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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十一話 親父の女達その九

「あんな主人公がまかり通っていた位に」
「マスコミが力あったのね」
「何でも力持ち過ぎるとよくないって親父が言ってたよ」
「そこでもお父さん出るのね」
「実際に言ってたからね」
 本当にだ、親父が言っていた。
「言ったんだ」
「そうなのね」
「そう、とにかくね」
 それこそとだ、また言った僕だった。
「あんな主人公みたいには僕もなりたくないよ」
「人間として最低よね」
「お店ではマナーを守って」
「例えどんな人でもね」
「人として最低限のマナーだよ」
「それこそね」
 僕達の意見は一致していた、完全に。
 それでだ、美沙さんはお蕎麦を全部食べてお茶を一杯飲んでから僕に笑顔で言った。
「このお茶の一杯がね」
「いいんだね」
「お蕎麦食べた後はね」
「美沙さんはお茶派なんだね、お蕎麦の後は」
「そば湯飲むこともあるけれど」
 それでもというのだ。
「大抵お茶よ」
「それでも今もだね」
「うん、お茶よ」
 これを飲んだというのだ。
「実際にね」
「そうなんだね」
「義和はどうなの?」
 今度は僕に問うてきた。
「やっぱりお茶?」
「うん、そば湯も飲むけれど」
 言われればだ、僕も。
「お茶だね」
「そっちなのね」
「夏は麦茶だよ」
 それもよく冷えた、だ。
「お蕎麦屋さんでもね」
「今私が飲んでいるこれね」
「というかあがりっていうけれど」
「別によね」
「いいじゃない、お茶でもね」
「何か東京のお蕎麦の食べ方って」
「色々五月蝿いね」
「細かいにも程があって」
「あれはするなこれはするなとか言って食べたら」
 それこそだ。
「美味しくないよ」
「色々と気になってね」
「そうだよね」
「美味しく食べないと」 
 お蕎麦にしてもだ。
「堅苦しくなく」
「別にフランス料理を食べてないし」
「そう、だから」
「マナーを守っていれば」
 それでだ。
「後は気兼ねなく食べればね」
「いいね、じゃあ僕はね」
「お茶を飲んで」
「それで終わりね」
「うん、最後はそれを飲むよ」
 こう美沙さんに話してだ、実際にだった。
 僕は最後に麦茶を貰って二人でお勘定を払ってお店を後にした。そして商店街の中に戻ってだった。そこでだった。
 僕は美沙さんにだ、こう言った。
「今からゲームソフト買って」
「そうしてよね」
「アパートに帰ろうかな」
「そうするのね」
「美沙さんはどうするのかな」
「私も行くわ」
「あっ、じゃあゲームソフト買うのかな」
 美沙さんも来ると言われてだ、僕はすぐに問い返した。 
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