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歌集「春雪花」

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 秋風に

  枯葉舞い散る

   魚野川

 寂しさ流す

    憂いし山里



 晩秋の風に木々の枝から、枯れた葉が舞落ちてゆく…。

 そんな魚野川の川辺を眺めていると、もう冬になってしまうのだな…と、些か物悲しくなってしまった…。

 そんな寂しさを隠して振り向けば、そこには冬を待つ山里があるだけであった…。

 もうすぐ彼が居なくなってから一年経ってしまうのだ…。
 この彼のいない冬を越え、春になれば…。



 想影を

  追いては老いし

   わが身なる

 心得られぬ

     秋の黄昏



 彼への想いは変わらず…ずっと愛して止まない…。

 しかし…私はこの月でまた歳をとり、とても彼の心を得られそうにはない…。

 解ってはいるものの…やはり辛いものだ…。
 同性で、しかも歳の離れた彼を愛した私が愚かなのだ…。

 そんな虚しさを抱え…暮れゆく秋の黄昏に、そっと…身を委せた…。



 
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