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ウルゼロ魔外伝 GANTZ/ULTRASEVEN AX

作者:???
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レッドジャイアント

「外だ…」
気がつくと、一同は外に立っていた。
「んだてめえ。裸で何やってる」
「え、あ!ちが…」
「計ちゃん…」
まだ部屋にいたとき、スーツを着るために衣服を脱いでいたために、畑中に自分の裸を指摘された玄野は赤面した。加藤もこれには引いたようだ。そこにさっきの女の子も玄野の学ランを着て歩いてきた。
「大丈夫か?」
「う、うん…」
女の子は加藤を見ると赤面していた。
「くっそ〜なんでそっちにくっつくんだよ…ってかこれマジコスプレじゃんかよ恥ずかちー…」
一方で玄野は近くの家の車庫で、女の子から少し熱っぽい視線を向けられている加藤に軽く嫉妬しながらもスーツを着た。さすがにアニメのコスプレくさい格好に酷い気恥ずかしさを覚えた。なぜ、このスーツには何かがある、なんて根拠の無い勘を信じたのだろうか。自分からやったとはいえ、これでは晒し者だ。
「ここはどこなんだよ?」
「駅でも探すとするか…」
ヤクザや美形の男、山田に鈴木たちは歩いて帰ろうとした。いきなりわけもわからないうちにあの部屋に転送された身だ。帰れるなら本望だ。
すると、そこで西が口を開いてきた。
「いいこと教えてやろっか?この地球には犯罪者宇宙人が潜んでいる。僕らはそいつをやっつけに行くんだ。政府にスカウトされた実行部隊としてね」
「は?何いってんだこいつ?」
いきなり何を言い出すのだこのガキは、と誰もが思った。誰だって一度聞いたら馬鹿馬鹿しい話だ。それでも西は続ける。
「別に信じなくてもいいよ。でも一匹やっつけたら一千万もらえるんだ」
「一千万!?」
金の話に入った途端、彼らの目の色が変わった。
「タイムリミットは一時間…その間になんとかしないとね」
西は何かの板を取り出すと、それに地図が表示されて彼らのいる場所から東の方角に赤い点が出ている。どうやらセンサーのようだ。
「急げ!」
現金なことに、彼らはすぐ赤い点の位置にいるであろうネギ星人を追っていった。
「くだらん。帰る」
一方で鈴木は興味を示そうとせずどこかへ歩いていった。
であったばかり菜こともあり、一人離脱したことなど特に気に留めることなく、西たちはセンサーを頼りにネギ星人を追っていた。
しかし、赤い点の位置にあるマンションの辺りにようやく着いたと言うのにネギ星人の姿は見当たらない。
「こらガキ」
畑中が西を睨み顔で見下ろしていた。
「さっき言ってたのがウソだったら殺すぞ?」
「いいよ別に。とっくに死んでるだろうし」
「けっ…」
「お!」
畑中は気が削がれたのか、引き続きネギ星人を探しに向かおうとしたとき、西はマンションの一室の扉から小柄な影がこちらを見ているのを見つけた。
「よーく見てくださいよ皆さん!ターゲットがこっちを見てますよ!」
「何!?」
山田や畑中たちはその西の言葉に反応し、興奮しながら銃を手にその影の主、ネギ星人を追った。見たところ、そのネギ星人は黒い玉に表示された顔写真の子供そのものだった。きっちり緑色の肌と髪がある。
西の話に、強い信憑性を感じた彼らは、いっせいにネギ星人のほうへ走り出す。
「待てやこらあ!」
彼らの人影は路地の裏の階段をかけ上がっていく。やがてネギ星人は別宅の車庫に追い詰められた。
「やっとか…この野郎…」
畑中が先頭に、五人はゆっくり近づいていく。その中に西の姿はいつの間にかいなくなっていた。
「ネギ…ネギあげます」
ネギ星人は長ネギを手に、彼らに懇願するように言った。いや、実際懇願していたのだ。ネギと引き換えに命だけは助けてくれと言っている。自分の身に危険が迫っているのを感じている。
「よくできてんじゃん。被りモンにしちゃ」
稲森はそれを無視して銃を向ける。
突然ネギ星人は顔を歪ませ、大量の鼻水を吹き出した。当然目の前の畑中たちに悪臭と共にかかってしまう。
「うわあ!」
「なっ、てめえ!」
その隙に逃げ出そうとしたネギ星人だったが、鼻水をモロにかけられた畑中は血眼でネギ星人の服を掴んで逃がさなかった。




「帰れる…あの生意気な総理を今度こそ」
鈴木はネギ星人退治を余所に一人路地を通って自宅に帰ろうとしたが…
パァン!
誰も見てなかったが、それは誰もが一度はぞっとする光景だった。彼の頭は突然吹き飛ばされた。破裂した彼の頭から、小さな金属の塊が転がった。



その頃、さっきの場に残ったのは玄野、加藤、ジンともう一人は女の子だ。
「えっと…ここはどこだったんだ?」
加藤は近くの電信柱に張られていた地名の書かれた板を見ると、「一の宮」と表記されていた。
「一の宮?どこなんだ?」
「あの…」
加藤が歩き出した時、女の子が話しかけてきた。玄野は密かに(かわいい…超好みだ…)と心の中で下心丸出しの言葉を呟いていた。
「一体、何なんです?私、生きてるんですか?」
「え、と…とりあえず帰るんだろ?」
「はい…あ!そういえば、まだ名前…」
女の子は名前を尋ねてきた。
「俺は、玄野計」
気取ったように言う玄野。女の子からちょっといい目で見られたがっているようだ。
「平賀、ジンです。ジンで構いません」
「俺は加藤。加藤勝」
「加藤さん…君?」
どう彼を呼ぼうか少し迷った女の子に加藤は「どっちでもいいよ」と言った。
「あの、あなたの名前は?」
今度はジンが女の子に名前を訊いてきた。
「私は…岸本恵です」
(ケイ…俺と同じか…)
玄野はなんとなく名前が同じことに不思議な感じを覚えた。
(にしても不味かったかな〜…こんな格好じゃ夜道もまともに歩けやしねえ…)
その時、加藤は階段を必死に登ってネギ星人を追いかける畑中たちを発見した。
「ちょっと、俺見てくる」
「おいおい、ちょっ加藤!」
玄野の制止を聞かず、加藤は畑中たちを追っていってしまった。岸本もまた、加藤の行った方を不安げに見ていた。
ジンはいるものの、岸本がおそらく一番見ていた加藤がいない今なら仲良くなれるかもと、彼女にできるだけ笑顔で話しかけた。
「行っちゃい…ましたね。家どこですか?送りますよ」
「あの…私も…」
岸本は小さく会釈してすぐ加藤の後を追って行った。
「え、え!?」
予期せぬ彼女の行動に玄野は途方にくれてしまった。
「ん?」
ジンはその時、背後から何かが近づいてくるのを感じた。
「…え…」
玄野は振り向いた瞬時に見たその気配の正体に絶句する。見たところ、長身の巨漢のようだった。だが、どこかで見たような緑色の肌と髪が目立つ。
「…ネギ…星人?」
ネギ星人。その言葉に反応したのか、彼は右腕に着けてた腕時計らしきものに手を触れると、UFOに連れていかれるように、空から差し込んだ光に包まれて消えた。
「なんだったんだ…?」
玄野には全く理解できなかった。



加藤はようやく畑中たちに追い付いた。ちょうど稲森が小型銃をネギ星人に向けていた時だった。そして彼は引き金を引くと、銃身がXの字を描くように広がった。

ギュオオーン

銃らしくない作動音が鳴り、青白い光が放たれた。これだけだった。
「こんだけ?」
結局ただのおもちゃだったのか?そう疑いだした時だった。

パン!

彼らは目を見開いた。肉片と血しぶきを飛び散らせ、右肩を失ったネギ星人が苦しそうにもがいている。
「本物だ…」
「すげえなこれ」
凄惨たる光景に加藤は青ざめていた。畑中たちが銃の威力に感動していた隙に、ネギ星人は残っていた左腕を振るった。山田や畑中たちの足に切り傷が現れ、血が痛覚と共に噴き出す。ネギ星人の左手の指先の爪がナイフのように鋭くなっていた。
「いたっ!」
山田や稲森は足を押さえ、鼻白む中…。
ぷち…抵抗されたことに畑中は遂にキレ、銃をネギ星人に向けて撃ち込んだ。
「止めろ!」
加藤の叫びは届かなかった。ギュオオーンの音と光が止むと、またしても嫌な破裂音が響き渡った。
その破裂音が止んだとき、ネギ星人はすでに原型を留めていなかった。
「う…ハーッ…ハーッ…」
加藤は苦しそうに呼吸を荒げながら頭を抱えた。
「一千万…」
畑中の目は異様な光を灯していた。と、後ろからパタリとものが落ちた音がした。
「?」
加藤や畑中たちが振り向くと、さっき玄野やジンと出会った大ネギ星人がいた。目から大粒の涙が流れている。
「なんだこいつ?ネギ星人の親父か?あ!」
そう畑中が一言言った時、彼の視界が斜めに傾いた。畑中の右足が鮮血と共に地面に転がっていたのだ。
「う…うわあああああ!!」
「撃て!撃て撃て!」
山田の悲鳴がこだまし、稲森が喚き出す。彼らは銃を掲げて引き金を引く。
しかし、大ネギ星人は畑中の頭を掴んで盾代わりに防いだ。その後…畑中は無残に砕け散り、その返り血で茫然と立ち尽くす加藤を除く彼らに、大ネギ星人の刃が迫ってきた。
加藤は我にかえって残った山田たちを庇うように大ネギ星人の前に立った。
「止せ…止めろおおおおおおおおおお!!!!」
加藤の懇願も虚しく、大ネギ星人の刃は加藤たちに襲いかかった。



玄野とジンは岸本、そして加藤を追っていた。しかし、地図がないので道に迷っていた。
その途中、奇妙な音が頭の中から流れてきた。

ビンボロぱんぽん…

「なんだこの音…お前の携帯?」
玄野はジロッとジンを見た。
「あの…僕じゃ…」
とジンが呟いた時、彼らは一瞬もどしそうになった。ミッション開始時に別れた鈴木の死体が目の前に転がっていた。しかも、頭が原型を留めてないまま…
(まさかこの音…!)
危険を感じ、青筋をたてたジンは何かに気付き、玄野を引っ張りだした。
「玄野さん戻って!」
「え!?」
逆方向にすぐ走ると、音は鳴り止んだ。
「爆弾が頭の中に…?」
「は!?じゃあさっきの奴…星人じゃなくて爆弾に殺られたってのか?」
玄野は信じられないと言ってるような表情を浮かべていた。それはそうだ。頭のの中に爆弾などいつ埋め込まれたのだ?手術でメスを入れられたこともないのに。
「多分、ネギ星人を倒さないと…帰れないってことじゃ…」
「ち…」
玄野とジンはネギ星人を探しに走り出した。



再び加藤たちと別れた道を通り、さらにその向こうへ歩きながら二人はネギ星人の捜索を続けていた。
そこに目にしたのは…
「…!」
無残に斬殺された山田たちと、一人手首を切られて意識が遠退こうとしていた加藤が倒れていた。その側に岸本が涙目で加藤の名を必死に読んでいる。
「加藤君!加藤君!」
そんな彼女にも大ネギ星人の魔の手が迫ってきた。
「!」
ジンは見てられなくなり、もうスピードで走って大ネギ星人をタックルで突き飛ばした。
「グバアアアア!?」
大ネギ星人は一軒の家の塀を突き破ってぶっ飛んだ。
「「「!?」」」
玄野、岸本、そして突き飛ばした本人のジンには何が起こったか理解できなかった。よく見ると、ジンの着ているスーツが膨れ上がっている。
(「変身」してもないのにこの力…一体!?)
ガラッという塀の瓦礫の音に反応してジンはすぐサッと身構えた。しかし、大ネギ星人は出てこなかった。
「…?」
一体どうなったのだろうか?いや、出てこなかったのではない。彼らの真上に高くジャンプしていたのだ。しかも、標的はジンではなく、玄野のすぐ側にいる岸本だった。
「!」
岸本は自分の死を覚悟し、伏せた。
が…大ネギ星人の攻撃は彼女に届いてなかった。玄野が辛うじて大ネギ星人の両腕を掴んで彼女を守ったのだ。
(…そうだ!俺は、ヒーローだった。怖いものなんか…何一つなかった!)
さっきの加藤の姿が一瞬フラッシュバックのように浮かぶ。そのせいか、怖い物知らずだった小学生時代の記憶も蘇る。
『やっぱりさ、計ちゃんはすげえよ!ケンシロウとかよりもさ!』
あの時から自分をヒーローとして尊敬していた加藤。その加藤を傷つけられた衝動からなのか、さらに玄野のスーツの力が強くなっていく。
「やっぱ計ちゃん…すげえよ…な…」
加藤は虚ろになる目で玄野の戦う姿を見ていた。
そして、ベキィ!
「グアアアア!?」
大ネギ星人の左手が折れた。苦しそうに膝を着いてもがく大ネギ星人。
「ネギ…ネギあげます。許して…ください…」
子供のネギ星人のように懇願しだした。
「はあ…はあ…許すかよ…誰が!」
「計ちゃん…もういい」
加藤が掠れた声で言った。
「加藤!?」
「加藤さん!」
「加藤君!?」
三人はすぐ加藤の元に集まった。
「もういいだろ…元々、あのネギ星人に手を出した俺たちが…」
その時、大ネギ星人の体をワイヤーらしきものがぐるぐる巻きに絡めとった。
そして、いつの間にかいなくなっていた西が現れる。手には子供ネギ星人に使われたのとは別のY字型の銃が握られていた。
「お前…いつからそこに…」
「いたよ。ずっとね。玄野…だったっけ?ほら」
西はX字型の銃を手渡した。
「今回の点数はあんたにやるよ。にしても、俺以外でここまで生き残れた奴は久しぶりだな」
玄野は震える手で大ネギ星人に銃を構えた。
「…撃ったら、どうなる?」
玄野が震える声で尋ねると、西は酷薄な返事をした。
「当然、死ぬよ」
「!?」
「見たいだろ?こいつの死ぬとこ…」
その顔はあまりにも非情極まりないものだった。西はそれから、人の死体を見ていると気持ちがいいだろ?と、耳を疑うことばかりを口にしだした。不快感を覚えた。さっきまでがそうだったように、こいつは人の死を楽しみすぎている。人間として踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまっている。
「あんた予想通りだよ。俺と同じ目をしてる。死を見るのを楽しんでる」
「…ざけんな」
その玄野の言葉に西はつまらなそうな顔をした。
「んだよ。がっかりだなマジで」
彼はY字型の銃を構え、引き金を引くと、大ネギ星人はジジ…と音をたてながら光のレーザーとなって消えていった。
「今のは…?」
ジンが恐る恐る尋ねた。
「こいつはYガン。捕獲用のやつ。さっきあんたに渡したのは…」
西は玄野からX字型の銃を手にとる。
「Xガン。ぶっ殺す時に使うやつだ。他にもこれの強化版とか刀もある」
その時だった。
上空から謎のレーザーが放たれ、彼らを襲った。
「く!」
玄野は岸本と加藤を抱えて辛うじて避けた。
上空を見上げると、見たこともない飛行物体が見えた。
「なんだあれ…?」
「ネギ星人の…宇宙船?」
動揺する玄野と岸本。まさか…アレを落とせと言うのか?
「あれ…?ジン!?」
いつの間にかジンはいなくなっていた。
西はレーザーの雨を掻い潜りながらネギ星人の宇宙船をXガンで落とそうとしたが、効果はなかった。
「ちっ…」
舌打ちする西。
すると、玄野たちにネギ星人の宇宙船から発射されたレーザーが襲いかかってきた。
「きゃあ!?」
目を伏せる岸本。さすがの玄野ももはや「死んだ」と死を覚悟した。


同じ頃、いなくなっていたジンは別の場所でスーツの内側に隠していた赤いメガネ型のアイテムを目に装着し、赤い光に包まれた。


「…?」
玄野と岸本は恐る恐る目を開くと、信じられない光景を目にした。西もこれには驚いていた。面白いものを見つけた喜びを味わいながら。
「赤い…巨人?」
巨大な銀色のブーメランが二人を守るように飛び回り、巨大な赤い影の頭に装着された。
「…マジかよ…」
玄野には信じられなかった。
まっすぐな白い二本のラインと内股と肘に塗られた黒い模様、縦に細長いビームランプ、そして、頭につけられた巨大なブーメラン。

今まで以上に驚かされる光景だった。
勇ましい肉体と、TV番組でしか見かけられないであろう姿をした、赤い巨人がそこに立っていた。

「デュア!」
赤い巨人はネギ星人の宇宙船を睨みながら身構えた。

 
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