とも思っています。
次話も一応日常編。私個人の設定として日常編は、短く文字数少なく、なショートストーリー形式ですので、次話もまた1万文字を切るかと思います。その分更新速度を速めて行きたいな~と、無茶そうな目標を掲げてます。馬鹿ですね~。
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